2024 絶海の孤島「利島」林道探索 弾丸ツーリング 5月11日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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荒波押し寄せる海食崖の断崖直下をゆくコンクリ簡易舗装を進んでいくと、やがてこんな感じでいきなりプツリと道が途切れていました。付近を見渡してみても観光客が喜びそうな物はなにもありません。

しかし、利島を取り囲む海食崖の断崖を間近に眺められ、そして豊島が火山島であることの証である「溶岩」を手で触れられる場所は実はここだけなんだよな。それでいながらいかなる案内板や観光マップ、パンフレット、利島を紹介するウェブサイトやブログには紹介されておらず、そういう意味では利島の中でも穴場的な場所。

ただし、ここは客船が発着する利島港本桟橋から海岸伝いに1kmほど進んだ場所。エンジン付きならあっという間に往復できますが、徒歩の場合、その先になにがあるのかわからぬままの往復2kmは少々ハードルが高いかな。あはは。
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いきなり終点となるコンクリ簡易舗装の末端地点ですが、左の路肩の脇に波打ち際へと降りる階段がありました。しかし、階段は落石まみれで滅茶苦茶な状態。海食崖の断崖からドズンと落下してきた重さが1トンはあろうかと思われる巨大な溶岩塊が階段出口を塞いでいましたよ。

そりゃあ、階段出口を塞ぐあの溶岩塊は乗り越えられないことはないけど、波打ち際はガラガラな岩石で著しく歩き難い礫浜です。下手に歩き回ってすっ転んで足を骨折でもしたらトホホなので、ここは眺めるだけに留めておくのが吉とみた!








行き止まりとなったコンクリ簡易舗装のさらに先に続く礫浜の海岸です。遠目にはこのまま浜伝いに歩いて利島を一周できそうな気もしますが、今にも崩れてきそうな海食崖の断崖と、迫りくる波打ち際との間の僅かな浜を進んでいくのはかなり危険かと・・・。ちなみにこの地点を海上から眺めるとこんな感じです。







あわわ、波打ち際には凄まじい大きさの溶岩落石がゴロゴロと! 浜には人工物がなにもないのでスケール感が把握し難いですが、あのボテっとした溶岩塊の大きさは優に直径3mを超えています。重量も10トンくらいはありそう。

おそらく断崖からグワラン、グワランと転がり落ちてきたものに違いないですが、波打ち際にはそれ以外にも巨大な溶岩塊が大量に堆積しているじゃないですか! つまり、ここを歩くということは、いつあのような巨大な溶岩塊の直撃を喰らうかもしれぬということ。うぅ、恐ろしいぜぇ・・・。









礫浜の波打ち際になっているコンクリ簡易舗装路の行き止まり地点では、真水も得難くて塩の影響をもろに受けるので、植物なんかろくに生えていないだろうと思ったのですが、あにはからんや、そこは海浜植物たちのパラダイスでした。

その中でも多く見かけたのが伊豆諸島の準固有種であるキク科の「イソギク(磯菊)」です。「銚子〜御前崎〜鳥島(八丈島の南およそ300kmの無人島)」を結ぶ三角形をしたエリア内にのみ生育する海浜植物で、10〜12月頃に小さな黄色い花をたくさん咲かせ、利島では海岸の崖地や岩場でよく見かけます。







行き止まり地点からその先の海岸、海食崖の溶岩が露出した断崖などをしばし眺めたら利島港西桟橋に引き返します。そりゃあ、観光的にはなにもない場所でしたが、それでもここは、迫力ある海食崖が連なる荒々しい浜辺の景色を間近に眺めることができる唯一の場所。利島を訪れたさいには訪れてみたい場所ですなぁ。







現在は客船の発着には使用されておらず、先ほどは通り過ぎた利島港西桟橋の先端までやって来ました。振り返ると宮塚山がよく見えていましたが、桟橋にいたのは、やはり今晩の夕食のおかず目当ての地元民の釣り師が数人だけでした。
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西桟橋の左手(東)には海に長く突き出した利島港本桟橋が見えていました。あれが現在、客船の発着に使用されている桟橋で、赤い利島港西防波堤灯台も小さくポツンと見えています。ちなみにここ西桟橋から本桟橋までの距離は415mくらい。







おお、本桟橋よりも西桟橋から眺めた方が宮塚山がより美しく見えるなぁ。本桟橋から宮塚山を仰ぎ見ると、アングル的に桟橋上の灯台と高さ5mほどの防波堤が邪魔になるのですが、西桟橋には視界を遮る物がないので宮塚山がよく見えています。山麓の斜面に展開する集落の様子もバッチリですね。







利島港西桟橋からの景色を眺めたら、そのまま本桟橋方向には戻らず、桟橋の背後の斜面を登っていく利島一周道路の支線区間へと進み、坂道の途中、小高い丘の上に設けられた「利島ヘリポート」を訪れてみました。
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利島〜大島間を1日1往復する日本で唯一のヘリコプター定期航路「東京愛らんどシャトル」の利島ヘリポートですが、プレハブチックな搭乗受付事務所兼待合所はまるで工事現場の資材置き場にあるような資材小屋みたい。もちろん、夕方のこの時間は誰もおらず完全な無人状態だったけどさ。

