2022 北海道林道探索ツーリング 8月12日(金)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
16日目[6]  猿払村「浜鬼志別 Hamaonishibetsu→ 紋別市「紋別 Monbetsu もどる  






ガソリン給油量 10.9L 給油回数4回 ガソリン代 1918円 総走行距離  296.2 km / ダート走行距離 58.9 km トップへもどる


旧上藻別駅逓跡を出発したら、そこから道305を1.6キロほど戻り、紋別市「上藻別」で道道から右折して「藻鼈(もべつ)川」支流の「上モベツ川」伝いに舗装路を進み、支流の沢林道入口を目指します。

というわけで、道道から分岐直後に「藻鼈(もべつ)川」に架かる鉄橋を渡り、そのまましばらく進んでいくと、舗装が途切れるダート開始地点で行手が2手に分かれているのを発見。しかし、道標の類は設置されておらず進むべき方向に悩います。







こちらは分岐の左折方向。すぐその先でダートが開始していたので、勘を頼りに取り敢えずこちら側に進んでみることにしておきました。







左折ダートを進んでいくと、途中で跨ぐ上モベツ川支流の小さな流れ。これでも一応は「上モベツ東四川」という河川名が付けられているのですが、ささやかにチョロチョロと水が流れる様子は「沢」にしか見えません。しかし、水はとても澄んでいて、これならば野生のサケも僅かながらに遡上していそうだな〜。







なんやねんここは? 薄暗い森の中に延びるダートをたどっていくと、やがて森の中に平屋の建物があるポッカリと開けた場所にたどり着きました。さては上モベツ東四川沿いにサケ・マス孵化場でも設けられているのかと思いましたが、ここは農業用水を取水するただの「浄水施設」だったようです。







浄水施設に用はないので速攻で引き返して今度は分岐を直進してみます。目指しているのは支流の沢林道起点であり、余計な寄り道をしてしまいましたが、ここでの選択肢は左折と直進しかないので、どうやら直進方向が正解だったみたいだな。







おお、最高に素晴らしいウルトラ・スーパーフラット・ダートが現れました! 硬く締まったワダチダートは走り心地も上々。夏の日の晴れ渡った青空の下、上モベツ川流域の原野の中をエンジン音も軽やかに快走していきますが、しかし、まだ支流の沢林道を示す林道標が現れないことが気がかりです。







ダートの道すがらにどこまでも広がっていた上モベツ川流域の原野の風景。その昔はこのような原野の森にヒグマやキタキツネ、エゾシカなどの動物が跋扈し、アイヌの人々が獲物を追って山々を駆け巡っていたんだろうなぁ。







おお、やりました! 原野を進むダートをたどっていくとやがて左折分岐が現れましたが、その傍に満を辞して「広域基幹林道支流の沢線」と記された大きな鉄板タイプの林道標を発見! ようやく支流の沢林道の起点にたどり着いたようです。

しかし、林道標の立つ地点が微妙なんだよな〜。結果から述べると直進方向が支流の沢林道で、左折方向は支流の沢支線林道になっているのですが、これだと目指す支流の沢林道がどちら方向なのかがよく分かりません。







分岐の左折方向、すなわち本線である支流の沢林道方向の様子です。路面は草深いワダチダート状態になっていて、見た目にもなかなか草深い雰囲気。当初の計画ではこちらに進むはずでしたが、探索時にはその状況に惑わされて本線だと思わずに、うかつにも誤って支流の沢支線林道へと進んでしまったんだよな〜。







分岐の直進方向が支流の沢林道であると勘違いしてしまい、そそっかしくも直進して本線ルートを外れ、現在、支流の沢支線林道を前進中・・・。分岐直後に再び上モベツ川を跨ぎ、以降は上モベツ川の右岸伝いに進んでいきますが、修行がまだまだ足りないのか、探索時にはその重大なミステークに全く気がつかなったぜぇ・・・。







橋上から眺めた上モベツ川の清流。かつてはサケやマスが豊かに遡上していたに違いなく、上モベツ川の本流である「藻鼈川」では、川を遡上するサケを迎える「カムイチェミノミ」の儀式がアイヌの人々によって遠い昔から行われていたみたいです。

しかし、儀式のためにサケを捕獲する場合、昔は自由だったのに、現在は水産資源保護法などによって許可を取らなければならず、それに抗議してアイヌの人が無許可で捕獲した結果、警察が出動する騒ぎが起きたりしていることを聞きましたが、根絶やしに釣りまくる罪深き釣り師じゃあるまいし、なんとも情の無い仕打ちだな〜。







なんやねん、ここは? 上モベツ川の右岸伝いに広がる鬱蒼とした森の中を進んでいくと、サケ・マス孵化場のような施設が突如として現れましたが、よく眺めてみると、やはりここも紋別市の浄水場らしかったです。というわけで、支流の沢支線林道はこの浄水施設へのアクセス路になっているみたいでした。







それが証拠に浄水場を過ぎると路面が急激に規格ダウン。両脇から迫るクマザサの藪で幅員はグッと狭められ、路面もフカフカな山土質のワダチダートとなって軟弱さが雪崩を打つかのように一気に増加。その状況にかなりの心細さを感じてしまいますが、それでも道筋は途絶えることなく続いているので前進あるのみ。







車両の通行も途絶え、放置の香りが色濃く漂う支流の沢支線林道深部の道すがらに広がる森の景色。森の木立の中には陽射しが眩しく差し込み、まるで緑の絨毯が敷き詰められたかのようでしたが、それでいながら林床はクマザサの藪に覆い尽くされて一歩も足を踏み入れる余地がない状態。森の中は猛烈な藪にまみれています。







