林道探索入門 step1[ はじめに ] 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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テクニックうんぬんよりも必要なものがある
 [1]林道とは
 [2]林道探索とは
 [3]なにで林道探索するか
 [4]ガス欠について
 [5]パンクの心配
 [6]林道走行にテクニックは必要か
 [7]林道に単独で行くとあぶないか
 [8]林道探索の装備について
 [9]
自己責任とは
林道走行にいわゆるライディングテクニックが必要かどうかの問題は、一概に必要であるとかないとかではなくて、林道探索をどのように楽しむかによります。大荒れに荒れまくった特殊な場所や、とにかくスポーティーなオフの走りを楽しみたい、というのであれば、ある程度のテクは必要となってきますが、景色や雰囲気を楽しみつつのんびりと走りたいのなら、はっきりいって必要ありません。よくあるスタンディング走行も実際のところは気分転換や「尻が痛くなったから立って走る」といった程度のものです。

初めて林道へと出かける場合、「転倒するのはテクニックがないから」などと、それなりのライディングテクニックが必要であると思いがちです。でも林道はレース場やコースではありません。雑誌やネットなどで紹介されているようなテクニックは、そのほとんどが林道でそれなりの走りを求める方を対象としています。普通の林道を普通に走るには「完全に必要ない」とまでは言いませんが、なくてもとくに問題はないのです。むしろ林道探索で求められるのはテクニックうんぬんではなく、「状況判断力」と「控えめなスピードによる走行」の2点に尽きると思います。

どの部分を走行すればより安全かという状況判断力
状況判断力とは一言でいえば「路面状況の見極め」であり、主に荒れたりガレた路面でのライン取りで必要とされます。その部分を走ればより安全だという走行ラインの選択ですね。このライン取りの見極めさえ間違わなければ、それなりに荒れたりガレた林道でも転倒する確率はぐっと下がるでしょう。ただし、それでも林道ライダーの技量や状況によっては手押しや、両足をバタつかせての微速前進を強いられることもあります。

そしてそのような場面でビギナーの方にありがちなのが、なにがなんでもノンストップで進もうとすること。それこそが最も危なく、また林道がレース場やコースとは異なるところです。つまり、危ういなと思ったらテクニックでカバーするのではなく、素直に停車する、迂回させる、バイクを降りて手押しするということが大切となります。

とはいってみても、ある意味直感とも言える路面の状況判断は林道走行経験によって培われるものです。最初から林道での完璧な状況判断力を求めるのは無理があるかもしれません。生まれ持っての天才的な技量を持ち合わせている方は別として、そこで求められてくるのが、控えめなスピードによる走行となってきます。

スピードが上がるにつれて全てのリスクは急上昇
控えめなスピード。林道ではこの「すぐにでも停止できる控えめな速度」が何事に対してもカバーしてくれます。同じ転倒でもスピードが出ているほどダメージが大きいのは当然のこと、そのまま勢い余ってのコースアウトや崖落ち、といった最悪の事態につながる確率が大きくなります。つまりとっさの危険回避の判断がきかなくなりがちです。一方、スピードが低ければ転倒してもダメージは小さく、立ちゴケ程度で済むこともよくあります。実際そのスピードの違いで崖落ちするかしないかなど、その結果は雲泥の差となって現れてきます。

ただし、本当に荒れたり荒廃した林道では、スピードを出したくても物理的に出せない状況や、それがリアルな死に直結しているシーンもあったりします。

それでも林道をスポーティーに走りたいのならば、ある程度林道に慣れて路面状況の見極めができるようになってからでも遅くはありません。その方がいわゆる走行テクニックも身に付けやすいでしょうし、身体が自然と覚えてくれるでしょう。初めての林道走行でいきなりカッ飛ばすと、体がついていけずにたいていは転倒してしまいます。

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