2024 絶海の孤島「利島」林道探索 弾丸ツーリング 5月11日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
1日目[3]  利島上陸〜島内探索! もどる  






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なにもなかった回転場を後にして南ヶ山園地まで戻ってきました。しかし、まだ5月だというのにこの日は直射日光で汗ばむように暑く、日陰のない南ヶ山園地で立ち止まっていても無駄に暑いだけ。また、探索時間に余裕はないので、村道を先へと進んで利島一周道路への合流地点を目指します。







南ヶ山園地を後にして、いかにも伊豆諸島の島らしい風情の鬱蒼として昼なお暗いスダジイの森の中を、今度は登り坂で進んでいきます。







途中、半切り通しになった地点では、擁壁代わりに玉石を組んだ石垣が組まれているのを見かけました。おそらく海岸から大きくて重い玉石を一つ一つ運んで構築されたのだと思いますが、これ、相当な手間がかかりますなぁ。昔の島民の苦労が偲ばれる玉石の石垣ですが、伊豆諸島の島々ではいたるところで見られます。







薄暗い常緑広葉樹の森の中を登坂して村道をさらに進んでいくと、やがて遊歩道の入口が現れました。路肩に案内板が設置されていたので眺めてみると・・・。







うむ、ここは「南ヶ山園地遊歩道」というのか。村道はこの地図でいうと、南ヶ山園地の芝生(右上)からいったん左方向に進み、坂道を登りながら切り返して今度は左から右に(左下から右下)へと進んで現在地に至っていますが、それをショートカットするのが赤線で示されたこの遊歩道らしいです。







ただし、遊歩道はこのような鬼坂となった石段状態。ここからも高低差40mの遊歩道経由で先ほど訪れた見晴らし台まで行けるのですが、コースが九十九折りになっているのは、距離を稼いで坂道を緩くするための処置だと思われます。

しかし、この遊歩道を歩いてみる気はどうしても起きなかったです。なぜって、ここを一度下ってしまったならば、WRの待つこの場所まで再び石段を登らなければいけません。それにエンジン付きという心強い味方がいるのに、あえて苦しい激坂の遊歩道を往復する物好きは・・・まずいねーし!

ただし、遊歩道の途中には、かつて雨水を溜めた「集水シート跡」や「展望ベンチ」があるので、そこを訪れたい方はここからどうぞ。







というわけで鬼坂な南ヶ山園地遊歩道の散策は遠慮させていただき、先に進んで利島一周道路への合流地点に到着しました。

道なりに直進すると、先ほど通った南ヶ山園地への右折分岐地点に戻ってしまうので、利島を左回りで一周すべくここは左折しますが、傍に島内地図「利島エンジョイマップ」が掲げられていたので眺めてみると・・・?
現在地を確認する!







あぁ、利島エンジョイマップは風雨に晒され続けて薄汚れた状態でした。しかも、現在位置が記されていないので、地図はとても分かり難くて不親切。そりゃあ、何度も利島を訪れている観光客ならこれで十分なんだろうけどさ・・・。ちなみに赤く記されている道筋が利島一周道路(都228 / 利島環状線)ですよ。







利島一周道をに復帰して反時計回りに進んでいくと、すぐに宮塚山への登山道入口が現れました。正式名称は「南登山口」というらしくて、路肩に案内板や道標が立っているので通りがかれば必ず分かります。

なお、登山道入口には東屋とかベンチ、トイレなどは整備されておらず、いたって素っ気のない状態でしたが、利島の宿では宮塚山登山をする旨を告げてお願いしておくと、この登山口まで車で送ってもらえるみたいです。







利島・宮塚山(標高507.5M)
ここ登山口から山頂部の周回路を含め、反対側の登山口まで約2kmの道程です。
途中、急峻な登りや急激な下りもあり、
滑りやすい箇所もありますので、履物は履きなれた軽登山靴や運動靴が望ましいです。
また、登山コースに水場はありません。飲料水は必需品です。

