探索日 2011.08.15
No.AO-063

橋掛沢線 ■佐井村 ■全線ダート ■分岐→太右ェ門沢線
■県284号線「中の橋」から山中に延びる

 目に映るのは濃厚な緑のみで底知れず深い下北の森の雰囲気を堪能できる!  

 ↓橋掛沢沿いの渓流区間にて。全線走破の場合は終盤にてそれなりのリスクが
 求められますが、途中までなら下北の濃厚な森の雰囲気を味わえるでしょう。


……こんな感じ……
■県284(あすなろライン)から分岐するピストンの1本で、林道名となった橋掛沢沿いに遡上して延びる全線ダート。おそらく、本来は下北の豊富な木材搬出路としての役割を担っていたものと思われるが、現在ではその役目を終えてひっそりと訪れる者も滅多にいない静寂な様相を見せている。途中で橋掛沢の流れと併走する区間が唯一の見所で、それ以外は底知れず深い森の中を進むことになるが、沢沿いに設けられた林道ということで目立つ勾配もなく全線ほぼ平坦路で路面的にも走りやすい。ただし、ダートはとある地点を境として急激に草深さが増してしまい、不可ではないが、そこから先へとさらに前進するにはそれなりのリスクが求められてしまう。

■下北半島先端部を横断する県284号線(あうなろライン)沿いで知られた林道といえば、赤滝線や西の股線(易国間線、佐藤ヶ平線に接続)といったところですが、それ以外にも数本のピストンが存在しています。世間一般的には遠路はるばる訪れて林道ツーリングのプランに組み込むほどの存在ではないでしょうが、そんなピストンの1本がこの橋掛沢線。このように県道沿いに入口があるため、そこに突入するか否かは別として、橋掛沢線とはどのような林道であるのか、ひとかどの林道好きならばとりあえず気にはなるところでしょう。
■県284号線はこれまで数年来幾たびも通行しており、そのつど橋掛沢線の入口は目にしていましたが、いかんせんこれまでの限られた探索日程の中では指をくわえるしかなかったのが正直なところです。しかし、いつまでも指をくわえているわけにはイカンでしょう。というわけで、ついに橋掛沢線を探索すべくその入口へとやって来ましたよ。
■県道からの入口脇に立つ林業系の資材小屋とおぼしきプレハブの前を通り過ぎて少し進むと、入口に掲げられている文字の摩滅寸前の古ぼけた林道標とは別に、比較的新しい林道標が改めて設置されていました。当然ながら双方に記されているのは「橋掛沢林道」の文字であり、県別地図などを眺めてみれば、それは林道沿いに流れる橋掛沢に由来した名称であることがすぐに分かります。
■晴天時であれば、ここはそれなりに締まった路面であると思われますが、雨天直後につき大きな水溜まりも発生してペトペト状態に。ま、それは仕方のないことですが、夏場の林道にて大量にまとわりつく厄介なメジロアブが、ここ橋掛沢線には一匹もいなかったことだけは幸いでした。
■草木が邪魔をして道すがらに眺めることはできませんが、林道名にもなっている橋掛沢沿いの平坦路をしばらく進むと、このような切り立った断崖区間に差しかかりました。橋掛沢線開設につき山肌を切り崩したものですが、コンクリ吹き付けで固められていました。そうでなければ、ここはもう確実に崩れていたでしょうね。
■オーバーハングに近いようなせり出しを見せるコンクリ吹き付け断崖区間が続きますが、その途中には清水が壁面を伝って流れ落ちているというか、小滝になった箇所がありました。よく眺めてみると、それは小さな沢の細流で、当然ながらその部分だけはコンクリ補強するわけにもいかなかったらしく、切り立った地肌が剥き出しになっています。
→小滝を眺める!
■橋掛沢線のダートは両路肩に茂る木々が形作る緑のトンネルを抜けるようにしてさらに延びています。ここは沢沿いにその上流に向かって延びる林道であるので、全体的にみれば登り坂となっているはずですが、感覚的にはほとんど平坦路状態にありました。いたって走りやすいコースです。
■「支線発見!」緑の濃ゆい森の中をさらに前進すると、やがて左手に流れる橋掛沢線を跨いで分岐するダートの入口が現れ、しかもそこには「太右エ門沢林道」と記された林道標が! てっきりこの橋掛沢線には名のある支線など存在しないと思っていただけに、こいつはなんとも嬉しい思い違いとなりましたよ。そうとなれば、もう絶対にこの太右エ門沢林道なる存在を見逃すわけにはいきませんが、はやる気持ちを抑えてまずは本道である橋掛沢線の探索を優先続行します。それにしても橋掛沢線に太右エ門沢線という未知なる支線があったとは!
→太右ェ門沢線に突入!
■橋掛沢線の分岐を過ぎると、林道のすぐ左手に橋掛沢の流れが寄り添って(最上段の画像参照)きます。全線深い緑に包まれた橋掛線のコースの中にあっては、唯一の見所的な区間であり、快晴にでも恵まれれば爽やかさが得られるのでしょうが、探索時は雨天直後であるため、爽快感の代わりに充満するしっぽり感を味わうことに。
→路肩左手を眺める!
→路肩右手を眺める!
■「終点?」雨でしっぽりとした雰囲気の漂う橋掛沢の流れに沿ってさらに前進すると、やがて唐突に行く手が途切れてエンド状態になりました。その先は薮と木々が濃厚に生い茂ったまさに「森」状態であり、ダートが続いている様子もまったくなし。そしてやけに呆気ないなと思いきや…。
■なあんだ、左急カーブの先にもまだダートが続いていましたよ! 路面にはびこる濃厚な雑草と周囲を取り囲む深い森の緑にて行く手が完全にカムフラージュされていたというわけか。草深いピストン系の末端ではよく陥る事態ですが、それもこの草深さじゃあ、無理もないですね。ただし、思い違いを起こさせるだけのことはあって、その先は恐ろしい緑の魔境状態になっていたことだけは付け加えておきましょう。
→振り返る!
■で、先述したように、その先にもダートはまだ続いてさらに深い森の奥へと延びていましたが、以降の区間はもうずいぶん永いこと人や車両が立ち入った痕跡はないようでした。両脇からは木々の枝がせり出し、路面は全面的に雑草に覆われてしまい、自然回帰の真っ最中といった感じかと…。これで雨天直後でなければさらなる前進もできたでしょうが、残念ながら全てが雨に濡れている状況がそれを許しません。見かけ的にはそうでなくても本当に危ういところは、長年の経験によりなんとなく直感的にピンと分かるもの。林道探索では時として無謀とも思える前進も求められますが、あえて勇気を持って撤退することもまた重要です。ということで橋掛沢線の探索はここまで!
→探索終了!
→振り返る!
→周囲を眺める!