青木ヶ原樹海 禁断の樹海横断ダートで紅葉探索 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
探索日 2022.11.09 
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現在時刻午前11時、東名高速御殿場ICに到着しました。雲一つない快晴に恵まれた秋の紅葉真っ盛りのとある日、実に10年ぶりほどで富士五湖方面を訪れますが、目的はすでに禁断と成り果てている「青木ヶ原樹海」を横断するダートの紅葉。

このご時世、よもや樹海のまっただ中をWRで走れると思っているほど甘ちゃんではありませんが、心霊動画や怪談系サイトなどで魔境などといわれる青木ヶ原を貫くダートを探索調査しつつ、ついでに紅葉も楽しんでしまおうというわけです。







11月に入るとさすがに早朝は寒いので、初日はゆっくりと自宅を出発して山梨県河口湖町精進にある民宿村まで移動するだけですが、道すがらの紅葉や富士山の美しい眺めを楽しみながら、樹海ダート紅葉探索の拠点となる民宿に向かいます。

御殿場ICで高速を降りたら、富士山ツーリングでは定番中の定番となる県152(富士公園太郎坊線)を進み、その後は富士山を時計回りでぐるっと半周するように富士宮市の朝霧高原を抜けて精進湖を目指しますが、この県152はいつ訪れてもいいですね。標高が高まるにつれて紅葉の色付きが目立ち始めてとてもイイ感じ!







途中で県152にある標高1448mの「水ヶ塚公園パーキング」に立ち寄ります。御殿場の市街地ではそうでもなかったですが、さすがにこの辺りまで標高が上がってくると、空気が寒いのでオーバーパンツを履くためです。







うわぉ、これは素晴らしいな! パーキングからは目の前にどどーんとそびえる富士山が見えていますが、ここまでやって来たらせっかくなので、そのまま「富士山スカイライン」で5合目まで久しぶりに登ってみることにします。







富士山スカイラインの料金所跡から5合目まで標高差が894mもある富士山スカイラインを登坂中。富士山の北面斜面を見上げながらぐんぐんと登っていきます。







何年かぶりに訪れた富士山5合目ですが、5合目にある自販機と土産屋があるレストハウスまであと僅かという地点でその先が通行止めになっていました。

仕方ないのでここで引き返しますが、レストハウスは2021(令和3)年3月に冬期休業中だった建物内に侵入して滞在していた男2人の放火によって焼失したため、2028(令和10)年の供用開始を目指して工事中だったらしいです。ガッカリした方も多いと思いますが、付け火は市中引き廻しのうえ火あぶりの極刑なんだぜぇ!







5合目から見渡す富士裾野(富士宮方向)の景色ですが、茶色く色付いた木々の褐葉がとても美しいな。標高が高いので、流れる雲が目線の高さで横切っていきますが、それにしてもここは寒い! たたずんでいると寒さで脚がガクガクとしてきます。







5合目に立ち寄ったら、その後は道すがらの紅葉が真っ盛りであった県180(富士宮富士公園線)を進み、さらに県72から県71へと進んで富士河口湖町へと移動します。

なお、県180の途中には富士山の広大な裾野を巡る林道群があり、富士山(大宮)林道六番林道富士山(北山)林道の入口があるので、久しぶりに訪れたいと思いましたが、しかし、ガッチリとゲート閉鎖されているのは昔も今も同じ・・・。







県71でいったん「鳴沢村」へと入って樹海のまっただ中を進み、R139に突き当たったら左折して河口湖町の「森の駅風穴」に到着! ここには「富岳氷穴」があって、レストハウスもあるので訪れるツーリングのバイクも多く、観光客の車もひっきりなしにやってくる人気の観光スポットですが、現在時刻は午後3時くらい。

そして今さら言うまでもないですが、ここは青木ヶ原の心霊系動画や、樹海のドキュメント番組では必ず登場するお約束の場所。目の前の国道には自殺志願者がふらりと降り立つバス停があり、樹海への遊歩道入口がある場所になっています。しかし、観光客がひっきりなしに訪れる昼間はけっこう賑やかな雰囲気です。







赤や黄色の鮮やかな紅葉に包まれていた駐車場の片隅にWRを駐車。今回目指す青木ヶ原樹海ダートの入口はここではなくて、また、時間も遅いので今日は探索調査するつもりはありませんが、せっかくなので富岳氷穴を見学してみます。なお、この時は自殺志願者が乗り捨てたっぽい放置車両は見当たらなかったな〜。







樹海特有の露出する樹木の根
青木ヶ原樹海16km四方に跨がる溶岩地帯の上にわずか数センチ、
何百年もの長い間蓄積した樹木の葉、数十種類の苔などの栄養と水分を吸収し、
わずかな溶岩の切れ目に広がる根は、
他の山に比較して、その長さもはるかに長く伸び、
樹齢300年以上をへても、大きく太ることなく、互いに抱き合う様に密生し、
昼なお暗い原生林、これが青木ヶ原樹海です。
青木ヶ原樹海では樹木の根が地を這うように露出しているのが特徴なのですが、それは地面が溶岩でできているため地中に伸びることができないため。要するに青木ヶ原樹海は土壌が極めて薄いということですね。







富士溶岩(主として玄武岩火山岩からなる)
貞観6(864年)の爆発は当時、
セの海(今の西湖、精進湖、本栖湖)へ轟音をたてて押し流し、
数千度もするマグマは海の中へ、その為発生するガス、水蒸気は数100米も上昇し、
一時はこの世の最後かと思われるほど近隣の人々は驚き、戸惑った、
と語り継がれている通りすさまじいものだったそうです。

