2022 北海道林道探索ツーリング 8月6日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
10日目[4]  中標津町「中標津 Nakashibetsu→ 陸別町「陸別 Rikubetsu もどる  






ガソリン給油量 9.05L 給油回数4回 ガソリン代 1590円 総走行距離 277.4km / ダート走行距離 80.6 km トップへもどる


林道交差点を通り過ぎると、カラマツ林の中をその後もストレートがひたすら延々と続きます。見通しも良好なので、どうしてもハイスピード巡航となりがちですが、ここではたまに西別岳登山口から道道へと退出する登山者の車とすれ違います。車もかなり飛ばしているので、すれ違い時には接触などの注意が必要です。







虹別林道沿いに広がるカラマツ林。昭和初期以降は開拓が進み、原生林が広がっていた森も今はカラマツ林になっていますが、かつてこの辺りはアイヌの人々の狩猟の場となっていた場所で、昔は「シュワンコタン」というアイヌ集落があったそうです。

アイヌの狩猟といえば、仕留めたヒグマの霊を送る儀式(イオマンテ)が知られていますが、シュワンコタンには明治から昭和初期にかけて、生涯で数百頭もの熊を仕留めたという凄腕の熊撃ちとして知られたアイヌの「榛幸太郎」さんがいましたが、この地で榛幸太郎さんによる最後のイオマンテが行われたのは1940(昭和15)のこと。

儀式の場所は今は「虹別シュワン熊送り場」と呼ばれ、その時の様子は「名取武光」博士によってモノグラフとして記録されていますが、その後、地元民の了解・協力を得て1976(昭和51)年と1978(昭和53)年に発掘調査が行われたそうですよ。







かつてこの地で暮らしていたアイヌの人たちに想いを馳せつつダートを進んでいくと、やがて西別岳登山口が現れました。登山口にはトイレ、ストーブ、寝具が備え付けられた「西別小屋」という山小屋があるのですが、しかし、誰でも無料で宿泊できるため、車で乗り付けてきた登山者で芋洗い状態になっているのを目撃・・・。







登山道の入口脇に設置された登山者向けの注意が記された案内板と登山ポスト。その傍には登山アイテム「杖」が用意されています。







西別岳へと向かう登山道入口です。山頂までの距離は片道3.2キロでコースタイムはおよそ90分。標高799.5mの山頂は高山植物の宝庫で、季節ごとの花が咲き乱れるお花畑と、山頂から見渡す360°の展望が人気なのだそうです。登山の初心者でも登りやすいとのことなので、興味のある方は林道探索ついでにどうぞ。







登山は嗜まないので早々に西別岳登山口を後にして虹別林道をさらに前進します。すると現れたのが西別林道の左折分岐で、西別林道は登山口へのアクセルルートになっているため、分岐には登山口方向を示す道標が立っていますが、しかし、西別林道を示す林道標はなぜか見当たらなかったです。







分岐に設置されている「西別岳登山口→」とだけ記された道標とカーブミラー。西別林道経由で登山口へと向かう車が多いので事故も多いのか、虹別林道を進む車との出会い頭の衝突事故を防ぐためにわざわざ2本も設置されています。







というわけで直進する虹別林道から左折分岐している西別林道の様子ですが、砂利質のダートはよく整備されているし、延長距離は3.4キロほどなのでちょっくら立ち寄ってみます。寄り道で往復しても大して時間はかかりません。







西別林道に入線すると、直線主体のなだらかな坂を下っていきますが、分岐からおよそ1.5キロで左手分岐する支線ダートを発見! 路面はあからさまに草ボーボーなワダチダート状態でしたが、左折しているのは3415林班界線林道。西別林道と並行する完抜け林道で、その終点は西別林道の終点と230mほどしか離れていません。







分岐に設置されている3415林班界線林道の真新しい林道標。西別林道→3415林班界線林道と乗り継いでも、そのまま西別林道を進んでも最終的にはほぼ同じ場所にたどり着きますが、しかし、林道標によって林道名と延長距離がわかっても、ここがピストンなのか、それとも完抜けしているのかは一見さんではちょっと分からないです。







というわけで引き続き西別林道を進みます。西別林道は登山口へのアクセスルートになっているのでダートはよく整備されていましたが、砂利のつぶてが大きくて、ハイスピード巡航しているとガタガタ感が若干激しいので注意。







