急坂の途中にあった大路池展望台を過ぎ、コンクリ鋪装で険しさはゼロながらも次第に標高を上げていく雄山環状林道。標高350mを過ぎると次第に周囲が広大に開け、雄山中腹の樹木はなくてハチジョウススキが生い茂る広大な溶岩原を進んで行くコースへと変わります。見渡す限り草原の広がる中に延びる林道沿いに1ヶ所ベンチが設けられていましたが、これは林道ハイキングの観光客のためのものでしょうか? | |
見渡す限りハチジョウススキの草原に覆われ溶岩丘の起伏がどこまでも広がる雄山中腹地帯を快走します。果てしなく前方に延びる林道の道筋と波打つように連続する勾配のアップダウン! エンジンにものを言わせて一気に駆け抜ける爽快さがここにはありました。数キロ先まで見渡せる視界はすこぶる良好。観光客の車を見かけることもないまま、エンジン付きにとっては最高なまでに素晴らし過ぎるシチュエーションが続きます!
→ 路肩を眺める! |
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しかし、狭い三宅島のどこに「これほどの広さに開けた場所があったのか」と思ってしまうほど周囲は広かったなぁ。人の姿や車両をほとんど見かけない林道ではハイスピード巡航も十分に可能であり、存分に快走できるという意味では、雄山環状林道で最も走りを純粋に楽しめる区間でもあります。全身に島の風を感じながら駆け抜けることができますよ! そんな感じで駆け抜けた草原地帯の中の小さな沢筋を跨ぐ地点です。
→ 沢(左 / 七島展望台方向)を眺める! → 沢(右 / 雄山方向)を眺める! |
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そして三宅島へとエンジン付きを持参したことが最も嬉しく思えた区間がここ。道すがらの右手には遮るもの一切なくして雄山の勇姿が常に見えており、前方の七島展望台方向へと果てしなく続く雄山環状林道の道筋。惚れ惚れとするシチュエーションとはこのことで、ちょうどここですれ違ったトボトボ歩きのハイカーには申し訳なかったですが、エンジン音も軽やかな走りを楽しませていただきました。ここでは駆け抜ける疾走感こそが醍醐味であり、ハイカー連れの姿があっという間に後方の小さな点になってしまったんだっけなぁ。あはは。
→ 景色(雄山方向)を眺める! → 景色(雄山方向)を眺める! → 景色(七島展望台方向)を眺める! |
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時にハイスピードで風を全身に受けながら、またある時は雄大な景観を眺めつつ快走していくと、やがて前方に電柱やら建物が見えてきました。どうやらあそこが「七島展望台」への入口らしく、そのすぐ左脇には展望台のある噴石丘の二男山が見えていますね。そしてそこはかつて「三宅村営牧場」があった場所なのですが、現在はとある状態でとても有名な場所。もちろん言うまでもなく火山に関係のあることで、周囲を見渡してみればすぐに分かります。
→ やや、あれは?! → うわ、これは?! |
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平成12(2000)年の雄山噴火によって、かつて村営牧場のあったこの付近一帯は廃墟化しましたが、それに伴って雄山環状林道も再起不能な甚大な大ダメージを被っています。林道沿いの右手に廃墟が現れると、そのすぐ先に鉄パイプ柵で封鎖された鋭角な左折の鋪装分岐(画像では前方左手)がありますが、実はそこ、噴火以前は雄山環状林道だった区間。牧場施設と共に甚大な被害を受けてしまい、現在も危険区域として廃道化しているんですね。それでは現在の雄山環状林道のルートはどうなっているのかというと、かつての「牧野管理道路(画像では手前側)」区間が雄山環状林道区間に変更されているみたいです。
→ 現在地を確認する! → 旧雄山環状林道ルート(左折側)の様子を眺める! → 付近を調べる! → 阿古林道に向かう! |
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噴火以前は雄山環状林道区間であった右折側から分岐を眺めてみるとこんな感じ。かつての林道区間は鉄パイプ柵で封鎖されて、噴火までは「牧野管理道路」であった区間が現在は雄山環状林道化されているというわけです。ちなみに右折側の放棄区間ですが、現地に今も残存する「牧場公園案内図」には「雄山環状線林道」との記載がされていますが、東京都三宅支庁産業課の「三宅島林道マップ」ではなぜか「阿古林道」とされていたりします。おそらく案内図のルートの方が正解で本来の阿古林道区間はここだと思われます。しかし、それは噴火以前の話であって現在は状況も激変しています。そしてなによりも正確な林道区間にこだわらない方にはどうでもいい話ですからなぁ・・・。 | |
そして旧雄山環状林道ルートへの分岐を過ぎると、そのすぐ先に村道雄山線(画像左側)の分岐が現れ、その数メートル先の左手が「七島展望台」への入口でした。ちょうどこの場所には牧場公園の廃墟化した「管理事務所」があって、先述した「牧場公園案内図」はその目の前に立っています。廃墟化した付近には公衆トイレと広い駐車スペースが新たに設けられているだけで、自販機とかもなくて施設的な物は他にはなにもありませんが、「林道雄山環状線」と記された林道標と「阿古ジオトレッキングルート案内図」が立っていましたよ。
