2024 絶海の孤島「利島」林道探索 弾丸ツーリング 5月11日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
1日目[3]  島内探索〜民宿かねに荘! もどる  






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利島村立利島小中学校の正門を後にして左に「長久寺」を眺めつつ、坂道を下って民宿かねに荘まで戻ってきましたが、そういえばお寺といえば、長久寺には「流人塚」および日蓮宗の流人僧であった「日深」と「日好」のお墓があるそうです。

江戸時代の流刑地として伊豆諸島の島々はよく知られていますが、利島は土地が狭くて流人を養える余裕はなくて、流罪先としては不適当なため、流人の予備的な島替地にしか過ぎなかったようです。そのため島内には流人の牢舎や戒具、刑場などは存在しておらず、八丈島のような流刑地としてのイメージはかなり薄いです。

ちなみに記録に残る最初の島替え流人は僧侶の「了昌」。酒癖が悪くて1766(明和3)年に三宅島から利島に移されていますが、1791(寛政3)年に記された「南方海島志」によると、その頃の利島には島替えの流人が4人ほどいたらしいですよ。







なお、利島港からヘリポートと回って民宿かねに荘の前まで戻ってきましたが、そのまま宿の前を通過。宿にはお茶などの飲み物がなにもないので、部屋で飲む飲料を商店で購入するのを忘れていたんですね。そういうわけで商店を探して集落内の狭い路地をWRで徘徊しますが、ここでとあるお店を発見!







その名もズバリ「オレンジ」。一応、スナックということになっていますが、居酒屋を兼ねた食事処らしく、入口に貼ってあった手書きの告知によれば、営業時間は午後6時〜10時までで火曜日が定休日。ただし、来店前に予約の電話が必要なので、おっさんが仕事帰りにちょっと一杯という感じの赤提灯的な飲み屋ではないですね。

ちなみに伊豆諸島のスナックといえば、神津島には知る人ぞ知る「アニメイト」というお店がありますが、離島のスナックはどれも個性的な店ばかりだぜぇ。







スナックオレンジの建物を眺めた後、店の前のT字の交差点を左折すると、そこは先ほど上から眺めた鬼坂状態のメインストリートでした。額を地面に擦り付けてしまいそうなほどの凄まじい傾斜角度に怯んでしまいましたが、意を決して登坂していくと「利島郵便局」の真向かいに自販機を発見!

さっそく缶コーヒーを数本購入すべく路肩にWRを停車させますが、ご覧の通り、ここは凄まじい坂道の途中です。ズズズと後退りで自然転倒してしまいそうな怖さがあったので、WRはニュートラルではなく1速状態で慎重に止めておきましたが、それでも倒れてしまわないかとヒヤヒヤものだったなぁ。
現在地を確認する!







缶コーヒーを買いがてら改めて坂道を眺めてみますが、あわわ、こいつは稀にみる凄まじい傾斜です! 斜め45度に近い傾斜角度によって、二輪だと登りでは後方にひっくり返ってしまいそうなバク転姿勢となり、下りでは前転姿勢で前のめりになってしまいますが、しかし、島の軽自動車は慣れているのか普通に登り下りしています。







自販機が設置されていた鬼道の途中にて。利島はとにかく平地が少なくて道は坂道状態がデフォであり、そのため島内で自家用スクーターを見かけることはあっても、移動手段としては坂道に弱い自家用自転車を見かけることはなかったです。







坂道を登っていく途中、利島のメインストリート沿いにある「マルミ商店」です。ついでに立ち寄ってお酒と夜食用のお菓子でも買おうかと思いましたが、なんてこったい、勾配がキツ過ぎてWRを安全に止めておく場所がねーじゃん!

