2024 絶海の孤島「利島」林道探索 弾丸ツーリング 5月11日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
1日目[4]  利島上陸〜島内探索! もどる  






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宮塚山への東登山口を通り過ぎると、急カーブの九十九折で切り返しながら下っていく区間が現れました。現在地点の標高はおよそ280mですが、ここからだいたい標高150mほどの場所まで高低差140mを一気に下っていきます。

というわけで、ここから九十九折りの急坂を下っていきますが、その前に路肩に見晴らしの良さそうな地点があったので、そこから景色を眺めておきました。







あぁ、きれいだなぁ! 九十九折り開始地点の路肩からは太平洋の大海原が見渡せましたが、眺めているのは利島からちょうど東の方向かな。そして利島一周道路は目の前の緑に包まれた斜面をジグザグに下っていくのですが、この場所からはすぐ下方に茶色い屋根をした「ウスイゴウ園地」の東屋が見えていたんだっけ。







防災無線? 続いて斜面の左手を眺めると、ひょろりとした鉄柱が立っていましたが、あれは防災行政無線の「野外拡声子局(スピーカー)」だな。夕方にはスピーカーから物悲しく「夕焼け小焼け」のメロディーでも流れてきそうですが、しかし、今はもうあのスピーカーはもう使われていないんですね。

利島村では1989(平成元年)年からアナログ式防災行政無線の運用を開始しているのですが、長年にわたる塩害によってスピーカーは故障したまま放置が続き、その他の関連設備も老朽化。さらには防災行政無線のアナログ免許の失効などによって、利島村では2021(令和3)に防災行政無線のデジタル化を果たしています。









防災行政無線のスピーカーを眺めたら、ウスイゴウ園地に向かって九十九折りを駆け下って行きますが、この区間はビューポイントがいっぱい! 利島を一周する利島一周道路の全コースの中で、たぶんここが最大の魅せ場だと思います!







うおおーっ! 果てしなき広がりを見せる伊豆諸島の海の青さと、森の緑色とのコントラストが悪魔的に美しいな!

この日は快晴であり、しかも、島の人が珍しがるほど風のない穏やかな日でしたが、おかげでここから眺める海も極めて穏やかな状態。風が無くて波も無い海面はすべすべとしたまるで磨き上げられた鏡みたいです!







おや、道端にハスが大量に浮かぶ小さな丸い池がありました。水に乏しい利島ならではの貯水池なのかと思いましたが、これは観光用の池みたいです。そして、これはそうと言われなければまず気がつきませんが、この池は利島で発掘された銅鏡の形を模して丸く掘られているそうですよ。







池の傍を通ってさらに下っていきますが、坂道を走行中、車高の高いWRの車上からは行く手にこのような景色が見えていたんだっけ!

眺めているのは利島の南東方向。海に向かって落ち込む海食崖の断崖絶壁と、海上にポツンと小さく浮かぶ「横石」の岩礁がちょうど見えていましたが、その海をよく眺めてみると、島の周辺海域と沖とでは潮の流れが異なるのか、海面の色が異なっているのがはっきりと確認できましたが、なんだか凄げぇー!







池の傍を通り過ぎた直後に東屋の入口が現れました。訪れた時には観光客の姿はなくて誰もいませんでしたが、ここが利島の東部に位置するウスイゴウ園地。島の南端にある南ヶ山園地と双璧をなす利島の観光名所なんだよな〜。
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特に駐車スペースは設けられていないので、WRは路肩に路駐して展望台も兼ねているウスイゴウ園地の東屋を訪れてみます。

ちなみにウスイゴウ園地の池の形は利島で発掘された銅鏡をモチーフにしていますが、この東屋の建物は利島で発掘された住居跡をモデルにしているとのこと。つまりウスイゴウ園地は「古代太陽信仰」をテーマとしているらしいのですが、しかし、そうと言われなければ、やっぱりそんな事はまずもって気がつかねーし。







東屋の中にはウスイゴウ園地についての由来板が掲げてありました。ウスイゴウは「朝日のさすところ」を現す地名であるとか、そのほか色々と記されていますが、それにしても記載文字が小さくて読み難いったらありゃしねーぜ! なので、詳細な記載内容を知りたい方は現地で自分で眺めてみてください。







おお、ウスイゴウ園地からの眺望も素晴らしいぜぇ! 東屋はそのまま屋根付きの展望台になっていて、北東方向には大島の島影がくっきりと見えており、穏やかな海の青さと常緑樹の森の緑のコントラストが息を飲む美しさです!







