2022 北海道林道探索ツーリング 8月13日(土)晴れのち雨 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
17日目[6]  紋別市「紋別 Monbetsu→ 網走市「網走 Abashiri もどる  






ガソリン給油量 10.23L 給油回数3回 ガソリン代 1805円 総走行距離  258.1 km / ダート走行距離 58.2 km トップへもどる


その後も荒れ知らずで走りやすい状態が続いた緋卯林道を快調に進んでいきます。現在地の標高はおよそ220mほどで、標高98mの卯原内ダムからここまでの間に120mほど登ってきたわけですが、途中これといった急勾配もなくて林道としての険しさはゼロ。しかし、道すがらの森の雰囲気がより鬱蒼としてきたなと思っていると・・・?







やがて右の路肩に「古(いにしえ)の森」の遊歩道入口が現れました。古の森とは北見市の東端にそびえる「常呂山(ところやま / 480.8m)」にほど近く、網走市と北見市の境界付近の広大な「オホーツクの森」と呼ばれる森林の中にあって、原始林を彷彿とさせる貴重な森のこと。その森の遊歩道の入口がここなんですね。

また、オホーツクの森には古の森に隣接して「材木遺伝資源保存林」が広がっているのですが、緋卯林道のダートは左手に古の森を、右手に保存林を眺めながら、そのちょうど境界線に沿って十字園に向かって延びています。







林道の右路肩に現れた古の森の遊歩道入口です。林床をぶ厚く覆い尽くすクマザサの藪が刈り込まれて踏み跡レベルの道筋が確保されており、ここから遊歩道経由でも十字園まで行けるみたいでした。

しかし、ここ近年は道内各地で森のクマさんとの遭遇事故が異常多発しており、また、おりしも緋卯林道を訪れたこの時は、未だ捕獲されない「OSO18」が道北地方で暴れまくって、世間が大騒ぎしていた頃でもあります。当然、怖いプーさんを警戒してか、遊歩道を散策する観光客の姿なんて全く見かけなかったけどな。

※「OSO18」はその後、2023(令和5)年7月20日に釧路町「仙鳳跡村オタクパウシ」の放牧場であっけなく射殺駆除されています。







古の森を巡る遊歩道入口に掲げられていた地図看板です。古の森への入口は3カ所あってここは「三本松入口」であるとのこと。そして遊歩道は途中で道が分かれて「しらかば十字園」および「遺伝資源保存林」につながっているみたいです。

ちなみに遊歩道の総延長は1キロほど。太古の原生林の趣が濃厚な森の雰囲気を味わってみたい方は、そ緋卯林道探索ついでにどうぞ・・・。







ウダイカンバ(別名マカバ)【カバノキ科】
・適潤地に生え、高さ25mにもなり姿はシラカバに似ている。          

・葉は卵形で不揃いな細かい重鋸歯があり、                  
 基部は深いハート形で先はとがる。葉柄がある。               
 長柄は互生、短枝は2枚。幼樹の葉は、軟毛を密生し下面に浮き出る。     
 果穂は垂れ下がる。                            

・樹皮は黄褐色又は灰白色で割れ目はなく、横に紙状にはげる横長の皮目が目立つ。

・名前の由来 樹皮が多くよく燃えるため、                  
 鵜飼用の松明「鵜松明」(うたいまつ)に用いたことから。          
 皮がガバガバはがれることからカンバの説も。                

・中国ではカンバ類の灯火を華燭といい、途中で消えないことから縁起がいい。  
 華燭の典(結婚式)                            
あー、それから古の森の遊歩道入口そばには、古の森に生える「ウダイカンバ」というの樹木を紹介する案内板がありました。「シラカンバ」や「ダケカンバ」なら見たり聞いたことがありますが、ウダイカンバは初めてだな〜。







案内板のすぐ背後にそびえるウダイカンバの大木です。漢字では「鵜松明樺」と書くウダイガンバの木、見た目はご覧の通り普通の樹木でしたが、なんでも日本産の広葉樹の木材としては最高級品の一つに数えられているらしいですよ。







ウダイカンバの樹木を眺めたら古の森遊歩道の三本松入口を出発。再び十字園を目指して緋卯林道を進んでいきますが、すると200mほど進んだ地点で直進していく分岐を発見しました。しかし、うっすらと一面夏草に覆われて、車両が立ち入った痕跡が全く見られないこのダートは「林道」とか「作業道」などの類ではない模様。







それが証拠に分岐の傍にはこのような道標が立っています。道標には「展望台歩道」と記されており、おそらくここはオホーツクの森にある「展望台」へと続く山道(歩道)の入口になっているようでした。

また、「クリンソウ入口」とも記されていますが、「クリンソウ」とは紅紫色の花を咲かせる「九輪草」のこと。展望台へと向かう山道の途中にクリンソウの群生地があるみたいです。花が美しくて人気がある山野草ですが、しかし、花期は4〜6月。残念ながら今は花の時季を過ぎてしまっているなぁ・・・。







クリンソウ入口に掲げられている付近のマップです。淡い緑色の部分がオホーツクの森で、その中を色分けされた6本の探勝ルートが入り乱れていますが、各探勝ルートはそのまま林道のルートだと思って構わないです。

そして今現在は卯原内ダムから赤ルートを進んできて、現在地そばにある「しらかば十字園」に向かっているというわけ。なお、地図にクリンソウ群生地は記されていませんが、「展望台」は現在地から左に少し離れた地点に記されています。







クリンソウ入口を出発して緋卯林道の探索を再開。再び十字園を目指してWRを走らせますが、するとすぐに路肩にベンチの置かれた地点を通りがかりました。ベンチの傍には案内板と道標が設置されていましたが、どうやらここは古の森遊歩道の3カ所ある入口のうちの1つ「ハルニレ入口」らしかったです。









古の森遊歩道のハルニレ入口を示す道標です。先ほど遊歩道の三本松入口を通りがかりましたが、三本松入口からここまでの距離は340mほど。うふふ、それくらいの短距離ならば、途中で森のクマさんに出会わず通り抜けられるかな?







