本来、峠路というのは雨が降り出すと急に沢筋へと変転してしまうことが多いもの。したがって、雨後にそこを通行することにはいろいろと困難が伴います。途切れることなく続く路面のクレバスもその一つであり、時に恐ろしく深くなり、また時には浅くなっての繰り返しでした。山土がえぐれて掘られたクレバスはめり込むような軟らかさであり、このように浅くてもうかつにハマるとタイヤがスタックしがちです。峠越えをする際は、いかなる場合も焦らず急がずにゆっくりと進むことが基本です。 | |
クレバスは左右のワダチのどちらか一方にできている区間がほとんどでしたが、このような嫌らしい箇所も・・・。中央部分か路肩のきわを通るしかないですが、あまりクレバスに接近すると壁がモサっと崩れてフロントが溝にズリ落ちます。 | |
その先では流水溝が横切る箇所もありましたが、そういった箇所は特に洗掘作用が大きいらしく、流水溝が浮きでた形に段差ができていました。この状況でそうする方はまずいませんが、クレバス部分から乗り越えようとしても、それは壁に向かって正面衝突するようなもの。やはりズルズルな厚い砂利部分を進むしかなかったです。 | |
ちなみにこの区間でクレバスにハマるとこのような状況になりがち。スピードの出し過ぎでフラついてズリ落ちたのですが、リアが滑って土質の底から這い上がれないんですね。バババーンッとエンジンの大音響と共に白煙が周囲に漂い、タイヤが虚しく溝の底を掘り下げます。それでも強引にアクセルをふかし続けていたら、前進力が思わぬ方向に作用してくるっと回転するように横滑りしてしまいました。思わず「ちぃっ!」と舌打ちですが、これ、分かる方には分かる状況。ひとり苦笑でした。あはは・・・。 | |
とまあ、そんな感じで久しぶりに深砂利とクレバスの荒れを楽しみつつ、ようやく県境の峠に到達しました。路面がまともであったならば、道中かなりの爽快さが味わえたに違いないですが、まずは予定通り峠に到達したのでそれはそれでよし。というわけで真昼岳林道ではお約束の峠地点、ここで水分補給とクールダウンを兼ねてしばしの休憩としておきました。
→峠の展望(右方向)を眺める! →峠の展望(左方向)を眺める! |
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なお、峠は「真昼岳(1059.4m)」および「鹿ノ子山(937.1m)」への登山口でもあり、ここは「峰越登山口」というらしいです。駐車スペースがあるものの車は1台もいませんね。それどころかここ最近、車がやって来たような形跡もなかったです。となれば、この先の秋田県区間もなんらかの自然災害で通行が途絶えているとみるのが妥当でしょう。立ち並ぶ道標や案内板も古ぼけており、林道が荒れる以前はバスで乗り付けたオッサンやオバハンの団体登山でお祭り状態であった峠も、今はそんなことがまるでウソであったみたい。おかげで人っ子一人誰もいない静寂さの中、欲しいままに峠の風情を味わうことができました。そう考えると、林道の荒れた状況もまんざら悪くはないなぁ・・・。
→案内板を眺める! →案内板を眺める! |
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峠の風情をしばし満喫したら峠を下って秋田県へと入ります。車両の通行の途絶えた峠の状態から、この先の秋田県区間でも荒れが待っているのは予測できましたが、どのような荒れっぷりで楽しませてくれるのか実にワクワクする瞬間でした。というわけで東北屈指のロングダートである真昼岳林道、意気揚々と後半区間のスタート! | |
県境の峠を後にしてまずはなだらかに下り坂を降りていきます。路肩に四輪用の転落防止ブロックが続くダートはフラットであり、これならばかつて登山者満載のバスがここを峠へと通っていたというのもうなずけました。そしてここから望む秋田県側の眺望も実に素晴らしかったです。
→峠を振り返る! →展望を眺める! |
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峠を挟んだ岩手県側の荒れた状態とは対照的に、秋田県側の峠から下るダートは意外にもまとも状態であった真昼岳林道。こちら側はとくに異常はないのかと思ってしまいますが、大規模な土砂崩れ跡に差しかかりました。真新しいコンクリ擁壁で固められた斜面から察するに、復旧したのはわりと最近のことみたい。堆積土砂が撤去されきれておらずにフカフカな土塊まみれとなっていました。おそらく、ここの土砂崩れで泣く泣く撤退を余儀なくされた林道ライダーも少なくはないはず。それほど規模の大きな土砂崩れ跡だったです。
→土砂崩れ跡を眺める! |
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その後、ダートに多少のガタガタ感が出てきます。ですが、それはほとんど問題とならない程度のものであり、秋田県側は基本的にはフラット状態となっているみたい。そしてなによりも峠を挟んだ秋田県側はとにかくビューポイントが多いのが素晴らしいです。この地点からは山裾の平野部を俯瞰することができましたが、それはこの林道で最高ともいうべき眺めでしたね。
→展望を眺める! →峠方向を振り返る! |
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名残惜しいですが、さらに下って山腹の鬱蒼とした樹林地帯へと降りていきます。すると不自然に路肩が大きく膨らんだ地点が現れました。ここも雑草むした土砂崩れ跡なのかと思ったものの、これは四輪同士のすれ違い場とみるのが妥当でしょう。 | |
その後、何事もなくなだらかに下っていくと途中に清水がありました。「峰越延命水」というそうで、これも真昼岳林道の見所となっています。なお、真昼岳林道を訪れたのは世間でいうところのお盆休み。この水を求めて遠方から訪れる四輪も少なくはないとのことであり、誰かしらが水を汲んでいてもおかしくはないのですが、清水が完全なる無人状態であったのは、やはりここまで四輪でやって来られない状況がこの先にあるとみた!
→峰越延命水! |
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そしてついに現われた「そのまま放置」状態の土砂崩れ箇所! 路面に押し出された大量の土と砂礫の撤去はまだ先なのか、とりあえず「落石注意」の立看板を置いてそのままにしてあるのだと思います。もちろんオフバイク的にはなんら問題はありませんでしたが、土砂崩れそのものではなくて、ついに秋田県側でも障害箇所が出現し始めたということが、この先の不安を煽るんですね。これが荒れの前兆とならなければよいのですが・・・。 | |
やっぱりな・・・。そこを過ぎると路面状況が悪化しました。それまでのフラットであった路面があれよあれよという間に砂利と土塊まみれのズルズルな状態に! 画像ではなんてこともなさそうに見えるかもしれませんが、ハンドルがとられて実に走りにくかったです。 | |
土塊と砂利が混合、もっさりとした感触の荒れた路面状況が続きますが、秋田県側も岩手県側と同様に度重なる「50年に1度」の大雨で荒れてしまっていたようです。大雨時の濁流と化した林道が想像できるようなズルズル状態でした。ただし、岩手県側と比較すれば荒れの程度もそこまで深刻ではなかったですよ。
→さらに真昼岳林道を進む! →探索中止! |
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