海は広いなぁ! 続いてウスイゴウ園地から東の方向を眺めてみますが、利島から東にはおよそ8400km離れたアメリカ大陸のサンフランシスコまで陸地はありません。したがって東の方角にはこのように果てしなく水平線が広がっています。







東屋から身を乗り出すように下方を見下ろしてみると、海食崖の断崖に向かって下っていく斜面をびっしりと常緑樹の森が覆い尽くしていますが、広がっているのはヤブツバキ林。利島ではウスイゴウ園地を含む島の北側半分は、こんな感じでヤブツバキの植林でほぼ覆い尽くされています。







素晴らしい海の眺めで立ち去り難かったですが、ウスイゴウ園地を後にして前進再開。引き続き利島一周道路をジグザグに下っていくと、3箇所目の切り返しとなる右急カーブ地点で左折分岐が現れましたが、実はここが宮沢林道の東側の入口になっています。具体的にはウスイゴウ園地を過ぎた先の最初の左折分岐です。

しかし、林道入口に林道標は設置されていなかったこともあり、迂闊にもこの時はまだそれに気づかず、そのまま通り過ぎちゃいました。
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せっかく宮沢林道の入口を通りがかったのにそれと気づかず通過してしまい、さらに九十九折りの坂道を下っていくと再び左折分岐が現れますが、ここは先ほど宮沢林道であると思い込んで右折した場所。

つまり、先ほどは反対側から坂道を登ってきて分岐を右折し、そのまま宮塚山を反時計回りで一周。そして再び同じ場所に戻ってきたというわけです。というわけで宮沢林道は見過ごしましたが、これでとりあえず利島1周目の周回が完了っす!
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その後、さらに利島一周道路を下って集落方向に進んでいきますが、コース的には利島港から林道入口を目指した時の逆コースで進んでいます。つまり、つい先ほど登坂した同じ道を今は下っているんですね。







やがて九十九折り区間が終わると下り坂の傾斜角度も緩くなってきます。それと同時に道すがらにはヤブツバキ林が広がってきますが、椿実の収穫と出荷は、まず7〜8月にかけて1、2回の下草刈りを行い、次いで9〜3月にかけて半年という長期の期間をかけて椿の実を拾って収穫します。

その後、乾燥させた椿実は年に2回、12月と3月に分けて島内の精油工場に出荷されますが、1〜3月の利島への定期船の就航率は著しく低下してしまい、その間の農産物の出荷は困難となりますが、椿油は短期間で腐ることがありません。したがって欠航が続いても別に出荷に影響はないそうですよ。

そしてこの長期にわたる収穫期間と、年に2回だけの出荷回数により、高齢者でも自分の体調に合わせて収穫できるのが利島の椿実生産の特徴なんだぜぇ。







集落から利島一周道路を忠実にたどって林道入口を目指し、その後、南ヶ山園地、ウスイゴウ園地を経由して利島一周を果たし、今現在は集落に戻っている最中ですが、行きがけと全く同じ道を戻るのでは能がありません。途中で利島一周道路から右手に分かれる村道経由で集落に戻ることにしておきました。
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おお、相変わらず海が美しいぜぇ! 利島一周道路から右に分岐して、より海側を通る村道をなだらかに下っていきますが、道すがらには塩害でまだら模様に赤茶けてサビまくったガードレール越しに青い海と大島がよく見えていました。







集落へと緩く下っていく村道沿いに広がるヤブツバキ林と海。利島はご存知の通り、ツバキで有名な島ですが、戦前の利島の農業は椿実生産に特化していたわけではなくて、1935(昭和10)年頃までは島内での食料自給の目的もあって、椿実生産と切替畑を組み合わせた農業が行われていたそうです。

野畑にハンの木を植えて10年ほど経ったら薪にし、その跡に雑穀や野菜を作るのが切替畑で、利島では大豆、小豆、麦、粟、稗、芋、大根、蕪、胡麻、煙草、からし、茄子などを栽培していましたが、やがて海上交通の発達によって食料移入状況が改善。すると切替畑よりも換金性の高い椿林の栽培面積が増えていったんですね。

ちなみに1960(昭和35)〜1980(昭和55)年代頃までは椿油の需要が特に低迷した時期で、そのため利島では1970(昭和45)年以降、椿実の生産と並行して、現在は利島村の花に指定されている「サクユリ」の栽培が奨励されています。

その後、1980(昭和55)年代には生産条件が厳しいサクユリから、当時需要が増していた「アシタバ」栽培へと転換していきますが、やがてアシタバの需要も低迷。2006(平成18)年以降はアシタバから「シドケ」への転換がみられ、現在、利島では椿実生産と並行して栽培される重要な農作物になっているらしいな。







遠目には緑に包まれた自然豊かな「森」のように見えていますが、実はそこに生えているのはほとんどがヤブツバキの木。島の南半分はスダジイとかトベラ、タブノキなどの樹木が生える原生林チックな森が多いですが、しかし、斜面の傾斜が緩くて集落がある島の北側半分はどこもかしこもヤブツバキ林まみれでした。
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