一取沢林道 / Ichitorisawa 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
探索日 2018.08.13 / No.AK-052 
 [ 所在地 ]藤里町 [ 状態 ]ピストンダート [ 接続林道 ]粕毛林道 [ 分岐林道 ]-
 貴重な吊橋遺構も残存する林鉄マニア垂涎のピストン林道だが、末端区間は苛烈な藪に埋没

毛林道を起点から進み、大開林道、内川林道の分岐を過ぎると、次に現れるのが一取沢林道。分岐の股の地点には「これより白神山地」とか「奥素波里」と記されたボロボロの標柱が立っており、矢印で左手を示した林道標も設置されています。なお、探査時には、ここで林道標や無数に立つ道標群を眺めていると、粕毛林道を起点方向からやって来られた1台のオフバイクに遭遇しました。地図とメモを片手に付近の林道群を探索調査されているらく、軽く会話を交わした後、粕毛林道をそのまま進まれたみたいですが、確かにこの近辺の林道群は興味をそそられるものがあり、同好の志がおられたことに嬉しくなってしまいました。
→ 林道標を眺める!
毛林道からの分岐地点を後にしてさっそく一取沢林道を進みますが、路面は小砂利質で走りやすい状態。支線林道にありがちな廃れた雰囲気や荒れ、ガレも見られません。起点にはトラロープによる簡易規制もされておらず、自由通行状態であったのもうなずけます。
イヤが踏みしめる小砂利の感触も心地よく、順調に一取沢林道を進みます。林道はコース的にはなだらかな緩い下りになっていて、山頂は見えていませんが、すぐ右手に位置する「独鈷森(どっこもり / 583m)」の山裾を回り込みながら素波里湖上流の湖岸を目指します。
行規制は一切行われていなかった一取沢林道でしたが、それでもわざわざこのようなピストン支線林道に立ち入る車両はいないみたい。人の気配が全く感じられないダートは走りやすい状態でしたが、それでも進むにつれて路肩に繁茂する藪の草深さが次第に目立ち始めます。しかし、それはそれとして、やがて行く手に見えてくる深い山々の尾根を眺めながら、エンジン音も軽やかにルンルンとWRを進ませますよ。
夏の季節らしく、路肩の藪の茂り方には目を見張るものがありましたが、急カーブや急勾配もなくて、深山地帯の林道にしてはやけになだらかであったダート。しかし、一取沢林道が元々は「藤琴粕毛内川線」という林鉄の軌道跡だったことを思えばそれも納得ですね。かつて林鉄王国であった秋田県では、林道が軌道跡というのも珍しくもないですが、この林鉄が開通したのは昭和8(1933)年で、廃止されたのは昭和38(1963)年のことだったらしいな。
つて昭和の前半時代、この山中を木材満載で走ったという林鉄に想いを馳せながら、ワダチダート状態で次第に草深くなりつつあるダートを快走。やがて林道は右に方向を変え、素波里湖右岸沿いに進む区間に入ります。林道から湖岸まで200mほど離れているので水辺は全く見えていませんが、それでも素波里湖上流の粕毛川源流方向に目を向けると、壁のようにそびえる白神山地の深い山々がはっきりと見えていたのが素晴らしかったです。
→ 景色を眺める!
→ なんだあれは?!
の後、コース的には徐々に湖岸へと近づいていくのですが、相変わらず水辺の気配が感じられないまま進みます。すると路面に変化が現れました。路面を覆う雑草の量が心なしか増えてきたみたい。ワダチ部分にまで雑草がはびこり始め、路面の砂利も粒が荒くなってガタガタになってきます。ここまで立ち入る車両の通行量が極めて少なくて、そのため路面が踏み締められないので路面が緩んでしまったのでしょう。
らに進んで湖岸の森に入って行くと、そこでいきなりコンクリ橋が出現。橋のたもとの欄干に「一取沢橋」と記されていました。これにより跨いでいるのは素波里湖に注ぐ一取沢であることが判明しましたが、林道名はこの沢に由来していたわけですね。
→ 一取沢を眺める!
然現れた一取橋を渡ってその先にWRを進ませますが、橋を越えると路面状況が加速度的に悪化。なんとなく路面が土っぽくなって湿り気を帯びてきたようです。いよいよピストンならではの本領発揮ですが、しかし、先ほど渡った一取橋が林道終点までのちょうど中間地点。この先、果たして終点までたどり着けるのかが懸念されてきましたよ。
面が雑草まみれで少々廃れてくると、どこかから水が染み出しているのか、なぜか路面がビチャビチャな水浸し区間に遭遇。ペトペトと足回りには寝る泥も嫌でしたが、そこは周囲を激しい藪に囲まれた密閉空間となった場所で、暑い気温で蒸された湿気がムワッとダートに充満してひどい不快指数でした。立ち込める草いきれもむせるほどでした。
んなこんなで進んでいくと、林道はようやく湖岸まで近づきました。夏草でボーボーな路肩の藪の切れ目から水面が見えていましたが、素波里湖は粕毛川をダムで堰き止めてできた湖です。なので湖といっても川幅が広くなったような細長い形をしており、上流のこの地点ではすでの湖だか川だか区別がつかないほど狭まっています。
→ 素波里湖(粕毛川)を眺める!
の切れ目からほんの一瞬だけ見えた素波里湖(粕毛川)をチラ見して、もはや夏草でボーボーと化したダートを進んでいくと、林道脇の藪にサビた櫓のようなものが出現! 草深い藪の中に突然姿を現すので驚いてしまいますが、その正体は粕毛川を渡る「十文字吊橋」。林道脇から十文字沢が合流する出会い付近の対岸へと渡されていますが、藪にまみれてサビにまみれた有様を眺めれば、今も吊橋として現役かどうかは自ずと分かります。
→ 十文字吊橋を眺める!
文字吊橋の遺構を眺めてさらに一取沢林道を前進しますが、ダートは極限状態にまで藪むしてきます。ワダチ部分が形成されているので、道であることは分かりますが、ほとんど藪に埋没した状態・・・。地図上の林道終点まではあと少しですが、そこまでたどり着いけるのかいよいよ怪しくなってきます。藪の鬱陶しさと閉塞感も申し分ねーし!
はやここまで! 立ちふさがる藪の繁茂を掻き分けて進みますが、やがて行く手に現れた藪の壁の先はワダチ跡すらなく、完全に藪に飲み込まれていました。一取沢林道末端地点はすぐそこですが、真夏のぶっ倒れそうな酷暑の中、汗だくで所詮行き止まりのピストンを藪漕ぎしてなおも進むだけの根性は持ち合わせておらず、潔く撤退しておくことに。ちなみに林道としてはやがて行き止まりとなりますが、そこから先には林鉄軌道跡がさらに続くみたいです。地理院地図では破線で記されたルートが一の又林道(粕毛林道の支線林道)終点まで続いて記されていますが、そこは完全な林鉄廃線マニアの領域。シロートさんがメット片手に歩いて散策できるほど楽で優しい場所ではないみたいですよ。
→ 振り返る!
→ 探索終了!
→ 引き返して粕毛林道に向かう!
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