2022 北海道林道探索ツーリング 8月6日(土)晴れ 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
10日目[6]  中標津町「中標津 Nakashibetsu→ 陸別町「陸別 Rikubetsu もどる  






ガソリン給油量 9.05L 給油回数4回 ガソリン代 1590円 総走行距離 277.4km / ダート走行距離 80.6 km トップへもどる


R391を進んで川湯温泉までやってきたら国道沿いの摩周SSで再び給油します。ついさ先ほど給油したばかりなので、L / 176円で0.69L(121円)しか入らず、なんだか申し訳なかったですが、この後には延長19066mの屈斜路湖畔林道が控えているので、林道探索のセオリー通り直前のGSで給油しておいたというわけ。







川湯温泉のGSで給油したらさっそく屈斜路湖の北東端に位置する屈斜路湖半林道の入口を目指します。道に迷わず最も確実なのはR391から道102へと進んでアプローチするルートですが、現在、横着をして屈斜路湖東岸の弟子屈町「跡佐登(あとさのぼり)」付近の牧草地帯を横切る町道でショートカット中。







ソバの白い花がきれいだな〜。屈斜路湖畔林道を目指して跡佐登原野の町道を移動中、道すがらに広がっている広大なソバ畑。ちょうどソバの白い花が盛りでしたが、弟子屈町は冷涼で寒暖差が大きい気候であるため、ソバ作りも盛んなのだそうです。

弟子屈町でのソバ栽培の始まりは明治、大正期の入植当時までさかのぼり、現在は「キタワセ」および「キタノマシュウ」の2品種が栽培されていて、川湯温泉には蕎麦屋が数軒ありますが、「摩周そば」として町の特産品になっているそうですよ。







おお、凄え! さらに町道から後方を振り返えると、山裾の噴気孔から朦々と噴煙を上げる「アトサヌプリ(硫黄山 / 508m)」がくっきりと見えていました。

アトサヌプリはアイヌ語の「アトゥサ+ヌプリ」で「裸である+山」という意味。確かに火山ガスでハゲた山の斜面が目立ちますが、漢字では「跡佐登」と当て字し、川湯温泉は別名「硫黄山」と呼ばれるこのアトサヌプリを泉源としているんだよな! それにしても噴煙を上げる山を眺めると無性に川湯温泉に入りたくなってしまいます。







というわけで川湯温泉に入るべく温泉街に戻ってきました・・・というのはウソ。屈斜路湖半林道入口までショートカットすべく町道を進んでいたのですが、行き止まりとなって道に迷ってしまったため、温泉街までいったん引き返してきた次第です。

仕方ないので川湯温泉から仕切り直して、R391→道102のルートであらためて林道入口へと向かいますが、ちぃ、せっかく先ほど川湯温泉で給油したというのに、道に迷って引き返してきたため、ガソリンを無駄に消費してしまい、加えて探索時間も大幅にロスしましたが、急がば回れの諺はだてじゃないです。トホホ・・・。







川湯温泉からR391→道102と進み、道道をおよそ2.9キロ進んだ地点にある屈斜路湖半林道の入口にようやく到着しました。道道からの分岐地点に林道標や道標は設置されていませんでしたが、斜め左に分岐して緩く下っていくダートは目立つので、注意深く走っていれば林道入口を見過ごすこともないと思います。







道道から緩い下り坂のダートに入って数十メートルばかり進むと、そこに林道標が設置されているのを発見! わざわざ眺めて確認するまでもなく、ここは屈斜路湖畔林道に違いないですが、一応、林道標を眺めてみると・・・?