というわけでマルミ商店での買い物はパス。そのまま坂道を登りきって左折、利島村立小中学校の脇を下って宿に戻ることにしておきました。







民宿かねに荘に帰還。WRは同じ場所に止めて部屋に戻り、缶コーヒーは廊下にあった宿泊者共用の冷蔵庫に入れて冷やしておきました。







客室に戻って冷たい缶コーヒーで喉を潤したら夕飯前に風呂に入ります。利島には温泉はないので、風呂は水道水を沸かした普通の家庭風呂でしたが、潮風でベタベタな汗をきれいさっぱり洗い流せて気持ち良かったです。

ちなみに聞いた話だと、利島は火山島なので掘削すれば温泉は出るらしいのですが、費用対効果が悪くて割が合わないので掘らないんだって。







風呂に入ってさっぱりして客室で寛ぎ、午後7時になったので食堂に向かいます。利島は「伊勢エビ」と特大サイズの「サザエ」が特産の島。また民宿かねに荘は自家製野菜も自慢なのだそうで、「どんな夕食が出るのかな〜」っと期待していましたが、テーブルに用意されていたメニューは以下の通り。

タマネギ乗せ豚冷しゃぶ、焼きサバ(3/1切れ)、マグロとイカの刺身、茹でアカイカ、アシタバとサバの和え物、ツミレの吸い物、タクアン、白いご飯

う〜ん、利島の食材はアカイカとアシタバだけで、あとは全て本土から送られてきた食材だな。つまり、島外から輸送しないと食材そのものがないんですね。でもまあ、令和2(2020)年時点での年間漁業生産額は僅か1600万円ほどで、観光客数も伊豆諸島では青ヶ島村に次いで少ない年間2230人しかない利島の宿なので仕方ないか・・・。

それでも利島村のウェブサイトでは伊勢エビや特大サザエが必ず紹介されているので、利島を訪れる者は少なからずそれを期待するのですが、事前予約の別注文で頼んでおかない限り宿の夕食で出されることはまずないと思います。なんだか騙されたようでがっかりする観光客はかなり多いと思いますが、まあ、これがリアルな現実っす。







この日の夕食で一番美味しかったのが茹でた「アカイカ」でした。シンプルにネギを散らしただけのものですが、アカイカは伊豆諸島海域では大島から神津島、三宅島、八丈島に分布するイカで、標準名は「ケンサキイカ」。

伊豆諸島では3〜8月に一本釣りまたは定置網で漁獲されるほか、桟橋や磯からも釣れますね。コリコリとした食感が美味しいイカで、ここ利島でも水揚げされているので、これは利島ならではの地元食材ですなぁ!







伊豆諸島ではよく知られた「アシタバ」とサバのほぐし身の和え物です。アシタバだけは伊豆諸島のどの島の宿でも必ずといってよいほどよく出されますが、ホロ苦さがツウ好みの美味しい一品でした。以前は利島でも農作物として栽培されていましたが、現在は「シドケ」栽培がそれにとって代わっています。







あー、それから白いご飯はお代わり自由で炊飯器からセルフでよそう方式でしたが、残念ながらやけにパサついた米で美味しくなったな〜。白いご飯が美味しけりゃあ、それだけでたいていは満足できるものなのですけどねぇ・・・。

ちなみにこの日の晩酌は瓶ビール1本だけ。伊豆諸島の焼酎「情け嶋」とか「若盛」でも呑みたかったのですが、おかずはどれも量が少な過ぎて酒の肴にならなかったので今回はお預け。そそくさと夕食を食べて客室に戻るしかなかったぜぇ。







夕食後、寝るには早く、やることもないので夜風に吹かれるべく外に出てみましたが、利島の夜は本当にひっそりとしているな〜。なんだかスナック「オレンジ」にでも出かけたくなりましたが、ちぃ、予約してねーし、ダメか・・・。

ちなみにこの日の民宿かねに荘の同宿者は、一人旅の女性と港湾工事の仕事で長期滞在中のお兄さんとおっさんの3人でした。聞いた話によると、やはり利島にはふらりと出かけられるような飲み屋はなくて、島民も含めてみんな晩酌は商店で酒を買って済ますのだそうです。島への貨物は酒類が多い理由がこれで分かりました。







その後、部屋に戻ってセルフで布団を敷いてゴロゴロしながら島内マップを眺めつつ明日の作戦を練りますが、実はこのタイミングで宮沢林道だと思っていた道が実は「ただの村道」であったことが判明。

なので明日はフェリーあぜりあ出港前の僅かな時間で宮沢林道を探索しなければいけなくなりましたが、予報では明日は雨が降り始めるのは夕方なので問題はねーな。というわけで夜は午後11時くらいまでテレビを眺めてから寝ましたが、利島の夜は本当に静かでぐっすり眠れたのが良かったな〜。ではお休みにゃさい・・・。

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