その後もなだらかな坂を下っていきますが、やがて左右に延びるダートに突き当たるこの地点が西別林道の終点になっています。「山火事注意」の赤い幟が立てられた林道ゲートが設けられていましたが、訪れた時にはゲートは開放されており、また、西別林道の林道標と共に「← KIRAWAY」と記された道標が立っています。









分岐の左折方向、KIRAWAYと記された道標が示す方向ですが、KIRAWAYとは「北根室ランチウェイ」の愛称らしいです。根室ランチウェイとは、中標津〜開陽台〜養老牛温泉〜西別小屋〜摩周湖第一展望台〜釧網本線美留和駅のルートで広大な牧場地帯(ランチ)を通っていく全長71.4キロのロングトレイルのことらしいです。

しかし、北根室ランチウェイは公的なものではなくて、数人の有志メンバーが整備、維持しているだけのトレイル。沿道の酪農家からは、観光客が牧場地帯を歩き回ることで病原体が持ち込まれると、防疫の観点から反対の声も多いのだとか。

というわけで、前方の養老牛温泉方向から延びてきた北根室ランチウェイがここで西別林道へと進むので、林道終点にKIRAWAYの道標が立っていたというわけです。でもいきなり「KIRAWAY」と言われても、一体なんのことだかさっぱりですね・・・。







こちらは分岐の右折方向、左折側と同じくダートが直線で延びています。250mほど先で左折して道なりに進めばやがて道885に突き当たりますが、しかし、建物はなにもなくてただ道がまっすぐに延びているだけなので、初めてこの場所にやってくると、自分がどこにいるのか現在地が分からなくなってしまいます。







西別林道の終点を振り返るとこんな感じ。ゲートの脇に林道標と西別岳登山口への道標がそれぞれ立っています。確証は持てませんが、林道は登山口へのアクセスルートなので、よほどのことがない限りゲートが閉じられていることはないと思います。







ゲートの左脇に立っている西別林道の木製タイプの林道標。そこには「西別岳登山道入口」とも記されていて、フクロウのイラストが描かれていますが、これはたぶん絶滅危惧種の「シマフクロ」。今では北海道頭部を中心に120〜130羽が生息しているだけですが、その昔はこの辺りの森にも普通に生息していたんだろうな〜。







トンボ返しで西別林道を引き返して虹別林道からの分岐地点まで戻ってきました。ダート往復6.8キロの寄り道でしたが、西別林道(画像左)側から左折してあらためて虹別林道(手前〜前方)の探索を再開します。







西別林道の分岐を過ぎると、なだらかなアップダウンのストレートがカラマツ林の中にどこまでも続きます。途中で搬出を待つ木材が山積みされた土場を見かけましたが、すでに「西別林道〜西別岳登山口(虹別林道」間)の登山者のアクセスルートを外れたので、すれ違う一般車を見かけることもぱたりとなくなりました。







おお、ワンダフル! 波打つようになだらかにアップダウンしているダートがひたすら続き、直線が長すぎてその先が見えていない虹別林道の素敵な状況です! 西別林道分岐以降、路面は土質っぽい状態に変化していますが、固く踏み締められているので、ここは絶好のカッ飛ばし区間になっています。







弟子屈連絡林道出現! その後も西別岳の広大な裾野をひたすら一目散に駆け抜けていきますが、やがて弟子屈連絡林道の右折分岐が現れました。 弟子屈連絡林道側には屈強な鋼鉄製のゲートが設けられていましたが、通りがかった時には開放されていて、虹別林道と比べても遜色ないマトモな砂利ダートが延びています。







分岐の傍に設置されていた真新しい弟子屈連絡林道の林道標。虹別林道はこの辺りでは隣接する弟子屈町との境界線伝いに延びていますが、この支線林道が標茶町と弟子屈町をまたぐ林道であることはその林道名からも明らか。根拠はないですが、弟子屈町「摩周」方面へと完抜けしているような気がします。

しかし、弟子屈連絡林道の竣工年度を眺めると令和2年とあります。まだ開設ホヤホヤなので地理院地図にも道筋が記載されておらず、したがって真偽のほどは不明ですが、案外、「連絡」とは名ばかりで実際にはピストンなのかもしれません。さらには延長がなぜか「延長」と記載されているのもなんとなく珍しかったな〜。

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