2023 東北縦断 紅葉林道探索 〜 懐かしの地を再訪せよ! 〜 10月31日(火) 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
4日目[3]  → 矢板市「赤滝鉱泉 Akataki Kousen もどる  






ガソリン給油量 6.56L 給油回数 3回 ガソリン代 1260円 総走行距離 219.6 km トップへもどる
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秋の物悲しげな雰囲気が色濃く漂う道無き森の中、点在する紅葉に誘われるかのように落ち葉を踏み分けて歩いて進んでいきます。しかし、右を見ても左を向いても同じ森の景色がどこまでも続くその雰囲気は、昨年(2022[ 令和4 ])に紅葉探索した青木ヶ原樹海の深部の森をどこか彷彿とさせるな〜。







県道沿いの人気のない森の奥で見かけた紅葉。豪華絢爛な鮮やかさや華やかさはなくて地味ですが、それでも森の中には赤色、黄色、橙色、褐色、そして黄緑色など、全ての紅葉カラーが揃っていてきれいだったです。でも夕刻間際にあまり森の奥に入り込むと迷いそうなので、ここで引き返しておきました。







県道に復帰して那須塩原市から矢板市に入ると、やがて「八方ヶ原」に至りますが、そこで「山の駅たかはら」が現れます。八方ヶ原はツツジの名所であり、日光国立公園の一角をなす1000〜1200mも高さの高原で、「高原山(1566m)」、関東平野、那須連山など、八方の展望が望めることからその名が付けられたそうです。

ちなみに八方ヶ原は太平洋戦争中には軍馬牧場として利用された「八方牧場」があった場所。元々ツツジの自生地でしたが、毒性のあるツツジは馬に食べられなかったことから、それが今に残って現在は20万株のレンゲツツジの群落が見られるツツジの名所になったんですね。でも秋はツツジの花は季節外れ。すぐに立ち去ります。







山の駅たかはらを出発、九十九折の下り坂を下っていくとパーキングがありました。無駄に広いだけでなにもなかったですが、紅葉がきれいだったのでちょっと立ち寄ってみます。もちろん誰もおらず、外回りの営業マンの車がサボりがてら1台やって来ましたが、当方の姿を見かけるとすぐに立ち去ったくらいでした。







気がつけば現在時刻は午後4時近く。まだ日暮れまでは時間があるものの、秋の山の日暮れはつるべ落としで早く、すでに雰囲気的には暗くなってきたパーキンギ脇の森の中で一際目立っていたハウチワカエデですが、鮮やかな朱色が美しいな〜。







さらに接近して眺めてみますが、紅葉の橙色や赤色、黄色が微妙に混ざり合った葉がいっぱいです! ハウチワカエデはその名の通り、団扇のように葉が大きくて紅葉も見応えがあるのですが、これだけ葉が密集していると圧巻でした。







せっかくなのでちょっと森の奥へと立ち入ってみますが、秋の人気のない夕暮れ間近の森の中は淋しいな〜。ご覧の通り、森の中は見通しは良いのですが、似たような景色が続いているため、あまり奥に立ち入ると迷っちゃうかもですよ。







深く鮮やかな洋紅色と暗い赤紫色が混ざり合ったハウチワカエデの葉。ようく眺めれば眺めるほど味わい深くて美しい色合いですが、まるで吐血した鮮血が飛び散ったかのような、どこか怖さを感じてしまう紅葉の色彩の美しさです。







その後、駐車場を出発して再び県道をおよそ7kmほど下っていくと、やがて進行方向右手に「赤滝鉱泉入口←」の看板が現れますが、そこが今夜の宿、赤滝鉱泉の入口になっています。付近に人家のない下り右急カーブの途中でいきなり入口が現れるので、初めてやって来ると通り過ぎてしまいがちなので注意してくださいね。







県道から右折する狭い舗装路を進んでいくと、やがて森のまっただ中で「←小滝の湯」の道標が掲げられた左折分岐が現れますが、ここは「赤滝鉱泉入口↑」の道標に従って直進。左折すると小滝鉱泉に行ってしまうので間違えないように。







赤滝駐車場
これより先、ジープ以外の車は下りられません。
赤滝鉱泉

4WD以外× 徒歩3分→
道標に従って赤滝鉱泉方向に進んでいくと、スイッチバックのように切り返す地点が現れますが、ここには宿の小さな駐車スペースがあって、「赤滝駐車場」と記された看板が設置されています。

これより先、赤滝鉱泉までは未舗装の過激な下り鬼坂になっているため、宿泊者は駐車場に車を止めて下り坂は歩いた方が良いのですが、看板はその告知なんですね。もちろんオフバイクならばそのまま下って進めますが、それ以外のバイクの場合は止めておいた方が無難だと思います。







ちなみに赤滝駐車場はこんな感じ。スイッチバック方式の切り返し地点が赤滝鉱泉の駐車場を兼ねています。この先は鬼坂になっているので、車でやって来た宿泊者や入浴客はここに駐車してくださいってなわけです。







おお、なかなか過激な下り坂だぜぇ! 赤滝駐車場から先は路面がダートとなって宿まで続いていますが、すぐに前のめりになるような過激な下り坂が開始します。

しかし、宿の女将さんとかは日常的にこの坂道を登り下りしているので、普通の乗用車では絶対に進めないというわけでもないです。慣れない方は危ないので、できれば止めておいた方が良いということですね。なのでパイロンが置かれています。