なぬ、野上峠林道?! しかし、道道から開始しているダートは野上峠林道でした。屈斜路湖半林道は正確にはこの先の屈斜路湖の湖畔地点から開始する林道で、野上峠林道は道102〜屈斜路湖畔林道間およそ2キロを結ぶ連絡林道になっているみたいです。

実質的には1本道なので、まとめて屈斜路湖畔林道と呼ばれることが多い野上峠林道ですが、実は道102によって分断された林道らしく、普通はまず気がつきませんが、道道をR391方向に300mほど戻った地点に、廃れた片割れ区間の入口がある模様。そのせいもあってか、林道標は延長距離が無記名となっていますね。

また、野上峠林道の片割れ区間の先には、弟子屈町と小清水町との境界に位置する「野上峠(318m)」があるので、野上峠林道とは本来は野上峠方面と屈斜路湖とを結ぶ林道だったのかもしれません。それゆえ林道名に野上峠と名付けられていますが、もちろんそれは憶測。事実と異なっていても苦情は一切受け付けないっス。







そういうわけでまずは野上峠林道に入線しますが、ガタガタとしたダートが鬱蒼とした森の中を下っていくだけで、「屈斜路湖・・・?」「どこに・・・?」といった具合で、道すがらに湖の眺望はまったく望めなかったです。







坂道を降りきるとようやく屈斜路湖の湖畔が見えてきますが、ここが野上峠林道の終点で、これより先が本命の屈斜路湖畔林道になっている模様。路肩には屈斜路町指定の天然記念物「マリゴケ」の案内板と共に、林道標が設置されています。







(屈斜路湖マリゴケ説明板)
名称 弟子屈町指定文化財「屈斜路湖マリゴケ」
指定年月日 昭和44(1969)年7月11日

マリゴケは、1935年(昭和10年)に学会に報告され、
「マリゴケ」と名付けられ阿寒湖のマリモに対するものとして、その成因や生態が研究された。
我国では福島県猪苗代湖との2ヶ所がマリゴケの形成地とされております。

当湖のマリゴケは湖底に密生しているホソヤナギゴケ、シミズヒシャクゴケなど
数種類のコケが波動にもまれて球状になって形成されておりますが、
その形態や形成植物、形成過程などからしてこの種の植物としては非常にめずらしく、
科学的にも価値の高いものとして、指定されております。

弟子屈町・根釧西部森林管理署
なるほどねぇ。ちなみにマリゴケに似たものとしては阿寒湖のマリモが有名ですが、両者の決定的な違いは、阿寒湖のマリモはコケが生きた状態で丸くなり、光合成をするので緑色をしていますが、屈斜路湖のマリゴケは枯れてちぎれたコケが集まって丸くなったものなので茶色をしています。

さらに阿寒湖のマリモは国の天然記念物に指定されていますが、摩周湖のマリゴケは弟子屈町指定の天然記念物になっています。ちなみに屈斜路湖の国指定の天然記念部としては「和琴ミンミンゼミ発生地」がありますが、これは屈斜路湖がミンミンゼミの北限地帯ということで指定されています。でも屈斜路湖畔林道では、ミンミンゼミの鳴き声なんてちっとも聞かなかったような気が・・・。








魚を持ってかえらないで!
〜 自然を守りながら、釣りをたのしむために 〜

屈斜路湖に流れる川には、たくさんの産卵魚がそ上します。産卵魚や稚魚を大切にしましょう。
また、自然豊かな環境で釣りを楽しむため、次の事項を守りましょう。

(1)キャッチ&リリースを心がけましょう。
(2)自然を大切にしましょう。
(3)ゴミは、必ず持ち帰りましょう。

なお、北海道内水面漁業調整規則により、
さけ・ますの捕獲や刺し網・たも網(口径40cm以上)などによる水産動物の捕獲には、
知事の許可が必要で、無許可での捕獲は、密漁となります。
違反した場合は、6ヶ月以下の懲役もしくは、10万円以下の罰金が科せられます。

弟子屈町
うむ、なるほど! 屈斜路湖では1938(昭和13)年に発生した「屈斜路湖地震」の影響で水質が変化、その結果、魚が減少して1954(昭和29)年に「屈斜路漁業組合」が解散しています。そのため漁業権が設定されておらず遊漁料は不要ですが、だからこそ欲望丸出しで産卵魚や稚魚まで一網打尽で釣りまくっちゃいけないんだよな!







