2023 東北縦断 紅葉林道探索 〜 懐かしの地を再訪せよ! 〜 10月29日(日) 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
2日目[1]  → 由利本荘市「猿倉温泉 鳥海荘 Sarukura Onsen もどる  






ガソリン給油量 7.07L 給油回数 2回 ガソリン代 1278円 総走行距離 147 km トップへもどる
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お早うございます! 鳥海荘で迎えた紅葉林道探索2日目の朝ですが、あちゃちゃ〜、窓から外を眺めてみると予報では今日は秋晴れの快晴・・・のはずだったのに、今にも雨粒が落ちてきそうな泣き出しそうな空模様。

あらためて今日の天気予報を確認してみると、晴れから雨のち曇りに変わっていたのを確認しましたが、それでも降水量は1mm未満とのこと。本降りにはならないらしいので、本日の紅葉林道探索は決行しますが、その前に・・・。







なにはともあれまずは朝ごはんです。1階の食堂に向かうとすでにおかずがテーブルに用意されていたので、セルフでジャーから白いごはんをよそい、飲み放題のオレンジジュースをお茶代わりに朝食をいただきます。







鳥海荘の今朝の朝食の献立です。いかにも日本の朝食的なオーソドックスな献立で普通に美味しかったですが、メニューは以下の通り。

焼ジャケ冷奴温泉タマゴスパゲッティサラダニシンと姫竹とフキの煮物
甘味噌のシソ巻き柴漬け味噌汁白いごはんオレンジジュース







そしてこれは日本の朝食シーンではおなじみの「NKG」。すなわち「納豆かけごはん」ですが、これが美味くて白いごはんを3杯もお代わりしちゃいました!







朝食を済ませたら本日の紅葉林道探索に出発しますが、本日のメインターゲットは鳥海山の北麓を駆け抜ける手代奥山林道。正確には手代林道手代奥山林道黒瀬支線林道奥山林道のルートを総称して「手代奥山林道」と呼ばれることが多い東北を代表するメジャーな林道です。

鳥海荘からだと、昨日通った県70をR108(由利本荘市鳥海町上笹子)方向に進み、途中の「山崎」で「法体の滝」への案内板に従って市道を右折した先、「鳥海町百宅(ももやけ)」に入口があるのですが、まずは県道を逆方向の由利高原鉄道「矢島駅」におもむいてJAの「矢島給油センターSS」で給油しておきます。

鳥海荘から矢島駅までの距離は11kmほどありますが、ここが最寄りのGSなので仕方ありません。ハイオクL / 181円で2.53L(457円)入りました。







給油を終えたら県70を速やかに引き返し、法体の滝の案内板に従って県道から市道へと右折。軽く山越えをして鳥海町百宅を目指しますが、途中、道すがらの紅葉が凄まじかったので思わず立ち止まって眺めてしまいました。







おおっ、山はもう完璧に秋色に染まっているな! 山の景色で緑色が残っているとすれば、それは紅葉しない常緑針葉樹くらいなもので、まさに全山紅葉状態でした。これなら林道の紅葉もとびきり期待できそうな予感がひしひしと!







由利本荘市鳥海町百宅地区の「上百宅」に到着しました。村の入口で火の見櫓が出迎えてくれましたが、実はここ「百宅」はすでに集落全体が廃村になっています。なぜって、それは「鳥海ダム」の建設によって間もなくダムの湖底に沈むから。

鳥海ダムは秋田県が1970(昭和45)年に予備調査を開始し、「子吉川」上流に集水面積83.9平方キロ、総貯水量約4683万立法メートルの計画で1993(平成5)年から建設が開始された治水、利水目的のダム。当初は2028(令和10)年の完成予定でしたが、予定が遅れて今のところは2032(令和14)年に完成する見通しらしいです。

しかし、ダム建設予定地の百宅集落の住民の移転と補償はすでに終わっているそうで、完成時期の遅れはあるものの、集落がダム湖に水没するのは確定しているのですが、鳥海ダム建設による水没前と水没後の詳細マップはこんな感じかな。

また、手代奥山林道の入口は百宅集落内にあるので、ダムの完成に伴って一部区間は水没してしまい、そして永久に失われることになります。というわけで、失われゆく百宅集落と、湖底に沈む林道の景色を今のうちに記憶の中に焼き付けるべく、わざわざこの地を紅葉林道探索のステージに選んだというわけ。







