田代相馬林道 再探索(2017.08.11)   もう一つの林道探索一覧へもどる  

「田代相馬林道」・・・山岳ロングダートで知られる東北地方を代表するこの林道を探索したのは平成18(2006)年のこと。
秋田県大館市と青森県弘前市を結ぶルートはこの地の林道探索を計画するうえで重要であり、
県境を通り抜けできるか否かで大きな違いが出てきます。
しかしここ数年、50年に一度の大雨などが東北地方でも各地で頻繁に発生したこともあってか、
田代相馬林道の噂は「荒れている」などといった悪しきものばかり・・・。
「はたして現在も通り抜け出来るのだろうか?」
「そしてダートの状態は?」
東北随一たる林道だけにオフライダーならば現状がとても気になるところですが、
永らく続くその後の情報のなき状態に一念発起、
支線の岩瀬林道探索ついでに再び県境越えしてみようと再訪してみました。

県大館市(旧田代町)から長慶峠(726m)で県境を越えて青森県弘前市(旧相馬村)とを結ぶ田代相馬林道の秋田県側にある岩瀬林道分岐地点です。田代相馬林道を全線走破してから10年以上の歳月が流れましたが、永年の宿題であった岩瀬林道探索を無事に終えて久方ぶりの再訪となった懐かしい地点。手前から前方左手が田代相馬林道、前方右手が岩瀬林道ですが、ここは基本的に以前と変わりはなかったです。変化といえばやたらと草深くなっていたことくらいかな。早口ダム〜岩瀬林道分岐地点までも普通にやって来られます。
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
→ 早口ダム方向(手前)を眺める!
→ 道標看板を眺める!
瀬林道分岐から長慶峠方向に進みますが、久しぶりに訪れてまず最初に思ったのは「ここまで草深かった?」かということ。オフバイク的にはさしあたって問題のない路面状態でしたが、路肩からせり出てダートを圧迫してくるす薮が目立ちました。ここは元々草深い区間なのですが、加えてほのかな廃れの香りが感じられたんですね。
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
前よりもダートの草深さが微妙に増していた状況に違和感を覚えながらも、峠手前にある展望台地点に到着しました。ここは林道ライダーが必ずや立ち寄るお約束の場所で、展望台からの眺めが大変素晴らしいのですが、予期していた通り誰もいなかったです。以前はそこにあった大きな案内板も朽ち果てたのか、消滅していたし・・・。
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
道から展望台へと登っていく小径です。傾斜はきついですが、展望台は目と鼻の先。やはり田代相馬林道を訪れたならば、ぜひとも立ち寄らなければ! なお、樹の幹には以前からそこに岩木山展望台の道標が括り付けられていますが、板が「岩木山」と「展望台」の2つに分割されているのを発見。原因は全く不明ですが、2つにかち割られてしまい、苦肉の策で2本の樹に別個で括り付けたのですなぁ。一瞬、なんだこれと思ってしまいます。
「おぉ、懐かしいな!」展望台への小径を登っていくと東屋が出迎えてくれました。でもこの東屋ってこんなにきれいだったかな? 全体的に真新しさが漂っていたのでよく眺めると、支柱が新しいものへと交換されていました。まあ、以前訪れた時から10年以上も時が経てば支柱の1本だって腐るでしょう。そして東屋の周辺は怪しいキノコでまみれていましたよ。
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
→ キノコ!
屋で一休みといきたかったですが、風雨に晒され続けたベンチはなんだか湿った状態。座り込むほど疲れてもいなかったので、まあいいか・・・。とまあ、東屋はこんな感じでしたが、肝心の展望台からの眺望はどうなっているかな?
→ 展望を眺める!
望台で岩木山を望む白神山地の眺めを楽しんだら田代相馬林道の探索を再開しますが、展望台地点を境として、その先にはまるで「道はここで終わりなんだぜぇ!」と告げているような不穏な雰囲気が漂います。一般の車がここまでやって来たら、まず引き返してしまうような感じでしょうか。もちろんそのまま進んじゃいますけど。
望台地点までは観光客が訪れることも考慮された路面状況が保たれていますが、そこを過ぎるとダートはこの通り。放置で廃れた趣の漂う雑草と薮にまみれた状況へと一気に変化します。でも慌てません。実は過去に探索した時もおおよそ同じ状況だったので・・・。
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
「えぇ、ここが?!」しかし、この激変ぶりというか、廃れた荒れ放題の状況は一体どうしたことか! 閉塞感極まりない薮をこすりつつ、まるでダートが水没したかのような水溜まりをいくつも越えて進んでいくと、ようやく青森県との県境に位置する長慶峠に到着しましたが、ここ、本当に以前訪れた長慶峠? その後の噂で「荒れている」とは聞いていましたが、峠の現状がまさかこれほどであったとは!
