釜戸谷林道 / Kamadoyatsu 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
探索日 2020.09.21 / No.S-040 
 [ 所在地 ]新島村 [ 状態 ]ピストン半ダート [ 接続林道 ]- [ 分岐林道 ]釜戸谷1号林道
 「釜戸山」山腹の狭い谷間を遡る支線林道の豊富なピストンだが、末端区間は廃れて草ボーボーに!

玉県にはそれこそ星の数ほどのピストン林道がありますが、たまには色々な意味で溜息の出るような濃密なダートでありながら、枝分かれ式に支線林道分岐を無数に繰り返すピストン林道を埼玉県で存分に堪能したい。そんな想いを胸にやって来たのが飯能市平戸「山下」にある釜谷戸林道です。釜戸谷林道およびその支線林道群の枝分かれルートを森林系の某資料で眺めたその瞬間から、現地で探索するのを楽しみにしていたんだよな〜。というわけで目指す釜戸谷林道の起点ですが、西武鉄道「東吾野駅」入口からR299号線を「武蔵横手駅」方向に進み、国道沿いに流れる高麗川を右岸に渡る1つ目の橋を渡って突き当たりを右折。40m先にある右折する曲がり角に古ぼけてサビだらけの林道標が立っています。
→ 林道標を眺める!
切の手前50m、林道標が立つ場所としては意表を突く釜戸谷林道の起点ですが、いざ探索開始しようとWRにまたがった次の瞬間、カンカンカンと踏切が鳴り出しました。ちぃっと思いながらもしばらく待っていると、日中は1時間に2本しかない西武秩父発飯能行き各停が左方向へと通過。その後、遮断機が上がるのを見届けてから改めて探索開始します。
切を渡ると果樹林がありますが、釜戸谷林道はその傍を通り抜けて前方に見えていた山林内へと進んでいきます。薄暗い山林内を登坂する舗装された坂道を登っていくと、やがて右折するダート分岐が現れますが、でもここは「林道」ではないのでそのつもりで・・・。
→ 右折ダートを眺める!
→ 付近を調べる
折分岐を過ぎてさらに登坂していくと、やがて舗装が途切れてダート区間が開始します。つい先ほどまで「全線舗装済み」という嫌な予感もしていたのですが、そうやら無用の先案じだったようです。というわけで本格的な釜戸谷林道の探索はここからだぜぇ!
盤の坂道を登りきってダート区間に突入すると、その後は軽いアップダウンを繰り返す平坦コースが続きます。昼なお薄暗く、暗い雰囲気が漂う植林地の中をストレート主体で進んでいきますが、植林内は陽射しが差し込まないためか、路面は常に湿っていそうな土質で、良くもなく悪くもない状態。陰気な植林地の林道ではまずますの状況でしょうか。
なみに林道名の「釜戸谷(かまどやつ)」は、鎌でえぐったような崖地で深く入り込んだ場所を示す「沢」の地形が由来となった地名。昔、炭を焼く窯があったことに由来するなどと想像しがちですが、そうではないみたいです。林道は「釜戸山(かまどやま / 293.2m)」山腹にあるそのように折れ曲がって入り組んだ沢へと向かっているのですが、ここはすぐ脇に線路が見えている西武鉄道秩父線と並走して進むまだその手前区間。ダートはすでに草深さを見せていましたが、まだ釜戸山の山裾区間なんだよな〜。
→ 振り返る!
況が変わるのはダートが並走する線路から右に離れていく辺りから。それまでは薄暗くて暗い雰囲気が漂い雑草むしていても、路面状況的にはこれといった問題はなかったのですが、ここにきてその先の荒れを予感させる兆しが・・・。すでに落石は両脇に取り除かれていましたが、急斜面の崖っぷちを進む地点で岩石バラバラな崖崩れが発生していたんですね。
線林道発見! 線路沿いから右に折れて崖崩れ箇所を過ぎる頃には、釜戸山の山麓にとりついて山腹斜面に広がる暗く鬱蒼とした植林内を進んでいますが、やがて行く手にY時の分岐が現れます。すなわち釜戸谷1号林道の分岐ですが、しかし、ぱっと眺めただけではどちらが釜戸谷林道本線なのかが分かりません。結果から述べると釜戸谷林道は左折方向で、釜戸谷1号林道は右折方向になっていますが、分かり難さの原因は林道標が未設置なことに加えて、右折する釜戸谷1号林道の方が路面状況的にみてマトモに見えているため。初めて訪れるとここはどうしても右折方向が本線に見えてしまいます。
→ 釜戸谷1号林道(右)の様子を眺める!
分かれ式に分岐を繰り返す林道での探索においては、まずはその林道を末端まで進み、終点を確認してから引き返して、その次に分岐している林道を探索していくのがセオリー。途中で現れる分岐にその都度飛びついたのでは収拾がつかなくなります。というわけで、全然本線っぽく見えていませんが、ここは分岐を左折して引き続き釜戸谷林道を進みます。
お、素敵だな! 釜戸谷1号林道の分岐を過ぎて、谷(やつ)と呼ばれる谷間の名も無き小さな沢伝いに、進むにつれて傾斜角度を増していく勾配を登坂していきますが、路面状況はといえばこの通り。路面の砂利は完全に洗い流されて湿った山土が剥き出しとなり、そこに追い討ちで夏草がびっしりと・・・。これぞまさしく廃れたピストンのあるべき本来の姿!
に左へと曲がりくねった谷間を登り詰めるように前進していきますが、もはやここに立ち入る車両はないと見た! 路肩に隙間なくびっしりと繁茂したシダ植物は高温多湿なジャングルを彷彿とさせ、雑草まみれのダートは傷みまくって無数のクレバスが発生。しかも、通行が途絶えて放置が続いた結果、路面はフカフカな腐葉土と化しています。
雨の際に路面を流れ下る雨水で路面の土が均されてしまい、幅員の端が不明瞭な状態に陥っていた釜戸谷林道。車両通行の痕跡であるワダチは完全に消え失せて、ダートはただの荒れた草原くらいにしか見えなかったです。最後に車両が立ち入ったのは一体どれほど前のことなのかと考えてしまいます。あはは、しかし、そんな状況だからこそ逆に楽しいんだぜぇ!
ういえば、現在は植林に覆い尽くされている林道沿いの山中には、昭和16(1941)年〜昭和20(1945)年頃にかけてマンガンを採掘した「釜戸谷鉱山」があって、今も小さな坑道跡が残っているそうですが、それはこの辺りの斜面かな。そんな昔のことを考えながら登坂していきますが、ならば鉱山から鉱石を運び下ろした道があったはず。もしやその道って現在の釜戸谷林道のこと? 昔、鉱山があったのは本当らしいですが、いや、まさか・・・な。
の後、廃れたダートをたどることしばし、植林斜面の谷を登り詰めて釜戸谷林道の終点にたどり着きました。ピストンでのお約束通り、そこは車両の回転場になっていましたが、その先には踏み跡程度の山道すらなくて完全な行き止まり。立ち入る車両は途絶えており、膝まで伸びまくった雑草で埋め尽くされた林道終点が、草ボーボー状態と化していたのは言うまでもなかったです。しばしたたずんだ後、支線の釜戸谷1号林道を探索すべく引き返して釜戸谷林道の探索は終了ですが、たまにはこのように草深くて廃れたダートピストンもオツなもの。延長距離は短いですが、それでも思っていた以上に楽しかったです。
→ 探索終了!
→ その先を眺める!
→ 振り返る!
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