山頂部にある周回路の北側には、展望台があり集落を眼下に望み、
晴れていれば富士山、伊豆半島、大島が展望できます。

展望台を除けば登山コースのほとんどが、樹木やササ類に覆われているため見通しは利きません。
コース以外には踏み込まないようにしてください。

宮塚山を含めた利島全体が一つの山の形態をなしており、利島の森は、
スダジイ・タブノキ・オオシマザクラなど高木類と
中低木類のヤブツバキ・ガクアジサイ・タマアジサイ・アオキなどで構成され、
7月頃になるとサクユリが大きな花を覗かせます。

緑豊かな利島は、野鳥の種類も豊富で国の天然記念物、
カラスバト・アカコッコも生息しています。

伊豆諸島の人が住む島の中では小さな島ですが、
大きな自然が豊富な利島は、昔より島民が大切に保護・管理してきました。

富士箱根伊豆国立公園・利島
自然公園は、日本の優れた景観や貴重な自然を保護していくと共に、
その中で自然に親しみながら利用することを目的として指定された公園です。
自然公園は、自然公園法に基づいて、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の3種にわけられています。
ここ利島は、他の伊豆諸島地域と共に、富士箱根伊豆国立公園に指定されています。

東京竹芝から航路約140kmに位置する利島は、面積約4.12平方km、周囲約8km、
島の中央に宮塚山が位置し、全島を円錐形に形づくられている島です。
年間を通じて温暖な気候ですが、冬は北西の季節風が強く吹き、激しい波が崖に打ち上げています。

島の組成は主に玄武岩質から成り立っていますが、
表土は伊豆諸島で最も地味が肥えており、
島全体の約8割がヤブツバキに覆われ日本一の椿油の生産地になっています。

富士箱根伊豆国立公園の変革
・1936年(昭和11年)2月 / 富士山地域、箱根地域が「富士箱根国立公園」として指定
・1955年(昭和30年)3月 / 伊豆半島地域が編入、現在の「富士箱根伊豆国立公園」に名称変
・同年4月 / 利島・大島をはじめ他の伊豆諸島地域と共に「伊豆七島国定公園」に指定
・1964年(昭和39年)7月 / 伊豆諸島地域を「富士箱根伊豆国立公園」に昇格編入
・2014年(平成26年)7月 / 伊豆諸島地域が「富士箱根伊豆国立公園」に編入されてから50周年目となる。
なるへそ! この南登山口から宮塚山に登り、反対側の登山口(東登山口)に下るとその距離は2kmくらいかぁ。宮塚山周辺には自然豊かなスダジイの鬱蒼とした森が広がり、野鳥「アカコッコ」も生息しているとのことなので、運が良ければ登山道から鳴き声を聞けたり、愛らしいその姿を眺められるかもね。







登山道入口の道標です。宮塚山の山頂までは1160mと短いですが、しかし、集落から登山道入口までの距離が長いんだよな。もちろんエンジン付きならば集落からあっという間の距離ですが、徒歩でアプローチするとなると、坂道続きで登山道入口に着いた時点ですでに疲れ果てているかも・・・。







そしてこれが利島一周道路から登り坂で開始している宮塚山への登山道。しかし、同じ伊豆諸島の山でも、神津島の「天上山」や八丈島の「八丈富士」の登山道と比べると、ほとんど放ったらかしで整備されていない感じ。

なので、山頂までの距離が短いのが唯一の救いですが、登山に興味のない者や、普通の観光客が散策がてらに登っていくのは少々しんどいかも。う〜ん、申し訳ないですが、どうしても登ってみる気が起きなかったぜぇ。

ちなみに神津島の天上山や八丈島の八丈富士については、登山に興味がなくても登るだけの価値が十分にあるのですが、しかし、利島の宮塚山はねぇ・・・。あはは、これで日本離島センター選定の「しま山100選」全山制覇は潰えましたが、別にいいや!







