「えっ? タイヤを飲み込むこの砂はなに・・・?!」

ずぼぼぼぼ・・・。
走り下るというよりも、スベリ落ちるといった感じで一気に流れを渡った先にあったのは、
水の流れに沿って堆積した、目が細かくてホカホカな軟らかい砂の山・・・。
ジェベルを反転させようにも砂にタイヤがとられてしまい、しかも、もがけばもがくほど埋まっていくではありませんか!
「やっぱりヤメときゃよかった、ホントは分かってたんだよな・・・」
と悔やみつつも苦労の末、ジェベルを元来た方向へ反転させたのは良いのですが、
今度はあのヌタ坂を登らなければなりません。
こんな状態では助走は出来ないし、そうかといってヌルヌルの急坂を押して登るのも鬼です。
でも結局、それしか方法はなく、アクセルを吹かしながら手押しで少し進んで足を踏ん張り、そしてヌタにタイヤをとられてズルズルとまた少し後退・・・。

ヌチャッ!!

ヌタ坂でバイクが横転すると、摩擦係数が低いため、引き起こすのは非常に困難です。
「ハイカーが通りかかったら、モトクロスの泥道走行を装って誤魔化そう・・・」
情けないみっともなさと焦りが脳裏に入り交じります。
気が狂いそうな賽の河原状態が小1時間も続いたでしょうか・・・。

元々、中古で、ただでさえ状態が良くなかったジェベルですが、
この事件で、全身全てがヌタまみれになってしまったことで、この日を境に、さらに状態が悪くなってしまいました・・・。
その後、しばらく小康状態が続きましたが、某林道で電装系からエンジンまで危篤状態に陥ってしまい、自分はそこで地獄を見ました。
少々手荒なショック療法で一度は奇跡的に立ち直ったものの、
結局は手厚いケアの甲斐もなく、後日、とある山中で淋しい行き倒れ廃車になってしまうとは・・・。

→本道に脱出する!