そしてここでは下りの傾斜角度が相当キツいので自然と強くブレーキをかけがち。そのことによるフロントロックには要注意しつつ、エンブレを効かせてかなり慎重に下っていかないと転倒してしまいそうな切り返しの下り坂を降りていくと、やがて赤滝鉱泉の赤い屋根が下方に見えてきます。

ちなみに宿で聞いた話だと、以前、バイクでやって来た女性ライダーがこの下り坂で転倒してしまったこともあるそうで、画像では実感しにくいですが、ここは作業道レベルの傾斜角度になっているのでそのつもりでね・・・。







無事に坂道を下りきって赤滝鉱泉に到着しました! ちなみに矢板市のこの辺りは鉱泉密集地帯であり、赤滝鉱泉のすぐそばには小滝鉱泉と寺山鉱泉があっていずれも過去に宿泊済みですが、赤滝鉱泉についてはここ近年は会津地方への林道探索の帰りに立ち寄る機会が多くて常宿化しているんだよなぁ。







赤滝鉱泉に到着したらWRは夜露を凌げるこの場所に駐車させていただきますが、傍に止められているのは宿の車。宿では事前に連絡しておけば、ここから最寄りのJR東北本線「矢板駅」まで女将さん運転の車で送迎(有料)してくれますよ。







WRを止めたら建物の正面に回り込んで入口に向かいますが、初めて訪れた方は付近に人家のない森のまっただ中という赤滝鉱泉の立地もそうですが、もはや昔語りの中でしかお目にかかれないような、昔の古き良き湯治宿を彷彿とさせる年季の入った木造の建物に感動するというか、かなり驚くことと思います。

というわけでこの赤滝鉱泉は個人的にもお気に入りのであり、紅葉林道探索の趣旨からは少々外れますが、ちょっと詳しく紹介したいと思います。







赤滝鉱泉の正面玄関です。到着を告げまでもなく、WRのエンジン音で気がついた女将さんがすぐに奥から現れて出迎えてくれましたが、確か初めて訪れた時は軒先の縁側で先代女将のお婆さんが洗濯物を干していたような気がします。







赤滝鉱泉由来
当鉱泉は江戸時代享保年間(1716〜1736)に発見され其れ
以来近在の人々が農閑期を利用して露天風呂を立て、湯治をして居たが
次第に効能が広く世の人に知られる様になり
遠くからも聞き伝えて是非入浴したいと駄馬に食糧を積んで湯治に来る客人が年々増加するに及んで
宿泊所を建て客を収容するに至れり

明治に入って旅館法が制定され湯沢川(現中川)の上流にある赤滝の名を取り
明治四(1871)年赤滝鉱泉と名称を登録し現在に至る

当鉱泉の効能
神経痛・リウマチ・胃腸病・婦人病・交通事故の後遺症・冷性等に特効あり

名所
赤滝 赤滝不動尊 八方ヶ原 寺山観音寺

昭和58年7月吉日
寄贈 日光市東武駅前五十嵐木工所
正面玄関に掲げられている赤滝鉱泉の由来板ですが、そうだと睨んだ通り、ここはかなり歴史が古いですね。由来板によれば鉱泉が発見されたのは300年前の江戸時代。それだけでも十分歴史がありますが、赤滝鉱泉として宿がオープンしたのも今から153年前の明治4(1871)年というから凄げぇな!







由来板が掲げられた正面玄関の軒先。入口は庇の突き出た縁側の廊下になっていて、隣の母屋につながっていますが、建物は大雑把に分けて客間のある宿泊棟と厨房や宿の方が居住する母屋の2つに分かれているみたいです。そして昔は大勢の当時客で賑わっていたのか、裏手には現在は使われなくなった客室棟もあるみたいだな。







玄関から振り返るとこんな感じ。古い温泉や鉱泉にはよく祠が祀ってありますが、振り返った正面には小さな祠が祀ってありました。その左方向先ほどWRを駐車した宿の駐車場で、左には薪小屋のある庭が広がっています。そして庭を横切っていくと、宿のすぐ傍を流れる中川の水際に行くこともできます。







大きな下駄箱がある赤滝鉱泉の玄関です。突き当たりの左には今は使われていない湯治客用の自炊場があり、右には客室やトイレ、浴場、洗面所などがありますが、玄関からは2階への階段(画像前方右)が少しだけ見えていますね。







玄関の突き当たり左にある自炊場跡。今は物置き場みたいになっていますが、昔は農閑期のお百姓さんなど、湯治客がここでセルフ調理したのでしょう。







突き当たりを右に曲がると2階の客間への階段と、客間(1階左)および浴室(直進)への廊下が続いていますが、宿泊客が1人や1組だけだと配膳が大変なので1階の客間に通され、2階は宿泊客が2組ある場合にのみ使われるみたい。







階段のすぐ背後を左に曲がった先に続く1階客間への廊下。廊下の右側の障子を開けると客間がありますが、そこらの旅館や民宿の建物ではまずお目にかかれない、昔ながらの風情がとても素敵でワクワクしますなぁ! なお、板張りの廊下には畳のむしろが敷いてありますが、ガラス戸を開ければ縁側にもなる趣向ですね。







じゃじゃーん、そしてこれが赤滝鉱泉の1階の客間です! 1階は確か10畳ほどの和室が3部屋ほどあり、それぞれが障子で区切られた作りになっていて、普段は奥まった角部屋が使われているようです。しかし、それにしても低い天井といい、板張りの廊下といい、いかにも湯治宿らしい味のあるシブさが素敵ぜぇ!

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