2022 北海道林道探索ツーリング 8月13日(土)晴れのち雨 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
17日目[2]  紋別市「紋別 Monbetsu→ 網走市「網走 Abashiri もどる  






ガソリン給油量 10.23L 給油回数3回 ガソリン代 1805円 総走行距離  258.1 km / ダート走行距離 58.2 km トップへもどる


いざ海岸ダートに突入せん! ダートの開始地点、すなわちコムケトーと外海とを結ぶ感潮狭水路に架かるコムケ湖畔橋を渡ってその先にWRを進めますが、ダートの路面状況はあからさまにズルズルとしたモッサリ系の砂地。しかし、通常の林道入口ではなかなかお目にかかれぬ海岸砂地ダートは最高に楽しそうだぜぇ!







コムケ湖畔橋から300mほど進むと、コムケトー第1水雨の北端にて湖面に細長く砂州が突き出ていたので立ち止まって眺めてみました。

誰もいない静かな岸辺には漁に使う小舟が繋がれてぷかぷかと浮かんでいましたが、画像中央で湖面に突き出た砂州のすぐ向こう側、左方向に続いているのが第2湖へと続く幅100mほどの狭い天然水路の入口です。コムケトーはこのような狭隘な水路によって3つの水域が結ばれています。







続いて南西方向にコムケトー第1湖の対岸を眺めてみますが、青空のもと静かな湖面が見渡す限り広がる景色は清々しい限りですが、ここには紋別漁協の漁業権が設定されていて、現在、コムケトーでは2軒の漁師さんが漁業を行なっているみたいです。

コムケトーで行われている主な漁業はカキの養殖。それ以外にシジミの養殖やホッカイシマエビ漁など行われていますが、水深が浅いため、漁は小舟による手作業で行われているそうです。ただし、小さくて浅い湖特有の夏期の水温上昇という問題があって、過去には養殖カキが斃死したこともあったみたい。







今度はダートの右手、すぐそこに波打ち際がある海側を眺めてみます。カムチャツカ半島まで続く広大なオホーツク海が視界を遮るものなく水平線まで見渡せましたが、ひしひしと感じてしまう最果て感が素晴らしかったな。

ちなみに、以前は感潮狭水路の湖口付近の浜に番屋を設けて沿岸漁業を営む漁師さんもいたそうですが、今は立派な紋別漁港や湧別漁港ができているので、浜の番屋から海に出漁する漁師さんはたぶんいないと思います。







ひとしきり景色を眺めたら前進再開。幅100mほどの砂州上に広がる海岸草原の中に続くダートを、砂地に注意しつつのんびりと進んでいきます。







その後、途中で後方を振り返ってみました。遠くに出発地点の沼の上浜が米粒のように小さく見えていますが、ハマナスの赤い花が咲く湖畔の海岸草原が見渡す限り広がっているのみで、ここに至るまで見事になにもないな〜。







どこまでもフラットで続く砂地系の海岸ダートを順調に進んでいくと、やがて前方になにやら白い立て看板が置かれているのを発見。まさか、工事かなにかで通行止めを告知する看板ではないだろうな。なんだろう、あれは?







お願い
コムケ湖は、北海道自然環境等保全条例22条第1項により、
環境緑地保護地区に指定(S49.3.30)されており、周辺の湿地や湖畔林・植物・野鳥などを含めた
自然環境を大切にしていきたい地域です。
道路以外へ車輌は乗り入れない、ゴミは捨てないなど、
コムケ湖の環境保全行動にご協力をお願いいたします。

「コムケの会」
ふぅ、心配させやがって。白い立て看板は通行止め看板ではなくて環境保護の「お願い看板」でした。というわけで一安心ですが、しかし、すぐそばでは道路を外れて海岸草原に乗り入れて駐車している釣り師の車が! 立て看板で羽を休めていたトビとカラスも「そこに乗り入れるんじゃねーよ!」とプンプン怒っていましたよ。







環境保護の立て看板を過ぎてさらに前進しますが、ここにきていよいよ海岸ダートがその本性を現してきます。砂州をゆくダートの路面がこれまで以上に砂だらけになってきたんですね。普通に常識的に走るぶんには問題ありませんが、調子こいて飛ばすとモッサリとした砂でフロントを取られるので、その点にだけは注意します。