→ 振り返る! → 林道標を眺める! → ジオトレッキングルート案内板を眺める! |
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村道雄山線の左折分岐の直後、すぐ左側に公衆トイレと広い駐車スペースが設けられていますが、そこが「七島展望台」への入口でした。一見すると広くて何もない感じの場所ですが、前後のコンクリ簡易鋪装路が雄山環状林道、駐車場のある左手が展望台入口であることを示す道標が立っているのですぐに分かります。展望台までの道は連続するキツい坂道ですが、オフバイクならあっという間。忘れずに立ち寄っておきましょう。
→ 道標を眺める! → 七島展望台に向かう! → 付近を散策する! |
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七島展望台と、その周辺の村営牧場跡の廃墟群をゆっくり眺めてから雄山環状林道をさらに前進。噴火で溶岩流に覆い尽くされた溶岩原の真っただ中をストレートに突っ切って簡易鋪装区間が延びています。走ってとても爽快な区間ですが、林道右手の広大な雄山の中腹地帯はかつて三宅村営牧場があった場所。現在は一面の荒涼とした溶岩原が広がるのみで跡形もなく、そこに牧場があったなんてとても信じられないほどの荒涼さを味わえるでしょう。 → 景色(村営牧場跡)を眺める! |
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牧場を埋め尽くした溶岩流の大地のストレートを一騎駆けに抜けます! しかし、ここはどこまで行っても果てしなく広がる広大な溶岩原。いくら進んでも似たような景観が連続するため、まるで同じ場所にとどまり続けているかのようでした。ちなみに2000(平成12)年の雄山噴火以前は本道であった旧雄山環状林道の道筋が、この辺りで右手の中腹より下ってきて牧野管理道(現雄山環状線ルート)に合流していたはずですが、それを確認できうるような痕跡は皆無。灼熱の溶岩が全てを飲み込んで消し去ってしまっています。
→ 現在地を確認する! → 景色を眺める! |
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村営牧場と山麓を見事なまでに埋め尽くしていた溶岩原を眺めながら進んでいくと、やがて林道は鬱蒼と密生した灌木の森の中へと進み、左手から合流してくる南戸林道の分岐が現れます。南戸林道は東海汽船橘丸が発着する「錆ヶ浜港」のある阿古地区から登坂してくる全線鋪装の林道で、錆ヶ浜から「七島展望台」へと向かう最短のアプローチルートになっており、展望台を目指す観光客もそのルートでやって来ることが多いです。
→ 現在地を確認する! → 南戸林道の様子をうかがう! → 林道標(南戸林道)を眺める! → 道標を眺める! → 南戸林道に突入! |
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「笠地?」南戸林道分岐を過ぎて、鬱蒼としたジャングル状態の灌木林を進んでいくと、このような場所で「ジオスポット」を発見! なんでも「笠地」というスポットらしいですが、しかし林道沿いには薮の壁が連なるだけで気になる物はなかったなぁ・・・。火山に関係のある場所であることは分かりますが、どういう場所なのかまではさっぱり。「こんな場所じゃあ、誰も訪れんだろ」と思いつつも、さっそくWRを止めて案内板を眺めてみます。
→ ジオスポット「笠地」案内板を眺める! → 笠地を眺める! |
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ジオスポット案内板の立っている地点で振り返ってみますが、付近はこのように濃密な灌木の薮が広がっているのみでした。現在、その面影や痕跡はなにもありませんが、でもここは2000(平成12)年の雄山噴火以前にはちょうど「村営牧場」と椎の木ランドなる「三宅島ふれあい広場」があった場所。それが噴火とその後の土石流によってに消滅してしまい、今はこのように灌木の薮が広がるだけの荒れ地な場所と化してしまったんですね。しかし、それもジオスポット案内板があってこそ分かること。もしも案内板がなければ、濃密な薮の中を通り抜けるただの一区間にしか見えません。う〜ん、全てを消し去る噴火は無情だぜぇ・・・。 | |
かつて林道沿いに広がっていたという村営牧場の面影や痕跡が全く感じられないまま、さらに前進。すると右手に「笠地観音」なるスポットが出現! 「こんな場所に観音様が?!」と思ってしまいますが、林道探索の無事を願って拝んでおきましょう。また、敷地内には「若返りの珍木」があって、それぞれ由来を記した案内板が設置されているので参考までに。ちなみに林道の路面はここ、笠地観音の入口地点からさり気なくダート化しています。
→ 案内板(笠地観音)を眺める! → 笠地観音に参拝する! → 案内板(若返りの珍木)を眺める! → 若返りの珍木を眺める! → さらに雄山環状林道を進む! → 探索中止! |
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