屈斜路湖畔林道を示す林道標です。冬季の積雪で押し潰されたのか、鉄板がグニャリとひしゃげていましたが、やはり目に付くのは「19066m」という延長距離!

そりゃあ、長さだけならば19キロ超えの長距離ダート林道は各地に存在しますが、でも湖岸の波打ち際伝いにこれほどの長さで延びるダート林道は日本全国、星の数ほどある林道の中でもここだけ! 俄然、「おーし!」とヤル気が出てきちゃう!







ちなみに野上峠林道と屈斜路湖畔林道の接続地点ですが、正確には3方向からダートが合流する三又分岐になっています。以前はこの場所から弟子屈町「サワンチサップ」とを結ぶ湖岸ダートがあって、川湯温泉から湖岸伝いにこの場所までやって来られたのですが、途中の橋が崩落したことによって現在は廃道化しています。

画像ではWRの後方地点がサワンチサップへと向かう湖岸ダートの入口なのですが、訪れた時には見る影もなく草ボーボーな廃道状態と化していて、復旧される気配は微塵もなかったです。地理院地図ではすでに道筋そのものが消し去られているし・・・。







屈斜路湖半林道の林道標を確認したらさっそく前進開始! 路肩の木立の隙間に見え隠れする湖岸の波打ち際を眺めながら元気よくダートを進みます!







路肩の木々の隙間からすぐそこに見えている屈斜路湖の波打ち際。風に吹かれた湖面がさざ波だっているのが見えていましたが、屈斜路湖畔林道では屈斜路湖の湖畔がここまで間近に迫っているんだよな! う〜ん、これはなんとも凄えなぁ!







波打ち際を進む屈斜路湖畔林道のロケーションは最高ですが、しかし、路面状況的には極上とは言えないかもしれません。路面は基本的には土質なので、場所によってはドロドロに土塊て走りにくい箇所も多々あったんですね。もちろん、オフバイク的にはなんら問題はありませんが、それでも快適というほどではなかったかな。







林道路肩から眺めた屈斜路湖の美しい眺め。屈斜路湖の周囲は57キロありますが、屈斜路湖畔林道の延長距離はおよそ19キロなので、湖岸を3分の2周することになり、おかげで林道からは屈斜路湖の景色が眺め放題! わざわざ立ち止まらずとも、このような景色を走りながら眺めることができるシチュエーションが最高!







屈斜路湖北岸の「碁石浜」を走行中。湖底に白や黒の平たい丸い石があることからそう呼ばれていますが、水際を進む林道はすれ違う車もなくてとても静か。

また、屈斜路湖は東岸から南岸にかけての岸辺には温泉が多く湧出し、そのため訪れる観光客も多いのですが、こちら側には温泉は湧いていません。そのため湖岸沿いの幹線道路もなくて、道はといえば屈斜路湖半林道があるだけなので観光客が訪れることもなく、ほぼ独り占め状態で屈斜路湖の景観とダートを楽しめます。







あぁ、林道から眺める屈斜路湖が美しいぜぇ! 湖畔伝いのダートを進んでいくと、時たま路肩の木々が途切れて見晴らしの良い地点が現れます。そういう場所は視界を遮る物なく湖全体が見渡せてしまう絶好のビューポイントになっていますが、画像前方の右寄りに見えているのは「中島」ですね。

ここからだと小さく見えていますが、屈斜路湖に浮かぶ中島は標高355.1mで周囲が12キロもあり、「湖中島」としては日本で一番大きいのだそうです。たまに中島を目指して湖を泳ぐ森のクマさんの姿が目撃されるようですが、自然保護のため上陸は禁止されているので、カヌーでこっそり上陸してやろうだなんて企てちゃダメですよ〜。







屈斜路湖の静かな湖面とアトサヌプリを背景にお約束の一枚を撮影! まさに「屈斜路湖畔林道といったらここ!」的なビューポイントであり、この林道を訪れた林道ライダーは間違いなくこの場所で立ち止まって撮影しますからなぁ!

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