細長い砂州の上に延びるダート沿いにどこまでも続く静かな浜の眺め。コムケトーと外海を隔てる砂州の上は北側で一部が農地になっているほかは、このように波打ち際まで海浜植生の草原が広がっています。

しかし、エゾノコウボウムギやらハマニンニクの群落ばかりで、先ほど眺めた案内板に紹介されているような可憐な草花はほとんど見かけなかったような気が・・・。その原因として帰化植物の侵入が挙げられますが、それ以外にも近年は特に海岸侵食が激しくなっていることも大きな要因の一つらしいですよ。







おお、これは美しい! 道すがらに続く北方系を思わせる美しい景色を楽しみながら砂州の海岸ダートを進んでいきますが、やがてくびれた狭い水路の先に連なるコムケトー第2湖が見えてきたじゃないですか!

こんな感じで海岸ダートはコムケトーの湖岸に連なる原生花園と呼ばれる海岸草原の中に延びていて、美しい北方系湖沼地帯の景色を存分に眺められるますが、この場所からは第2湖の先に連なる第3湖はまだ見えていません。

ちなみに、砂州の上に広がる原生花園は「コムケ原生花園」というそうで、そういえば先ほど同名の「コムケ原生花園(小向原原生花園)」を訪れましたが、ここはそれとは別の場所。同名なので紛らわしいです。







右手にオホーツの海を、左手にコムケトーを眺めながらひたすらどこまでも砂地ダートを進みますが、途中、漂砂で酷くズルズルになった砂溜まり区間もありました。もっさりとタイヤに絡みつくような砂が厚く堆積しているため、ここはハンドルを取られがちで走り難いったらありゃしなかったぜぇ。







道すがら路肩の藪でそこかしこに咲いていたハマナスのきれいな赤い花。道すがらに続くコムケ原生花園の植物にとっての脅威は、海面上昇による高波による海岸侵食や帰化植物の侵入、そして湿原の乾燥化なのですが、しかし、紋別市の花に指定され、コムケトーを代表するハマナスの花だけはやたら見かけたな〜。







地理院地図には「コムケ原生花園」と記され、オホーツク海とコムケトーに挟まれた砂州に広がる海岸草原に延びる海岸ダート。通常の林道とは異なった海岸ダートならではの「砂地」の厄介さを感じつつ、コムケトー第2湖伝いに進んでいきます。

道すがらの原生花園では所々でハマナスが赤い花を咲かせていたほかは、気になる植物もなかったですが、しかし、ここにはレッドデータブックに記載されている絶滅の恐れがある植物が7種もあるそうです。







ジャリジャリジャリ・・・。ダートには酷い砂溜まり区間があったかと思うと、細かな砂利が敷かれて深砂利っぽくなっている区間もありました。砂利が敷かれていたところから察するに、砂州をゆく海岸ダートと言っても、ここは自然のままの姿の道ではなくてある程度の整備はされているみたいです。







コムケトー第2湖の北端までやってきました。その後は第3湖とを結ぶ幅100〜150mほどの水路伝いに進んでいきますが、水路といっても人工的に掘削されたわけではないので、道すがらの水辺には浮島のような湿地が広がっている景色が見渡せます。

ちなみにコムケトーの植生の大きな特徴は、湖岸に広がる塩湿地に植物群落が成立していること。そこでは別名「サンゴ草」とも呼ばれる塩湿地ならではの「アッケシソウ」が群落を作っていて、秋には湖岸の塩湿地のほぼ全域で、赤く染まったアッケシソウの見事な群落が見られるそうです。







その後、路面は再びモッサリ系のタイヤに絡みつくような砂地に戻り、ハンドルを取られぬよう注意しながらWRを進めていきますが、すると道端になにやら古ぼけた木杭が立っているのを発見! さっそく立ち止まって近づいてみると・・・?







