2024 絶海の孤島「利島」林道探索 弾丸ツーリング 5月11日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
1日目  利島上陸〜島内探索! もどる  









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利島港の桟橋の付け根にある「利島港船客待合所(左)」と、道路を挟んだ向かい側にある「荷物扱所(右)」です。WRはすでに荷物扱所へとフォークリフトで運ばれているので、そこまで受け取りに向かいますが、明日、利島からフェリーあぜりあに乗船するさいには、逆にこの荷物扱所にWRを持ち込みます。







パカっと開かれたコンテナの中から現れたWRと再会! すぐに固定ロープが外されてWRは外に引き出されましたが、さすがに周囲8kmで伊豆諸島では最も小さい利島をバイクで、しかもたったの1泊で訪れる者は少ないみたいだな。

物珍しげな顔をした作業員さんから「明日のあぜりあですね。明日は早めで出港の1時間前までには持ち込んでおいて下さい」と告げられました。
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元気よくコンテナから飛び出してヤル気満々のWR! なんやかんやで現在時刻は15時を少し過ぎてしまいましたが、いよいよ未知なる島内へと進撃開始です!







利島に上陸したらなにはともあれ、まずは利島唯一の林道「宮沢林道」に向かいますが、林道入口は利島を周回する「利島一周道路(都228 / 利島環状線)」を右(東)回りで進み、「ウスイゴウ園地」の手前にあることは事前調査済み。

利島港から坂を登っていくとすぐに利島唯一の集落が現れますが、集落内を通り抜けていく利島一周道路をそのままたどっていくと、やがて民家は途絶えて道すがらには植林されたヤブツバキ林が広がってきます。







極めてのどかであり、とてもここが東京都の都道であるとは思えぬ静かなたたずまいの利島一周道路。両脇にはヤブツバキ林がどこまでも続き、路肩には収穫した実や機材、人を運搬する「モノラック」が敷設されているのを見かけました。

モノラックとは傾斜地果樹園用の一本レールの農業用モノレールで、全国各地の急斜面となったミカン畑などでよく見かけますが、実は当方の親戚のおじさんのそのまた親戚がモノラックを製造する某メーカーの社長さん(現在はすでに社長さんも世代交代していると思いますが・・・)だったりします。

そしてモノラックの製造工場はミカン生産が盛んな四国にあって、小学生の頃、夏休みに遊びに行って工場見学させてもらったことがあるのですが、ついついそんな昔の出来事を懐かしく思い出しちまったぜぇ。







路肩の海側、急斜面となったヤブツバキ林の中を駆け下って敷設されているモノラックのレール。秋になって椿の実が熟すと、地面に落ちた実を手で一つ一つ丁寧に拾っていく「トリッピロイ」と呼ばれる作業が始まりますが、道がない傾斜地のヤブツバキ林では収穫された実の運搬にモノラックが大活躍なのだそうです。

昔は収穫した実は背負子に入れて運搬しましたが、1960(昭和35)年代以降は集落から椿林までの往復に軽トラが使われるようになり、高齢者や女性を中心とした椿実の生産が可能になったんですね。

その後、2002(平成14)年頃からは、勾配の急なヤブツバキ林に運搬用のモノラックが敷設されるようになりましたが、おかげで椿実の生産者が高齢化している現在でも、生産を続けることができるようになっているんだぜぇ。







シーンと静まり返って対向車とも全くすれ違わず、そしてセンターラインも描かれていない利島一周道を宮沢林道入口へと進んでいきますが、思っていた以上に道すがらには海は見えていなかったな〜。空は大きく開けて開放感は抜群なれど、路肩に濃密に茂る常緑樹やヤブツバキ林によって視界が妨げられているんですね。
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それでも道すがらには所々でこのように海が望めるビューポイントが現れますが、それにしても快晴の時に利島から眺める海は最高にきれいだな! 見渡す水平線上には利島の北北東およそ20kmに位置する大島がよく見えていました。







集落から右(東)回りで利島一周道路を進むことおよそ1.9kmで宮澤林道入口とおぼしき右折分岐が現れましたが、う〜ん、ここでいいのかなぁ?