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
代相馬林道のシンボル的存在である峠の石碑。かつて峠を越えて越県する林道ライダーはこれをバックに記念撮影したものですが、今では林道と峠の廃れ果てた現状を物語る墓標と化しています。というわけで長慶峠は不気味極まりない場所になっていたんですね。石碑だって知らない方が見たら、なにかの供養塔くらいにしか見えていません。
慶峠には石碑と共に県境の峠を示す大きな白い木杭が立っていたのですが、それも今ではなんであるのか分からない状態にまで朽ち果てていました。時の流れは無情とは言いますが、まさにその通り。残骸と化した木杭が峠の先のダート状況を予感させます。すなわち、林道が滅茶苦茶に荒れていそうな悪しき予感がビンビンに・・・。
るかげもなく無惨に荒れ果てていた県境の長慶峠。しかし困りました。当日の予定としては、このまま田代相馬林道を青森県弘前市へと抜けて岩木山神社の門前にある百沢温泉へと向かうことになっていたんですね。しかし、この状況ではどうもそれが怪しい雲行きとなってきましたよ。このまま弘前市街へと抜けられれば問題ないですが、そうでなければ大館市街へと戻ってR7号線経由の非常に距離の長い迂回を強いられるハメに陥ります。それだけは避けたかったので、この先ちょっとドキドキですが、行っちゃいますか!
森県側の荒れた状況をあからさまに物語るトラタイプのバリケードが2基。そして頭上にはロープが1本張られており、さすがにそのまま進撃するわけにはいきません。まずは徒歩でその先の様子を確認した結果、状況は許容範囲内であると判断してから前進することに。しかし、偵察するもなにもこの先は完全に車両の通行は途絶えていますなぁ。へへ、なんだか最高に素晴らしい林道アドベンチャーが楽しめそう。
慶峠を後にして青森県区間に入るとすぐに連続した急な下り坂が開始します。タイヤで踏みつけられることのなくなった路面は風雨で柔らかくほぐされてスリッピー。今にも薮に呑まれてしまいそうな打ち捨て状態の放置が一目で見てとれる有様が予断を許しませんが、峠を越えた直後の急な下り坂はそうは長くはないことは過去の探索で承知済み。2キロほど下れば東股川源流に架かる「こしじ橋」が現れるはず。確証はないですが、おそらく荒れまくっているのはそこまでの区間でしょう。なので、ここさえやり過ごせばなんとかなるはず・・・です!
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
北の廃れた荒れ林道ではおなじみの光景。真夏の薮の繁茂で走行スペースはかなり狭められており、薮に埋もれた地面も湿った感じです。物理的な走り難さはもちろんですが、こういうのに慣れていないと閉塞感抜群な状況に雰囲気負けしてしまいますよ。しかし今回の探索の状況、以前訪れた同じ青森県青森市の八甲田山中に延びる嘉瀬子内林道になんとなく似ているな〜。荒れまくりで通り抜けられるか否か、かなりドキドキとした状況がね・・・。 
→ 平成18(06.09.15)年の様子!
面を覆うようにまとめて路面を塞ぐ倒木もありました。しかしよく眺めてみると、幹が途中でカットされています。発生時にはダートを完全に塞いでいたと思われますが、いつの間にかギコギコで処理されたのですなぁ。へへ、有り難く通過させていただきますよ。
「路肩崩落だ!」そしてついに現れてしまった路肩崩落地点。その後の情報で数カ所に発生していることは承知でしたが、やはり目の前に立つとショックですね。幅員僅か50センチほどの走行スペースがありましたが、すぐ脇は奈落の底へと落ち込む崩落の現場。たぶんオフバイクの機動力を持ってすれば物理的には進めるのでしょうが、まさかの崖落ちも十分に考えられます。う〜ん、どうしたものか思案のしどころだな。どうやらこの区間は半ば放棄されているらしく、路肩崩落も発生してからずっと放置が続いているみたいです。
→ 現場を眺める!
して下した決断。林道かけ出しの頃であれば、そのまま崩れ残り部分を通って前進したのでしょうが、林道探索のキレが悪くなってきたのか、ここは安全策に走って撤退しておくことにします。どうも雑草に覆われたあの僅かな部分に嫌な予感がしてなりません。というか今回の田代相馬林道再訪は、県境がどれほど荒れているかの現状確認が主たる目的。林道そのものはすでに完走済みなので、あえて渦中に身を投じなくても別に構わないのが正直なところ。というわけで現状、田代相馬林道は長慶峠前後で酷く荒れており、大館市〜弘前市の通り抜けはかなり厳しいことが確認できただけでヨシとしておきましょう。まあ、その代償として当日のお宿、弘前市の百沢温泉までの長距離迂回を強いられましたけどね。
→ 探索終了!
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