左折分岐発見! 進むにつれて路面状況はさらに悪化し、草深さと廃れた閉塞感が嫌が上にも増してくる支流の沢支線林道のダートでしたが、ずるずると誘い込まれるかのように進んでいくとやがて現れたのがこの左折分岐です。

とりあえずWRのエンジンを切り、分岐に立ち止まって直進および左折方向を眺めてみますが、ここは直感的に直進方向が本線であると判断。しかし、双方共にこれまで以上に廃れており、その先はほとんど廃道状態であることに変わりありません。







分岐から眺めた左折方向の様子ですが、これはもう廃道化していると言って差し支えのない状態かと・・・。車両が立ち入った痕跡が確認できないのはちろんのこと、夏草まみれの路面は石まみれでガラガラな極荒れ状態!

また、林道標が設置されていないので確証はありませんが、ここは支流の沢支線林道から紋別市に隣接する「湧別町」の「富美」地区へと連絡する上藻別富美林道だという話もあり、地理院地図には波線でその道筋が今なお記されていたりします。

なんでも20年以上も前は上藻別富美林道経由で辛うじて湧別町富美地区に通り抜けられらしいのですが、すでにその当時でさえもかなり凶悪なアタックルートと化していたそうなので、現在はとてもじゃないけど通り抜けは不可能だと思います。







だってほら、分岐直後に上モベツ川を直渡りしている上藻別富美林道とおぼしきダートはこのような有様だし・・・。これが自宅近所の裏山ならば、酔狂で探索してみようという気にもなれますが、ここは北海道の山奥です。怖いプーさんが高密度で生息する森をゆく廃道を、さすがにソロで探索調査する気にはにとてもなれませんなぁ。







というわけで上藻別富美林道とおぼしき分岐を直進して支流の沢支線林道を進んでいきますが、こちらも状況は五十歩百歩で芳しくありません。両路肩からは藪が迫り出し、路面は常に湿り気を帯びているような、見た目にも薄暗いことこの上ない廃れたワダチダートがどこまでも続きます。

ちなみに地理院地図では山道を示す波線が人里遠く離れた山奥にひたすら続き、最終的には遠く離れた「遠軽町との境界に位置する「上原峠(456m)」付近で道137につながっているようですが、森のクマさんが出没しそうな廃れた雰囲気に怖気付いてしまい、これ以上の前進は危険であると判断。ここらで勇気ある撤退を決意します。







その後、支流の沢支線林道→支流の沢林道と引き返し、道305へと退出して紋別市街地方向に進んで道553との分岐までやってきました。しかし、このまま本日の宿泊地の紋別市街地に向かうのではなくて、お次はそこから2.8キロ離れた紋別市「藻別」で右折して市道を進んだ先から開始している弘道(こうどう)林道を目指します。







道305空右折して市道を進むことおよそ2キロで藻別集落に差しかかりますが、集落内を通り抜け他た直後に現れる「シマララギ四線川」に架かるコンクリ橋を渡った地点で路面はダート化します。

それにしても「シマララギ」とは珍妙な河川名ですが、もちろんこれはアイヌ語由来の地名。アイヌ語の「シュマ+ララキ」で「石+滑る所」という意味らしいので、シマララギ川の岸辺は歩くと滑りやすくなっているのかもしれませんね。







でた! ダート開始地点の路肩で見かけた北海道の林道ではお約束の「熊!! 出没注意」看板です。ちなみにガオォ〜っと襲ってくる森のクマさんに対して、「クマ除けスプレー」は絶大な効果を発揮するので持参される方もおられるかもしれませんが、しかし、有事の際に実際に役立つかどうかについては話は別だったりします。

なぜならば、クマ避けスプレーの射程距離と噴射持続時間は極めて短く、猛ダッシュで迫りつつあるプーさんに対して、慌てず臆さずに風向きも考慮した上で、弱点であるその鼻先にピンポイントで吹き付けることはかなり至難の技。しかも、的を外せば即死亡でゲームオーバー。うふふ、というわけで現実はそう甘くはないですよ。







というわけでシマララギ四線川に架かるコンクリ橋を渡ったこの地点から弘道林道の探索をいざ開始せん! 幅広で小砂利をまぶしたようなダートが前方の森に向かっていい感じで素敵に延びていますが、いつもながらに未知なる林道を探索する時に感じてしまうワクワク感が半端なかったな〜。







藻別の集落を出発すると、数百メートルほど先で路肩に林道標が設置されているのを発見! 予算や設置費用などの理由によって、昨今、林道標未設置な林道も多い中、このようにちゃんと林道標が設置されているのを見ると嬉しくなってしまいます。







路肩の草むらに設置されていた大きな木製看板タイプの林道標です。「弘道」という林道名は紋別市「弘道」集落の地名から名付けられたもので、この辺りの林道名としては珍しくアイヌ語由来ではなくて日本語チックな名称ですが、これは明治時代に入植した開拓者たちによってつけられた地名。

現在の紋別市弘道地区に入植した当時の人々は、水戸藩の掲げた、教育によって人心を安定させ、教育を基盤として国を興すという「弘道精神」を重じていたので、それが地名となり、そのまま林道名になっているんですね。また、弘道集落には集落の開拓に貢献した人物を称える石碑があったりもしますが、それについてはまた後で。

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