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精進湖民宿村の北端にある遊歩道入口から青木ヶ原樹海へと入りますが、立ち入った直後は普通の森といった感じで、すぐに案内板が現れます。
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富士山原始林 | ||
規模 富士山北麓精進登山道に沿う大原始林は景観上からは勿論、天然記念物ならびに 学術上からみてもその価値が高い。 精進湖畔にある原始林は通称青木ヶ原樹海と呼ばれているが、ここから富士山五合目に向かって 一大原始林がつづいている。 青木ヶ原は、中部日本では稀にみる立派な森林で、附近にある展望台から望めば、 青木ヶ原樹海という名称そのままの緑の海の感がある。 この樹海は今から千数百年前富士山中腹よりの噴火によってつくられた 青木ヶ原溶岩流の上に形成された森林です。 山梨県 |
青木ヶ原樹海は富士山北麓の大森林ですが、「青木ヶ原」の名前の由来は森に一面緑の苔が生えているからで、「樹海」とは、高所から見下ろすと海原のように見えて、そこに風が吹くと木々の梢が揺れて波打つように見えることから付けられた名称。 そして案内板に記されているように、青木ヶ原樹海は精進湖の湖畔から富士山五合目にかけて広がる広大な原始林ですが、これから進むルートは「精進口登山道」というやつで、R139から樹海を横断して県71を横切り、最終的には富士山の5合目へと至るおよそ17キロほどの道。今回はそのうち県71までを往復して探索するというわけ。 |
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言葉で説明しても分かりにくいので、R139から県71へと向かう樹海横断ダートを地図で示すとこんな感じ。幹線道路から遠く離れた広大な青木ヶ原樹海のまっただ中を横断していくルートがこれでよく分かると思います。 ちなみに昨日は「森の駅風穴」付近で樹海を歩きましたが、R139〜県71間の往復に比べれば、それがほんの僅かな距離であったこともまた分かりますね。 |
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命は親から頂いた大切なもの もう一度静かに両親や兄弟、子供のことを考えてみましょう。 一人で悩まずまず相談してください。 連絡先 富士吉田警察署 自殺防止連絡会 |
青木ヶ原樹海では有名な「自殺防止看板」。しかし、ここから樹海へと立ち入り人は少ないのか、精進湖民宿村にある入口にはこの類の看板は掲げられていません。 また、最近は自殺防止の声かけを「親切の押し付け」などという人もいるようですが、それはちと勘違いかも。地元の人からすれば、やたら自殺されると観光地としてもイメージダウンになるし、それに発見された遺体の後片付けなんて正直誰だって嫌であり、非常に迷惑となります。なので自殺されてしまう前に声かけをします。 親切とか同情とかそれ以前に、誰だって家の近所の森で自殺されたら嫌であり、かといって「他の場所でやってくれ」とは、人として決して言えないので、とりあえず話くらいは聞いて引き止めますなぁ。 |
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富士山原始林の案内板を過ぎると、一気にいわゆる樹海らしさが増してきます。訪れたのが快晴の日の午前中なので、木漏れ日が差し込んで意外と明るいですが、それでも道すがらの森に漂う雰囲気はかなり鬱蒼としています。
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青木ヶ原樹海は過去の噴火でできた溶岩原の上に形成された森なので、地面はボコボコです。このような深さ数メートルもある窪地もけっこう見かけました。
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よく眺めると地面には至る所で黒々とした溶岩が露出して盛り上がっていて、深緑色のコケに覆われた溶岩には、ツガやモミ、ヒノキが強引にへばりついて生えています。しかし、溶岩に覆われた地面は土壌が薄く、風の影響で倒れる木も多くて倒木だらけなので、森からはごちゃごちゃな雑然とした印象を強く受けます。
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途中、道標がありました。「←精進湖 風穴→」と記されていると同時に「東海自然歩道」とも記されていて、ここが完全な山道ではなくて、ある程度整備された道であることが分かります。迷い込むと二度と出られないと言われる青木ヶ原樹海ですが、樹海の中を巡る道そのものは意外と手厚く整備されているみたいだな。
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道端の倒木にくっついていた「サルノコシカケ」です。青木ヶ原樹海の中では倒木や朽木に生えている姿をよく見かけます。サルノコシカケとは樹木の幹に半月状で繁殖する木質の硬いキノコの総称。漢方薬の原料として取引されているという貴重なサルノコシカケですが、しかし、産地が青木ヶ原樹海産ではなぁ・・・。
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青木ヶ原樹海を覆う樹木は常緑針葉樹が多く、そのため一年を通じて森のほとんどは緑色に覆われていますが、カエデやモミジ、ブナなど秋に紅葉する落葉広葉樹も僅ながらに見られます。なので青木ヶ原樹海が紅葉名所だという話は聞きませんが、しかし、秋には常緑針葉樹が林立する森の中でこのように美しく色づいています。
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道端の樹木の根元にぽつんと置かれていた道標。「←御殿庭 精進民宿→」と記されていますが、「御殿庭」は精進湖と富岳風穴との中間付近にある地名です。すなわち、道標はこのまま進めば御殿庭を経て富岳風穴へと至ることを示しています。なお、「精進民宿」というのはいうまでもなく出発地点のこと。
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道標を過ぎて鬱蒼とした樹海の中の小道を進んでいくと、やがて十字路が現れます。直進すると御殿庭を経て昨日訪れた富岳風穴へと至り、左折すると350mほどでR139沿いの消防署の脇に抜け出しますが、今回進むべき方向は右折側。 手前方向は出発地点である精進小民宿村ですが、右折方向こそが今回の青木ヶ原樹海横断ダートの紅葉探索のステージとなる区間で、ここから青木ヶ原樹海のまっただ中をひたすら歩いて県71を目指すというわけなんだぜぇ! |
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十字路を振り返るとこんな感じ。こちらは出発地点のある精進湖民宿村方向。道は東海自然歩道として大雑把に整備されてはいますが、車両の通行は物理的に無理な「山道」であって、ここはいわゆる「ダート」や「林道」ではありません。