廃村化している鳥海町百宅地区に到着したら手代奥山林道の紅葉林道探索する前に、まずは子吉川支流の「百宅川」沿いに集落内を西に進んで法体の滝を訪れてみます。しかし、集落内ではダム建設に伴う道路の付け替え工事が進んでいるようで、その他の工事も粛々と行われていた模様。

なお、過去に手代奥山林道を探索した時にも同じ場所を通っているのですが、それはすでに16年前の事。当時の景色は記憶に全く残っていませんが、しかし、普通に民家が点在して田圃が広がっていたような気がします。あぁ、それなのに16年間も林道パトロールを怠っていたら、まさかこのような状況になっていたなんて・・・。







今にも泣き出しそうな空模様のもと、すでに全戸が移転して無住の地となり、荒地と化した田圃跡が広がっていた由利本荘市鳥海町百宅字上百宅(下百宅方向)の秋の景色です。秋色に彩られた山々は最高に美しいというのに、消えゆく集落の物悲しい雰囲気が強烈に漂っています。







こちらは集落の東方向、由利本荘市鳥海町百宅字「高野台(こうやのたい)」方向の眺めです。かつては今ぐらいの季節には秋の取り入れ風景が見られたことでしょうが、それなのに田圃は完全に放棄され、今はススキが生い茂って淋しい限り・・・。

大正時代には林業で栄え、昭和の初め頃には森林鉄道も建設されたという百宅集落。1963(昭和38)年には独立校として「百宅小中学校」もできで、小学生137名、中学生79名が在学して村は子供たちで賑わっていたそうですが、当時の子供たちも令和の時代になって村が無くなるなんて夢にも思わなかったでしょうね。







遠くの田圃跡で地面を掘り起こしてなにやら作業をしている重機。ダム建設関連の作業だと思いますが、ガガガと重機の音だけが物悲しげに聞こえていました。







その後、手代奥山林道(厳密には手代林道)の入口をいったん通過。百宅集落内を西に向かって移動していますが、ここは由利本荘市鳥海町百宅「上百宅」の辺り。しかし、見事なまでになにもありません。田圃や耕作地はとっくに放棄され、住民も全て立ち去り、残された家屋もすでに解体済みなんですね。

ちなみに「百宅」という地名ですが、「百」とあるので、民家が100戸もあったのかと思うかもしれませんが、実際には100戸もなくて、だいたい37戸くらいだったそうです。賑わっている場所とか、住民が多い場所であることを表すため、地名に「百」という文字を使っていたみたいです。







百宅集落の西側、かつて上百宅部落があった場所。しかし、どこを眺めても荒れ地が広がっているだけで同じような淋しい景色が広がっています。ちなみにダム建設によって集落と共に水没する林道は3本。そのうちの1本が手代奥山林道ですが、残り2本の林道も含めて全区間が水没するわけではないみたい。

百宅集落に存在する林道の入口は全てが水没予定地の中にありますが、実際に水没するのは林道入口とその直後の区間だけだと思われます。しかし、「百宅登山口」へのアプローチルートになっている手代奥山林道はともかく、道としての重要度が低い残り2本は林道入口が水没する事で、そのまま廃道化する恐れが大きいです。







ダム建設工事関係のプレハブ小屋が無数に立ち並び、資材置き場なども作られていた下百宅にて。左折方向が法体の滝方面で、直進するのは由利本荘市鳥海町上直根字「前ノ沢」(県70方向)とを結ぶ市道ですが、現在は通行止めにされてダム工事関係車両のみが通行できる専用道にされていました。

由利本荘方面や、鳥海荘から法体の滝および手代奥山林道を訪れる場合、ここを通れば近道になるのですが、そのような道は工事関係車両が優先されるみたいです。ただし、訪れたのは日曜日だったので、この日は基本的に工事はお休み。百宅集落跡でダンプなどの工事関係車両を見かけることは全くなかったです。







下百宅からさらに進んで集落の最西端、由利本荘市鳥海町百宅「翁畑(おおはた)」までやって来ました。すでに民家は1軒も残されておらず、建設中の恐ろしく高い橋脚が何本も立っているのが見えてきますが、あれは法体の滝方向への付け替え道路。たぶん湖上橋ができるのだと思います。

そしてこのタイミングでついに天気予報が的中して雨が降り始めてしまいました。霧雨に毛の生えたような小雨でしたが、ちぃ、なんてこったい!







