多々石線

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■周囲の視界が全くきかない藪の中を掻き分けるように前進します。元もと、多々石線開通時の幅員がどれくらいあったかは知りませんが、ここまで藪に浸食されているとは…。やはり一般的にはここは廃道化しているのでしょう。
■これ、どういう状態か分かります? 藪の蔓草がもつれて頭の高さで路面を真横に横断しています。通過に際しては顔面に擦れるのが嫌なので無意識に屈み込みましたが、屈み方が甘かったようで、なんとこれがメットのバイザー部分に引っかかり、首が後方にもげそうに! ここは亀の歩みでゆっくりと走っていたのですが、それでも衝撃はかなりのものでした。身体で押し分けようとしたり、勢いづいていたら、間違いなくシートから後方に投げ出されていたと思います。藪区間の怖いトラップですね。
■「はぁ、はぁ、はぁ…」蔓草に首をもぎ取られそうになったショックで気が動転、冷や汗で一気に全身つゆだく状態になりつつ前進すると、やがて前方からバババ…というエンジン音が! 反対側からやって来たオフバイクの対向車に違いなく、嬉しい反面、すれ違いスペースのないこの場所でどうしようかと焦りますが、やって来たのは5、6台のオフバイク軍団。結局、次々と右手の藪に突っ込む形ですれ違っていただいたのは何だか申し訳なかったです。多々石線では区間によってはバイク同士でもすれ違い不可の地点もあるので要注意ですが、といっても注意したところでどうにもなりませんが…。
■「なんでこんな場所に落石が…?」視界のきかない藪の中を目隠し状態で進んでいるため、その先には何があるのかさっぱり分かりません。いきなり路面を塞ぐように岩石が転がっていたりするので驚きます。ちなみに、この区間は九十九折りの断続的な下り坂になっており、岩石は右手の藪に隠れた斜面から転がってきたものだと思われました。
■その後も藪はちっとも収まらず、場所によっては頭上を覆ってトンネル状態になっていました。しかも間が悪いことに、そういう地点に限って水溜まりがあったりします。蔓草に首を引っかけて以来、全身汗まみれですっかり咽はカラカラに…。
■おや、前方にまた土砂崩れが。そういえば、先ほどのオフバイク軍団の方に「もう1箇所土砂崩れがある」と教えていただきましたが、どうやらここがそれのようです。でも行く手はさほど路面が盛り上がっている様子もありません。はて、これは一体なぜ…?
■「げえぇ…ッ」なんと行く手が垂直落下状態に! 元々は緩い斜めの登り坂に土砂が堆積したらしく、こちら側から眺めるとここは落ち込むような段差状になっていました。おまけに段差を下る路面はV字に切れ込んでおり、半ばヌタヌタ化していていかにも滑りそうな感じに。それでもここは下るだけなので、反対側からやって来た場合の登りと比べるとかなり楽になっています。
→振り返る!
■「はぁ…」土砂崩れ地点を過ぎましたが、藪まみれのガレダートはまだまだ続きます。山肌をどんどん下っていることだけは分かりますが、こんな状態がいつまで続くのかは分かりません。でも引き返すわけにも行かず、ここはあくまで進むのみです。
■そんなこんなで藪を掻き分けるように進むと、やがて路面は土質のヌタヌタとなり、進むにつれて中央部分が窪地のようにへこんできます。ここから本格的な第2のクレバス区間が始まりますが、多々石線の難所としてはこれが最後なので気合いを入れてアクセルをひねります。
■おえぇ〜、V字状に窪んだ路面は岩石とヌタヌタの泥まみれ! 足回りが泥跳ねで凄いことになるのは諦めるとしても、ここでの転倒だけは何としても避けたいところです。ヌタに埋もれた岩石は特にスリップしやすいので、ここは再び両足を付いて慎重に前進するしかないでしょう。
■そのうち路面の窪みは一筋のクレバスと化し、そこが唯一の走行ラインになってしまいます。両路肩からはビッシリとクマザサがせり出し、クレバスの脇はツルツルでとても走れる状態ではありません。ここはあえて自ら溝にハマり込むのが正解でしょう。でも、すれ違いはできないし、運悪くここで雨に降られてしまったら、もう悲惨の一言ですね。あはは…。
■かつてここがどのような状態であったかは知りませんが、補修が入らない現状では、日時の経過と共に路面状況は悪化の一途をたどるのみかもしれません。例えて言えば、山中の獣道を形成、維持する動物の役割を、たまに入り込むオフバイクが僅かに果たしているとはいえ、そのうち、ここはもっと酷いことになりそうな予感です。なんとも味な真似を…。
■路面を緩く蛇行するクレバスに沿ってダラダラと前進します。そこが唯一の走行ラインとは心細い甲斐りですが、慣れてしまうと、溝にハマって走るのが意外と楽しく思えてくるのが不思議でした。
■クレバスに沿って両足を付けながらしばらく進むと、徐々に路面状態が安定してきました。溝も次第に浅くなり、ようやくクレバス区間の終了です。ただし、両脇から迫る藪の猛威は相変わらずなので、ここで気を抜くと…。
→気を抜くと…?
■クレバス区間を抜けてもダートは下り坂でまだ続きます。路面はやはり荒れてはいますが、それでもクレバス区間に比べると格段に走りやすくなりました。でも途中にはさらに路面崩落があって、ちょうどその地点ではせり出た藪の小枝が…。ここは無理に小枝を避けようとはせず、むしろ小枝に打ち当たっていくしかないようです。
→さらに多々石線を進む!
→探索中止…