工事名 市道コムケ線 災害復旧工事
おお、してやったり! ここにきて海岸ダートの正式名称が判明しました! ネットでは「林道コムケ湖畔線」とか「コムケ湖林道」などと紹介されているものの、さすがにここが「林道」でないことは長年の林道探索で培われたカンによって分かっていましたが、まさか市道扱いになっていたとはね〜。

なお、木杭には「災害復旧工事」と記されていますが、災害というのは砂州上の海岸ダートが波浪によって寸断されることらしいです。しかし、コムケトーと外界とを隔てるこの砂州は、自然に決壊して湖と海とがつながり、その後再びつながる現象が度々起きていたことは先述しましたが、それを考えれば至極当然なこと。

そして、そのような砂州に紋別市の市道に設定されているので、紋別市では毎年のように、なん千万円もの市道コムケ線の災害復旧予算が計上されていたりします。

というわけで、このダートは紋別市の市道コムケ線であるこが分かりましたが、具体的な詳細コースはこのようになっているので探索の参考にしてくださいね。







天然水路の対岸の湖岸には牧場が広がっていましたが、これは農協が経営する「乳牛育成牧場」っぽいです。生後間もない子牛を酪農家から預かり、育成させた後に妊娠させた状態で酪農家の元に戻す育成専門の牧場らしいですが、紋別市と滝上町のブランド乳用牛「オホーツクはまなす牛」とかも育てているのかな?







あぁ、静かだなぁ・・・。こちらはコムケトー第3湖へと続く水路付近の浜辺です。砂州に沿ってどこまでも続く海岸には人影は全くなくて、ただザザーンと静かに波が押し寄せては引いているだけでした。砂浜に独りぽつねんと座って青い海を眺めていると、なんだか水平線に溶け込んでしまいそう。







いかにも北海道らしい風光明媚な景色が広がる長大な砂州のダート(市道コムケ線)をさらに進んでいくと、やがて未舗装な左折分岐が現れます。

海岸ダートは直進方向にさらに続いているのでそちらに進みますが、分岐を左折するとすぐにコムケトー第2湖と第3湖間の水路を渡り、先述した乳牛育成牧場のど真ん中を突っ切っておよそ2キロでR238につながっています。







コムケトー第2湖と第3湖の間を渡って国道へと向かうダートの様子です。おそらくこちらも市道ダートになっていると思われますが、残念ながら市道名は不明。そしてここは「林道」でないのは明らかにつきそれ以上は進みませんでしたが、湖面の景色を眺めるべく、すぐ先に見えていたコンクリ橋までピストンしてみます。







左折分岐の傍に設置されていたコムケトーの鳥獣保護区および自然景観保護地区を示す看板です。コムケトー周辺の簡単な略図が記載されており、現在地を知ることができますが、ただそれだけであって湖の案内などはされていなかったな。







橋上から右手、東南方向に眺めてみたコムケトー(第2湖方向)の眺めです。岸辺に塩湿地が広がっているのが見渡せますが、コムケトーは第1湖に建設された感潮狭水路で永久的に海とつながるようになった汽水湖なので海の干満の影響を受け、湖内にはアッケシソウ群落が見られる多くの湿地と干潟が広がっています。

そしてケムコトーは水深が浅くて水草が豊富なため、野鳥類、特にカモ類の格好な採食場になっていたのですが、現状としてはカモ類やシギ、チドリ類は減少して、オオハクチョウやヒシクイ、ハジロカイツブリが増えているらしいです。

また、コムケトーにおける近年の鳥類相の変化としてはツバメの繁殖が見られるようになり、2008(平成20)年にはオオハクチョウの渡来数が3000羽を超えて急激に増加し、2015(平成27)年にはタンチョウの繁殖も確認されたんだって。

ただし、残念なことに、最近はシャッターチャンスのためには、なりふり構わぬ悪質な動物系カメラマンによる夏鳥の繁殖妨害が問題になっていたりします。







続いて橋上から左手、北西方向に広がるコムケトー(第3湖方向)を眺めてみました。まるで時の流れが共まったかのように波音一つ聞こえてこない静かな湖面、そして湖面を渡って吹き付けてくる涼しげな海風・・・。

最高に清々しくてしばし橋上に立ち尽くしてしまいましたが、そういえばここ数日間は無骨なまでに林道を走り回ってばかり。なので、たまには旅の途中で心の洗濯、すなわち心現れるような美しい景色を眺めておくのもオツなものですなぁ!







美しいコムケトーの景色をひとしきり眺めたら、後ろ髪を引かれる思いで橋上から引き返して海岸ダートの探索を続行します。長大な砂州上に延びる海岸ダートも後半区間となり、そしてこれより後はコムケトー第3湖伝いに進んでいきますよっと。

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