ちなみに利島発着の東京愛らんどシャトルの時刻表と運賃は以下の通り。
大島12:10 → 利島12:20 7370円
利島12:25 → 利島12:35 7370円

ちなみに東京からの直行便はなくて、伊豆諸島の各島へ向かう便は基本的に大島発となるため、船とヘリコプターを乗り継ぐ必要があります。また、5kgを超える荷物料金は1kgごとに140円プラスされていきます。







誰もいなかった利島ヘリポートを眺めたら集落に戻りますが、そのまま利島一周道路で直行はせず、島の北西部をぐるっと巡る村道経由としておきました。といっても道すがらに海は見えておらず、ヤブツバキ林の中を緩く登って進んでいきます。
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道すがらに広がるヤブツバキ林。下草がきれいに刈られてちゃんと手入れがなされていることが分かりますが、ヤブツバキが花を咲かせるのは12月中旬〜3月中旬。ちょうど5月の今の時季は実が肥大し始めて種が成長していく頃らしいです。

その一方で冬の利島は地面が赤い花びらで染まり、「ツバキの絨毯」と表現されるほど華やかに島を彩りますが、タイミング的にはちょうど強い季節風が吹き荒れて客船の就航率が下がる頃。ヤブツバキのきれいな花は見たいけれど、もしもの欠航を予定に入れておかないと怖くて利島を訪れられないです。







ヤブツバキの花が咲き乱れる頃の利島を想像しながら村道を進んでいきますが、相変わらず路肩には雑草と化した「アシタバ」が生えまくっていました。

なんでも利島村では、2008(平成20)年からJA利島支店所属の組合員に限って、休耕地をアシタバ生産のために整備する場合に「利島村明日葉栽培用地整備事業補助金」が交付されるようになったらしいのですが、しかし、近年はアシタバに代わってより需要がある「シドケ」の栽培がトレンドになっているんだよな〜。







その後、宮塚山の山麓に広がるヤブツバキ林の中をなだらかに登っていくと、ここで利島一周道路に合流しました。場所は集落の西の外れ地点で、民宿かねに荘がある集落の中心は左折方向なのでそちらに曲がりますが、その直後に島で唯一の「利島村立利島保育園」があったような気がします。
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利島村立利島保育園の前を通り過ぎて集落内を道なりに進んでいくと、急激な下り坂となった左折分岐がすぐに現れました。道端には「←郵便局・利島港」の道標が設置されていましたが、その左折方向が利島のメインストレートになっていみたいです。郵便局および商店と自販機があるんですね。
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その曲がり角で立ち止まって民家が密集する集落を眺めてみますが、おお、家家の屋根の向こうに黄昏時の海と大島がはっきりと見えているじゃないですか!

利島の集落は激坂まみれなこと有名ですが、それは集落が宮塚山の斜面に位置しているから。したがって集落の北(利島港寄り)と南(宮塚山寄り)とでは海抜差が40mもあるので、集落内にいながらにして、このように海が見えているんだぜぇ!







ちなみにこれが利島のメインストレートになっている左折方向の道。少し先に郵便局と商店がありますが、ご覧の通り、道は凄まじく過激な下り坂になっていて、それは2輪で下っていくのに「恐怖」を感じるほどの傾斜角度!

このように集落内は酷い坂道まみれなので、通常は利島到着時に「港から集落内の宿までの送迎をお願いしておいた方が良い」というのもこれで納得ですね。あはは、だって重い荷物を抱えてのこの登り坂はかなりキツいですよ〜。







というわけで、あんまり過ぎる過激な傾斜角度に恐れをなして左折の曲がり角は直進します。すると30mほどで左手に利島で唯一の建設会社「利島建設」があって、そこから130m先には右手に「利島村立利島小中学校」が現れます。

なお、利島小中学校の脇には左折する道があるので、そこを曲がると民宿かねに荘に戻れますが、道なりに直進すると、そのすぐ先に日本一小さいボウリング場があることで観光客にもよく知られている「利島村勤労福祉会館」があります。

利島村勤労福祉会館は利島の村役場の「産業観光課(観光窓口)」も兼ねていて各種パンフレットがもらえたり、各種ガイドツアーの受付もしているので、雨の日とか、時間がある場合は立ち寄っておくといいでしょう。







利島村立利島小中学校のグランドが見えたら、利島村勤労福祉会館方向に向かって直進していく利島一周道路から左折する道が現れるのでそこを左折します。するとその直後の右手に利島小中学校の正門があります。







正門から眺めた校庭と校舎ですが、利島に「利島小学校」ができたのは1877(明治10)年で、「利島中学校」ができたのは1947(昭和22)のこと。ぱっと見しただけではそのように見えませんが、実は147年もの歴史と伝統のある学校だったとは!

現在(2024 / 令和6)の生徒数は小学生が16名、中学生が8名だけですが、文化祭や運動会などの学校行事は、それこそ島をあげてのイベントになるみたいですよ。

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