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十字路の左折側はR139方向。R139から県71とを結んで青木ヶ原樹海を横断する「精進口登山道」の一部であり、当初はこちらか側から国道経由でのアプローチを考えていましたが、宿泊している民宿やまか荘のすぐそばにも樹海への入口があるため、ルートを変更して精進湖民宿村側から山道を進んできたというわけです。
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十字路の右折側はこれから進む予定の県71方向。いよいよ青木ヶ原樹海横断かとゾクゾクしますが、しかし、意外にも道は簡易舗装されています。つまり、ここは物理的に車両の走行も可能な車道なんですね。いわゆる「樹海林道」というやつで、今でこそ許されませんが、かつては密かにオフバイクで走れた道だったりします。
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十字路に立つ道標です。て「←富士スバルライン五合目 精進湖→」と記されていますが、進むのは富士スバルライン五合目方向。青木ヶ原樹海を横断して県71へと到達した後も、引き続き精進口登山道として富士山5合目まで続くルートなので、行き先が富士スバルライン五合目と記されているんですね。 ちなみにここから富士山五合目までの所要時間はなんと703分! したがって、進口登山道経由で富士山登りをする人も、青木ヶ原樹海を横断するR139〜県71間はパスして県71から登り始める人が多いみたいです。さすがに11時間も歩いてられねーし。 |
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十字路を右折して歩いていくとやがて現れる祠を収めた小屋。よく分かりませんが、祠は富士山信仰となにか関係あるみたいです。その昔、富士山が噴火していた頃、吹き上がる炎を眺めて当時の人々は富士山に怒れる神の姿を重ね合わせたに違いなく、富士山信仰の起源はそのあたりにあるように思います。
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祠を収めた小屋の前を通り過ぎてなだらかに登っていきます。路面は簡易舗装されているのですが、落ち葉の量が物凄くて舗装の路面が全然見えていません。
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道すがら路肩に迫る溶岩の斜面。ガラガラに盛り上がった溶岩の隙間を樹木の根が雁字搦めに這いまくって見るからに不気味。このような状態なので、樹海の中ではたったこれだけの斜面でも登り降りするとなると一苦労です。
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さらに歩いていくと道端に角が摩滅して丸くなった古い石碑がありましたが、これは江戸時代に庶民の間で大流行した「富士講」に関係する道標の石碑だとのこと。 現在ほど旅行が自由でなかった江戸時代、誰もが富士山へ行きたい、登って拝んでみたいと願っていましたが、それには多大な費用と日数がかかります。そこで当時の人々は口数を決めて定期的に金銭を払い込み、払い込まれた旅行費用の給付を受けることができる者を順番に抽選や入札などで選ぶ「講」にこぞって参加しますが、登山の対象が富士山だったので富士講というわけ。 本来、富士講そのものは富士山に登拝して修行する宗教的組織ですが、昔の人々は誰もが宗教にかぶれていたわけではなくて、早い話が富士講に入って富士山信仰を理由とすることで、堂々と富士山に登れたというわけですね。 そんな富士講の富士山巡礼の道の一つが精進口登山道であり、石碑はそれを示す道標ってところでしょうか。したがってこの道はかなり歴史が古いらしいです。 |
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青木ヶ原樹海の森に明るく差し込む陽射しです。道端から眺めているぶんにはピクニック気分で気軽に森の奥へと入っていけそうにも見えていますが、でもでも、それが致命的な「命取り」になることは言うまでもありません。ひぃ、怖えぇ〜!
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そんな迷子が怖い樹海の森ですが、足元には黄色く鮮やかに色づいた小さな黄葉がありました。ぱっと見すると黒々とした常緑針葉樹だらけの樹海ですが、目を凝らせば秋の小さな色付きを足元のあちこちで見つけることができます。
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でもやっぱり目につくのは地を這いまくる樹木の怪しい根っこ。なんだか今にもこちらに向かってモゾモゾと蠢動してきそうで気持ち悪いです。
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不気味にコケを纏って気持ち悪く曲がりくねり、異形の形にねじくれた樹木の根っこ。うへぇ〜、青木ヶ原樹海の森はこんなのばかりだよ・・・。
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道から一歩はずれると倒木がバキバキに積み重なり、露出した溶岩で滅茶苦茶な状態になっている樹海の森。そこはとてもじゃにけどマトモに歩ける状態ではなく、迷い込んだらそう簡単には抜け出せないことがヒシヒシと伝わってきます。
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樹海の地面は堆積した落ち葉に覆われていて、基本的に状況がよく判りません。斜面に露出した巨大な溶岩塊と地面の隙間には、地割れのような洞穴が黒々と口を開け、厚く積もった落ち葉の下から飛び出た樹木の根がそこいら辺を這いまわっていますが、それらが落ち葉に隠されているので、不用意に歩き回るとかなり危険かと・・・。
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うひゃぁ・・・。パックリと口を開けた深い溶岩の亀裂や落ち葉に隠された穴。そして横たわる倒木とゴツゴツとした溶岩の地面。樹海で迷いやすい大きな理由の一つ、まっすぐ歩いて進めないという状況が見事に展開しており、もうそこら中がトラップだらけといった感じで、樹海の中がどれほど歩き難いかがこれで分かりますなぁ。 もちろん、溶岩の亀裂にうっかり落ちたり、落ち葉に隠れた穴に足を落として複雑骨折してしまうなど、森から出られなくなる要素がここは盛り沢山ですよ! |
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