利島一周道路は「宮塚山(507.5m)」の周囲を山腹伝いに一周していますが、それに対して宮沢林道は利島一周道路から分岐して宮塚山の北麓を東西に横切り、再び利島一周道へと戻るコースの林道。

利島一周道路を右回りでアプローチすると、林道入口は右折分岐になっているはずで、それはここくさいのですが、なんだかいまいち確信が持てねーぜ。
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ちなみに利島一周道路はここで左に180度切り返す登りの急カーブになっていて、その急カーブの途中に宮沢林道とおぼしき右折分岐が現れます。







切り返しの鋭角で左カーブしていく利島一周道路から右折分岐で開始していた宮沢林道入口。しかし、林道入口といってもそこに林道標はおろか、道標の類はなにも設置されておらず、さすがにこれでは利島に林道が存在することを事前に知らずして、「ここは宮沢林道である!」ことには絶対に気がつかないと思います。







林道標が存在していなかったので、「宮塚山の北側に位置し、入口は利島一周道路からの右折分岐になっている」という心許ない状況証拠のみで「ここは宮沢林道である!」と判断。利島一周道路から右折して宮沢林道を進んでいきます。

宮沢林道の道すがらにはヤブツバキ林と常緑広葉樹林が広がるのみで、海を見渡す利島らしい眺望も望めないまま進んでいきますが、しかし、前進するにつれて「ここって本当は林道ではないのでは?」との疑心暗鬼が深まってきました。







その根拠として、実は宮沢林道は当方が利島を訪れる2年前の1922(令和4)年に東京都の林道改良事業補助金(1848万円)を活用して、非常に残念ながら全面舗装工事(総工事費1854万円)が実施されています。

そして去年(1922[ 令和5 ]年5月)、工事完了に伴って島の建設会社がインスタグラムに投稿した、完成直後の純白に光るコンクリ舗装の空撮写真が投稿されているのを目にしていたのですが、しかし、路面には経年劣化による古めかしさが感じられ、とても昨年舗装工事が完了したとは思えぬほどの状況だったんだよな〜。







道すがらにはヤブツバキ林と鬱蒼とした常緑広葉樹林が広がっているのみでした。生茂る樹林の隙間から僅かに海が見えていましたが、ここぞというビューポイントは現れず仕舞いだったなぁ・・・。







そんな感じで眺望も望めぬまま880mほど進んでいくと、やがて右手から登坂してきた舗装路へと合流します。てっきり合流した先は利島一周道路で、ここが宮沢林道終点だと思ってしまいましたが、しかし・・・?







合流地点を振り返るとこんな感じ。WRの右手から登坂してくるのは利島一周道路ではなくて、行き止まりになっている「利島浄水場」への入口でした。あはは、合流地点に道標が設置されていないので勘違いしちゃったようです。
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探索時には合流してきたのは利島一周道路だと思い込んだまま、浄水場への分岐は直進しましたが、結果的にはそれで正解。画像は撮り損ねましたが、この僅か80m先の地点で今度は本当に右手から登坂してきた利島一周道路へと合流します。そしてそれと同時に宮沢林道の探索も無事終了!

・・・のはずでしたが、しかし、今通ってきたルートは宮沢林道ではないことがはっきりと判明したのは、宿でくつろいでいたこの日の夜。宿でもらった島内マップを眺めているうちに間違いに確信したんですね。

しかし、この時は利島訪問の最大目的である宮沢林道の探索も無事に終え、あとは適当に利島を周回して観光でもするかと安心しきっていたトホホな状態でした。というわけで宮沢林道の探索は明日、それもフェリーあぜりあで利島を立ち去る前の僅かな時間に持ち越されてしまったことをここで述べておきます。







宮沢林道だと勘違いしていたルートを走り抜けて利島一周道路に突き当たったらそこで左折。今度は利島一周道路を左(西)回りで進んでいきますが、徒歩や自転車泣かせのキツい登り坂が連続する道すがらには、利島の西方に広がる海がよく見えていて、最高に爽やかで風光明美な区間が続きました。
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おお、伊豆諸島の海がかくも美しかったとは! 果てしなく広がる大海原と空に霞む水平線。その先には伊豆半島までもが見えていましたが、この景色が眺められただけでもわざわざ利島に渡海した甲斐があるというものですね!







右手の眼下に海を眺めつつ利島一周道路をさらに登坂していくと、断崖の崖っぷちに白い建物があったので立ち寄ってみました。

利島寄港直前にフェリーあぜりあの船上から見えていたこの建物ですが、しかし、ここは観光スポットでもなんでもなくて、島のただのゴミ処理関係の施設らしかったです。なお、敷地の奥には国土地理院の「電子基準点」があるのですが、敷地の中を通らなければいけないようなのでパス。
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うひゃぁー、これは素晴らしい! ゴミ処理場は利島一周道路から右手に下る脇道を少し進んだ先にありますが、潮風でサビまくったガードレール越しに見渡す大海原と澄み切った空の景色が最高に美しいかったなぁ。断崖を覆う常緑広葉樹の木々の緑色と海の青色とのコントラストが超絶きれいです!







利島ブルーに染まる海と空。海と空の境界も定かではなく、遥か彼方には伊豆半島も見えていますが、あれは最南端の「石廊崎」辺りでしょうか。その場に固まっていつまでも眺め入ってしまいましたが、この美しい景色は一生忘れない!

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