さらに押し流された溶岩は水蒸気、ガスを含み、
今見る樹海内特有の溶岩を形成したものである。(周囲16km四方、溶岩の深さ100m以上)
(これらの溶岩は持ち出しできません)
青木ヶ原樹海は864(貞観6)年5月に発生した「貞観大噴火」と呼ばれる富士山の噴火によって流出した溶岩の上にできた大森林で、森の中のそこかしこで見られる溶岩はその時の名残であることを案内板は説明しています。

また、富士山北西の1合目から2合面付近にかけて発生した割れ目噴火によって溢れ出た溶岩は扇状に広がり、当時「せのうみ」と呼ばれていた湖に流れ込み、湖を2つに分断して現在の「精進湖」と「西湖」ができたんだよな。







天然記念物富岳風穴
指定年月日 / 昭和4(1929)年12月17日
指定地域 / 西八代郡上九一色村精進青木ヶ原514番地
指定面積 / 12.872.78平方米

(指定の説明)
富士山麓一帯、青木ヶ原樹海には風穴、
氷穴などの名によって呼ばれる洞穴が無数に散在し、世界的に著名である。

その成因は日本各地に点在する石灰岩による鍾乳洞とは異なり
爆発して流出する溶岩の中部にガス体を含み、
外部がさめて収縮する際、内部はまだ高熱の流動体であるため、
外部からの圧力により、外皮の弱い所を押し破りガスや溶岩を吹き出した跡に残った空洞がすなわち、
これらの洞穴であると地質学者によって解かれている。

この洞穴は南北方面に走る110米の主洞と西東に走る110米の間道からなり、
巾4〜7米、高さ20米の規模をもつ大きなもので
内部は堅い細密な溶岩が層状を呈し、一部には溶岩棚や磁気をおびた溶岩もみられる。

洞底には水がたまり、冬期に氷結したまま夏を過ぎても解けることが少ないため
常に洞内の温度も平均3度と非常に珍しい洞穴である。
なるほどねぇ。つまり、富岳風穴は貞観大噴火の溶岩流の外側が冷えて固まった後、まだ灼熱のドロドロ状態だった内側の溶岩が流れ去ってできた空洞なんですね。その中に天然の氷ができる洞穴を氷穴というみたいです。

また、溶岩トンネル以外にも溶岩が樹木を包み込んで固まり、取り囲まれた樹木が燃えてなくなり、空洞になった「溶岩樹型」というものもあるそうですよ。そして規模は小さいですが、青木ヶ原の樹海にはそのような空洞や穴が数多くあります。







案内板を眺めて予備知識を仕入れたらさっそく富岳氷穴に立ち入ってみます。ただし、見学するには入場料大人350円が必要。受付で入場料を支払い、ゲートを通り過ぎた先にある階段を下って氷穴へと降りていきます。







富岳氷穴内部の見学路を前進中。見学路は手すりで通路が区切られた一方通行になっていて、前の人の後ろに続いて歩いていきますが、冷んやりとした氷穴内部は暗くて滑りやすく、天井がとても低いので頭をぶつけないように要注意です。かがんで歩く体勢をとることの難しいお年寄りにはちょっとキツいかもしれません。







氷穴のいわれである洞窟内の万年氷。しかし、その量はたったこれだけしかなくて思っていたよりも全然少なかったな〜。氷の量は季節によって変動するようですが、江戸時代はここから切り出した氷が江戸まで運ばれたそうです。







見学コースに沿って「溶岩鍾乳石」とか、「溶岩棚」や「縄状溶岩」といった珍しい溶岩表面の模様が開設されています。それらを眺めながら進んでいくと・・・。







ひときわ広い場所に行きついて、その涼しさゆえにかつて蚕や種子の保存庫として使われていた氷穴の最深部にたどり着きます。







氷穴の最深部では天然の冷蔵庫として使われていた当時の様子が再現されていて、蚕の繭玉やヒノキやナラ、マツの種子を入れた箱が棚にいくつも置かれていました。







富岳氷穴内にはその他にも通称ヒカリゴケと呼ばれる「珪酸華(けいさんか)」の群性もありましたが、しかし、ヒカリゴケは自ら光るのではなくて、実は光を反射することで光っているように見えるだけなんだよな。したがってさほど興味も湧かず、ざっと眺めたらその後は出口に向かって富岳氷穴の見学はこれでおしまいです。







氷穴見学を終えたら駐車場の片隅でお留守番しているWRのところに戻りますが、実はWRのすぐ鼻先にある案内板の左脇が青木ヶ原樹海への入口になっています。でも、この入口は駐車場の片隅にあるのでほとんど目立ちません。

また、青木ヶ原の遊歩道や山道の入口やルートはいくつもあって、ここ森の駅風穴から始まるのはそのほんの一部。今回の探索目標ルートではないため本格的に立ち入るつもりはありませんが、明日の青木ヶ原樹海ダートの紅葉探索に備えて、樹海の雰囲気を掴んでおくための予行演習で少しだけ立ち入ってみることにしてみます。







やや、あんなところにこちらを無言で見つめる監視カメラが!? ちなみに駐車場の片隅にはひっそりと監視カメラが設置されていますが、これがなんの目的で設置されているかについては言わずもがなですね。

薄暗くなりかけて人気の少なくなった夕刻時、手ぶらでヨレヨレの背広姿に革靴ばきというハイキングには似つかわしくない不自然な格好で、独り樹海へと入っていく男性や女性ががいたら・・・そう、これは自殺志願者監視のためのもの。

監視カメラはここ富岳氷穴周辺に4台、「西湖コウモリ穴」周辺に2台の計6台が設置されているのですが、青木ヶ原樹海で自殺した方の遺族が富士河口湖街町に費用550万円を寄付して設置されたそうです。というわけで自殺志願者監視の監視カメラを確認したら、うふふ、さっそく独りで樹海へと入っちゃいますよ・・・。

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