ハルニレの「林木遺伝資源保存林」案内板
この地域は「ハルニレ」を対象とした「林木遺伝資源保存林」です。

林木遺伝子保存林は、様々な樹種の遺伝資源を森林の状態で保存するために設けられています。

そのため、この林の管理は、主に枯損木や被害木の除去を中心としてきており、
今でも原生林を思わせる巨樹・巨木、そして多くの樹種を見ることが出来ます。

林内の散策は、歩道(しらかば十字園「古(いにしえ)の森」歩道)を利用して下さい。

歩道以外の歩行は、遺伝資源保存林に影響を与えることや、枯木・倒木・落枝等の危険がありますので、
「立入禁止」にしています。
また、植物採取もできませんので御協力願います。

北海道森林管理局
林野庁
遊歩道入口には「林木遺伝資源保存林」の案内板もありました。なにやら難しく記述されていますが、早い話が「林木遺伝資源保存林」っていうのは、国有林において優良な天然林や人工林から種を採取して育てて造成した人工林のこと。

そしてここでは保存対象樹木がニレ科の落葉高木「ハルニレ」だというわけ。そういうわけでこの場所にある遊歩道入口は「ハルニレ入口」と名付けられています。

だけど、この案内板の情報はちと古いな〜。現在は保護林の制度改革によって林木遺伝資源保存林という枠組みはなくなり、それに代わって「希少個体群保護林」という枠組みができていて、ここは「網走ハルニレ遺伝資源希少個体群保護林」に指定されています。ちなみに保護林の広さは11.22平方キロ。







おや、「古の森案内ボックス」ありました。一瞬、入林届箱かと思いましたが、違ったようです。中になにやらチラチが入っていたので取り出してみると・・・?







中に入っていたのはコピー紙に印刷された「古の森遊歩道案内図」でした。3カ所ある遊歩道の入口地点が記されていて、途中の分岐地点と距離が記されています。







しらかば十字園 ようこそ「古(いにしえ)の森」
しらかば十字園「古の森」は、ハルニレの「林木遺伝資源保存林」として保護されてきた森林が中心です。

森林散策や森林環境教育に適した多くの植物が生育するほか、原生林を思わせる巨樹・巨木、
そしてエゾリスやアカゲラなど様々な動植物が皆さんを迎えてくれます。

植物や動物・菌類、そして土や水などが、相互に関わりを持って成り立っている様子、
森林の働きを学ぶことが出来るエリアとして最適です。

ここが見所!
(主な観察ポイントに解説坂を設置しています)
1エゾマツ・トドマツ・シラカンバ・ハルニレ・イタヤカエデなど、大小50種を超える様々な樹木。   
2シダ類・ネコノメソウ・ヒトリシズカ・オオウバユリ・ミミコウモリなど、40種を超えるそう木植物。 
3ヤマブドウ・サルナシ・ツルアジサイなど、食用になる実やきれいな花を付けるツル類。       
4クマゲラ・チジュウカラなどの鳥類、エゾリス・エゾシカなどの動物。               
5樹木の名前当て・健康診断などクイズに挑戦。                          

連絡先
北海道森林局 常呂川ふれあい推進センター TEL 0157-23-2960 又は 050-3160-6320
網走南部森林管理署 TEL 0152-62-2211 又は 050-3160-5775
さらにもう一枚、やはりコピー紙に印刷された「しらかば十字園 ようこそ古の森」が入っていましたが、これには見所ポイントとして古の森と林木遺伝資源保存林(現「網走ハルニレ遺伝資源希少個体群保護林」)で見られる植物や鳥類、そして動物名などが列挙されていました。

なお、案内板を読んでもオホーツクの森の中に設けられている「林木遺伝資源保存林」と「古の森」の違いがよく分かりませんが、保存林はハルニレを対象とした保護林で、古の森はハルニレ以外の樹木の保護林だと思えばいいかな。

また、古の森で出逢える動物が記されていますが、ここではエゾリスやエゾシカなどよりも「十字ギツネ」に出会えたらそれはとてもラッキー。十字ギツネは遺伝的な要因で首から背中にかけての体色が黒いレアなキタキツネのことで、調査によってここオホーツクの森に僅かに生息していることが確認されているんだって!







古の森遊歩道のハルニレ入口では案内板を眺めるだけにとどめ、森に立ち入ることはせずに十字園に向かって前進再開。そりゃあ、道すがらの森が貴重で素晴らしいのは分かりますが、しかし、オホーツクの森を訪れた目的は森林浴や森の散策ではありません。あくまでも「林道」なので、そこのところはブレないんだぜぇ!

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