大畑を過ぎると、道は南に大きく回り込んで小吉川伝いに法体の滝へと向かって遡っていきますが、道すがらの紅葉がとても素晴らしく、途中で小吉川を右岸から左岸に渡る「法体橋」があったので、立ち止まって景色を眺めてみます。







橋上から左手に眺めた秋の紅葉に色付く子吉川上流方向の眺め。これより上流1kmほどで子吉川は「下玉田川」と「上玉田川」に分かれていますが、ちょうど2つの川が合流する地点に法体の滝があるみたいです。

淡く青色がかって澄んだ川の水はとてもきれいで、岸辺の紅葉とのコントラストも美しく、おりしも降り出した雨が川面ではじけて無数の波紋が広がっていました。







法体橋の右手、小吉川下流方向の眺めです。川の景色そのものは取り立てて述べるほどでもないですが、岸辺の斜面を染め上げる紅葉は最高に美しかったなぁ!

ちなみに鳥海ダム完成の暁には小吉川沿いにダム湖が出現しますが、計画ではダム湖の最上流地点となるのがちょうどこの辺り。残念ながら、法体橋は水没区域に含まれているため、橋から眺める小吉川の紅葉は永久に失われてしまうので、今のうちにしっかり眺めて記憶の中に焼き付けておきました。







法体橋を渡って小吉川左岸を進んでいくとやがて法体の滝入口に到着しました。そこには「鳥海国定公園 日本の滝百選 法体の滝」と記された櫓風の看板が立っていて、その先に売店「ロッヂ法体」と駐車場、そして無料の「法体園地キャンプ場」があるみたいです。雨は降り続けたままですが、せっかくなので滝を眺めに行きます。







法体の滝入口にあるロッヂ法体です。2021(令和3)年にオープンした売店で、山菜の販売や、由利本荘市の笹子地域名物「笹子(じねご)焼きそば」をキッチンカーで販売しているとのことでしたが、あら残念!

営業日は7〜10月の土・日曜日で営業時間は午前10時〜午後4時とのことで、訪れたこの日は今年の最終営業日でしたが、天気の良くない最終日は店を閉けても仕方ないと思ったのか、無人状態で入口にはカギがかけられていました。

ちぃ、仕方ねーなと憮然としつつ、その代わり店先にあった自販機のホット缶コーヒーで暖まろうと思って近づいてみると・・・!?







おえぇ〜、気持ち悪いな、これ! なんと、自販機の取り出し口の中に大量のカメムシが! 自販機の明かりに誘われて入り込んだのか、それとも夜の間に暖かい取り出し口の中に入り込んだのか知りませんが、さすがに怯んじゃいました。







というわけで暖かい缶コーヒーは諦め、WRは駐車場にお留守番させておいて法体の滝を眺めに行きます。滝があるのは小吉川上流の上玉田川で、対岸の展望所に渡る吊り橋もあるのですが、残念ながら訪れた時は改修工事で通行止めでした。仕方ないので草地を歩いて滝に近づいてみます。







うわぉ、これが法体の滝かぁ! 実は正直に白状すると滝そのものはどうでもよくて、本当は紅葉最盛期の頃の、最高に鮮やかな色彩に彩られた滝を眺めてみたかったのですが、これで本懐を遂げることができました!

紅葉が最大に美しくなる最盛期の限られたごく短い期間の中で、しかも、少しも早過ぎたり遅過ぎることもなく、これ以上にないジャストタイミングで訪れることができた法体の滝。おかげで息を飲むようなこの美しさです!

なお、当方が訪れた翌週には早くも「落葉が始まっていた」と残念がる口コミも見かけましたが、紅葉最盛期のベストな瞬間に訪れられるかどうかは、「運」も絡んでいるだけになかなか難しいんですね。







法体の滝の下手、上玉田川のエメラルドグリーンの川面を妖しく、そして艶やかに彩る紅葉です! 小雨が降って空は暗いのに、そこだけが明るく華やいだ雰囲気に包まれていましたが、雨に濡れることで紅葉の鮮やかさがより一層引き立っているようでした。う〜ん、こいつは凄え紅葉だなぁ!







おお! 黒い岸壁と瀑布のように流れ落ちる純白の水、そして滝を彩る紅葉の赤色や橙色、黄色の鮮やかさ! それぞれの色彩のコントラストが最高に美しくて、気がつけばフラフラとこんなに滝のそばにまで近づいちゃった!

ちなみに鳥海ダムが完成しても法体の滝はそのまま残りますが、ダムの建設によって滝の水量などにどのような影響があるのかは不明。したがって、自然なままの紅葉最盛期の法体の滝を眺めるのはこれが最後になりました。
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