というわけで登山道に立ち入る気はどうしても起きず、宮塚山登山は遠慮させていただき、引き続き利島一周道路を先に進みます。

南登山口を後にすると、利島の中央にそびえる宮塚山の山腹を南から東に向かってぐるっと回り込んでいきますが、途中で通りがかるこの辺りが利島一周道路の最高所地点。標高はおよそ350mほどで、道すがらには利島の南に位置する鵜渡根島や新島、神津島がよく見えていましたよ。







路肩に立ち止まって海を眺めてみますが、あぁ、素晴らしい眺めです! 路肩のすぐ傍は海食崖の断崖へと続く斜面になっていて、タブノキやヤブニッケイなどの常緑樹が密生し、その先には伊豆諸島の大海原が広がっていますが、果てしなく広がる青い海と澄み切った空の清々しさはなんとしたことか!







利島一週道路の最高所地点で振り返るとこんな感じ。宮塚山から海岸の断崖へと一気に下っていく山腹にへばりつくようにして進んでいきますが、ここは天下の都道でありながら通行量はほとんど皆無。そして路面はアスファルトではなくてコンクリ舗装になっているたのも、いかにも「島」の道らしくて良かったです。
現在地を確認する!







利島は周囲8kmほどの小さい島なので、あっという間に山腹をぐるっと回り込んで宮塚山の真東地点まで進んできました。いつしか海は見えなくなり、昼なお薄暗い常緑樹の森の中を今度は緩い下り坂で進んで行きますが、そういえば道沿いには所々でこのように都道標が設置されているのを見かけたな〜。







これがその都道標。「228利島一周道路」と記されていますが、正式な路線名は「利島環状線」といい、利島を一周する環状区間および集落を東西に結ぶ3本の支線区間からなっています。東京都の資料によっては「利島循環線」と記載されていることもありますが、島内では利島一周道路の名で呼ばれているみたいです。







南登山口から利島一周道路を進むこと1.2kmで今度は「東登山口」が現れました。つまり、先ほどの南登山口の反対側の入口ですね。案内板と道標が同じように設置されていますが、やはりトイレや東屋、ベンチは整備されていません。







案内板の記載マップです。これによって島を一周する利島一周道路と登山コースがばっちり確認できますが、それと同時に集落から各登山口へと向かうには、延々と坂道を歩いて島の反対側まで行かなければならないことも分かりますね。ちなみに案内板の説明文は南登山口のものと全く同じ。







東登山口に設置されていた道標。宮塚山山頂までは590m、利島港までは4680mと記されており、集落からは東登山口の方が近いことが分かります。山頂までの距離もこちらの方が短いですが、その分だけ坂道が急なんだろうなぁ。







そしてこれが宮塚山山頂へと至る登山道の様子。後ほど宿で聞いた話では、宮塚山へは南登山口よりも東登山口からの方が道の状態が良いそうですが、しかし、それも五十歩百歩。基本的には整備されていないことに変わりはなくて、一般観光客が散策気分で気軽に登っていける状態ではなさそう・・・。なのでやっぱり宮塚山登山はパス!







それにほれ、このようなビラも括り付けられていました。「通行注意 弱った樹木があり落枝や倒木の恐れがあります」との文言が記されていましたが、このような警告ビラがあるということは、おそらく足場の悪い登山道ですっ転んで怪我でもした観光客がいたに違いありません。それにそもそも利島は登山が目的ではねーし!







それから東登山口のそばの擁壁にはこのような標識が貼り付けられていましたが、これは利島一周道路沿いの至るところで見かけました。

利島は平地がほとんど無くて島の中央に位置する宮塚山の斜面もキツく、台風や豪雨のさいには道路が土砂災害を被ることが予想されますが、災害時発生時には速やかに場所を特定して迅速に対応するため、利島一周道路沿いの斜面には細かく番号がふられているのだと思います。標識には大雑把な地図と現在地が記されていました。

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