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中根の湯発掘の由来 | ||
当家の初代留蔵は無類のお人好しで極度の神経痛を病んでいた。こんなお人好しではと父新平次は新宅を建て 所帯を持たせた九十年も前のこと、二代目幸太郎は親と性格反対の短気者で妻チエとの間に明治四十四年当家 三代目となる道男が出生した。 当時家庭用水は軒下の井戸水を使用、農村は極めて不況な時代で井戸枠の付け替えも出来ずにいた時一大事が 出来した。道男(五才)の叔父麟之助が誤って井戸に真っ逆さま。幸いにも枠に足が引っかかり宙吊りとなり 道男は懸命に足を掴んで泣き乍ら大声をあげた。気づいた叔母によって危うく一命を取り止めなんと僅か五才 にして人命救助の大手柄。 さて幸太郎は持ち前の短気さで物騒な井戸は埋めてしまいとそこから三メートルの地点を掘り始めた。五メー トル掘り下げ岩盤に突き当たる。かまわず掘ったらあっと驚く恵みの水がもくもくと湧き出した。日照り長雨 にも水位は変らず風呂に沸かせば以外な程にあたたまり、頑固な初代の神経痛はぴたりと止んでこれはこれは と家内中で大喜び。 大正拾年県衛生試験場で水質分析の結果ラジウム・アルカリ性分の含有が判明した。以来湯治風呂に用い神経 痛・胃病・腰痛等に特効ありと回を重ねてご愛湯を頂いている。今日も皆様のお越し誠にありがたく、何とぞ ごゆるりとお楽しみ下さいませ。 主人啓白 |
そういえば浴場の脱衣所に中根の湯の由来板が掲げられていました。 中根の湯は大正時代に発見されたみたいですが、 湯の発見にはどうやら二代目幸太郎さんの短気さが関係していたみたいだな。 → 浴場に向かう! |