上山林道 / Kamiyma 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
探索日 2016.08.12 / No.TO-096 
 [ 所在地 ]三宅村 [ 状態 ]完抜半ダート [ 接続林道 ]雄山環状林道 [ 分岐林道 ]-
 火山島ならではのダートと紺碧の太平洋・・・快晴に恵まれれば一生の思い出になる林道!

宅島林道の中でも三宅村管理の林道は、起点・終点共に林道標が未設置なため、具体的な起点の所在地が分かり難くいのが特徴ですが、目指す上山林道は2本存在する村管理の林道のうちの1本。起点は「坪田」地区内の都212号線から外れた場所に位置しているのですが、都道からのアプローチはさんざん迷った挙げ句断念。いつまでも林道標無き起点を探して貴重な探索時間を浪費するわけにもいかないので、終点である雄山環状林道側から一度走破して起点の位置を確認したうえで、改めて探索する事になりました。というわけで、まずは都道から上山林道起点へのアプローチ地点ですが、都道沿いの「坪田郵便局」から三宅島空港方向に200mほど進んだ地点で左折するこの左折路に入ります。曲がり角のすぐ先に村営バス「旧坪田小学校前」バス停があるので、それを目印にしてください。
→ 現在地を確認する!
道から左折路に入ってひっそりとした坪田の集落内を進んでいくと、やがて十字路が現れるのでそこを左折します。都道からおよそ300mくらいでしょうか。
字路を左折して道なりに進んでいくと左手に墓地が現れますが、墓地の正面に右折路があり、そこが上山林道の起点となっています。しかし林道標が設置されていないので、偶然通りがかってもそこが名のある林道の起点だとはまず気づかないと思います。実際、上山林道の起点を探しまくってこの地点も一度通っていたのですが、まさか、ここが林道起点だとは夢にも思わなかったですよ。地図上では「林道入口はここである!」とすぐに分かっても、実際の現地ではさっぱりだった・・・というケースのいい例になりました。
いうわけで坪田地区にある上山林道の起点ですが、林道区間の行く手を眺めてみても、坪田の集落内に無数に延びる一般道と区別は全くつきませんでした。林道みたいでもあるし、そうでないようにも見えています。事前情報として上山林道の存在を知っていなければ、わざわざ三宅島へとやって来てまで訪れるようなことは絶対にない地点であり、近所の住民の方がたまに通りがかるくらいなものでしょう。
んな感じで林道らしからぬ上山林道の起点でしたが、起点にはとくに見るべき物もなかったのでさっそく先へと進みます。道すがらには鬱蒼とした森が広がり、所々で樹林が切り開かれて畑が作られています。というわけで林道は畑通いの農道も兼ねていたようですが、作られていたのは伊豆諸島ではお約束のアシタバ。畑一面びっしりと育っていました。
→ アシタバ畑を眺める!
新しい巨大な砂防ダムです。林道が跨ぐ小さな沢の上手に構築されていますが、それにしても見上げるような高さが凄かったな。島内にはおよそ50ヶ所もの砂防ダムがあるそうで、平成12(2000)年7月の三宅島噴火以降、堆積した火山灰や渓流の土砂が雨で流出、泥流や土石流がいたる所で頻発したことに対する対策ですね。
防ダムを眺めてさらに登坂していくと、それまでの鋪装がここで途切れます。いよいよ上山林道のダート区間が開始するわけですが、そこは左右にダートが延びているY字となった分岐のある地点。道標の類はなにも立っていませんが、上山林道本線は左折する方向となっています。でも道間違いをヤラかす心配は絶対にあり得ません。なぜかと言えば・・・?
→ 右折方向を眺める!
いうわけで、紛らわしい分岐もどきな地点は左折方向に進路を取り、いざダート区間に進撃しますが、なぜか左折直後の路面が雨天後はヌタヌタになっていそうな土塊状態となっていたんだっけ。そこは両脇から薮まみれの樹林が圧迫してきてどことなく暗い雰囲気が漂っており、「上山林道は閉塞感抜群な土質系?」と疑ってしまうような状況でした。
も大丈夫。一瞬、上山林道は雨が降ったら泥まみれとなってしまう林道なのかと思ったものの、そんなことはなかったです。分岐直後の急カーブを曲がって少し進むと、路面は固く締まったフラットな状態に変化します。そして現れたのが「ソイルセメント砂防堰堤」をぶち抜いた切り通し地点。「ソイルセメント」とはコンクリート材料と土砂材料の中間的な材料で、一言でいえば現地調達の土砂にセメントを混ぜたもの。施行現場周辺で発生した土砂を建設材料として使用するため、コスト縮減と建設期間の短縮が図れるんですね。一口に砂防ダムや堰堤と言っても色々あるわけで、険しい三宅島の地形ならでは工法で築かれた砂防堰堤ですが、不自然に現れた壁に必ずや「なんだこれは?!」と首を傾げてしまうことでしょう。
自然な「壁」にしか見えなかった砂防堰堤を切り通しで抜けてさらに前進。その先で虫食い鋪装区間が現れますが、幸いにもダートはすぐに回復。極短な鋪装を経てダートは復活するのですが、ご覧の通り、手前から眺めても路面のズルズルさが一目瞭然な状態でした。どうやらそれまでの固く締まったフラット状態とはなにかが違うようです!
「溶岩だ!」戸惑いを覚えるほどズルズルに見えた原因は厚く路面に堆積した溶岩の砂利でした。極短な鋪装区間を過ぎるとダートは一気にガレ始めてしまい、縦横に走る無数のクレバスが出現。溝には溢れんばかりの溶岩粒が詰まっていて予想以上の走りにくさでしたが、しかし、それは望むところ。ようやくオフバイクに相応しいステージが現れたか!
「味な真似を!」急勾配で路面には無数のクレバス、そしてタイヤに絡み付くようにズルズルであった大量の溶岩! 角張った拳大の溶岩に乗り上げるたびに突き上げるガタガタ感、そして気を抜けばスリップ転倒も引き起こしかねない溶岩粒のズルズルさに油断できませんが、しかし、そこを強引に力でねじ伏せるが如く、バババと溶岩を跳ね飛ばし蹴立てて一気に登坂する爽快さはなんとしたことか! まさにWRの本領発揮であり、島の非力なレンタルスクーターでは絶対に味わえないオフの醍醐味がてんこ盛りです!
→ 路面を眺める!
→ 路肩を眺める!
道で過去の火山活動の痕跡を目の当たりにしてしまい、躍動感溢れる地球の鼓動をも感じてしまった溶岩散乱地点・・・とまで言ったら言い過ぎですが、そこをエンジンにものを言わせて一気に駆け登っていくと、下から突き上げるガタガタ感は薄れ、いくらか走りやすい状態になりました。細かな黒い溶岩の混ざった砂利のズルズル感は相変わらずですが、ガレ状態は少し落ち着いてきます。ちょっと深い砂利ダートといった感じでしょうか。
ャリジャリと踏みしめる溶岩質の砂利が奏でる小気味よいサウンドを楽しみながら気分よく前進! やがて前方行く手に雄山(775m)の巨大なカルデラ火口の外輪が見えてきます。カルデラは直径が3.5kmほどもあり、その内側には2000(平成12)年の噴火で発生した直径1.6kmのカルデラ火口がもう一つあるとのこと。雄山を二重成層火山たらしめる二重カルデラですが、前進するにつれて雄山が目の前に迫りくる様子はかなりの迫力です!
かし、またしても荒々しく地面から突き出たような溶岩のガレ区間が! 握りこぶしほどのものから漬物石ほどの大きさまで大小無数の火山由来の玄武岩が散乱していたんですね。オフバイクといえども気を抜けばズルッとタイヤを取られるか、大きな溶岩に乗り上げての転倒も十分にあり得ます。気を引き締めてかかる必要がありますが、その一方でここでは溶岩ダート走行の醍醐味を余すことなく味わえます!
→ さらに上山林道を進む!
→ 探索中止!
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