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森の駅風穴を後にしたら県710を北上して西湖に向かいます。富士五湖周辺は過去に何度も訪れたことはありますが、思えば、その時は「林道」しか眼中になくて、湖やそこから見える富士山を眺めることなんてしたことがなかったので、ちょっと立ち寄ってみようというわけです。タイミング的にも紅葉最盛期でちょうど良いしね。
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燃えるような紅葉に包まれていた西湖の湖岸から眺めた富士山。紅葉も最盛期のベストタイミングで最高に美しかったです。
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岸辺の紅葉を楽しみながら西湖を一周したら、そのまま宿に直行するのではなくて続いて精進湖に立ち寄ってみます。もう夕刻ですが、この時間になっても湖を周回する道路ではツーリングのバイクと何度もすれ違いました。
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精進湖の湖岸から眺めた夕方の富士山。黒々とした湖面と鮮やかに色づいた赤や橙色のコントラストが美しく、樹海越しにそびえる富士山の姿もまた素晴らしかったなぁ。
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西湖に続いて精進湖も一周したら、R139を挟んで精進湖のすぐ南にある「精進湖民宿村」の宿に向かいます。うさん臭い怪談師や、アホっぽいユーチューバーが動画で「樹海村」とか「樹海の謎の集落」、はては「死にきれなかった自殺者が集まってつくった集落」などと語っている場所ですが、住所は河口湖町精進。 ちなみに富士山北麓の西湖の湖畔にあった足和田村(現富士河口湖町)では、1966(昭和41)年9月25日に台風26号の豪雨によって大規模な土石流が発生しています。土石流は湖畔の「根場」と「西湖」集落を襲い、死者、行方不明者94名という未曾有の被害を出し、その結果として住民は集団移転を余儀なくされています。 そして西湖で発生した災害を受けて、土石流に襲われたわけではありませんが、西湖と似た地形をしていた精進湖の集落の人々が、災害を避けるため集団移転して樹海を切り開いてつくられたのが精進湖民宿村というわけ。それが青木ヶ原樹海の中に民宿村がある理由であり、現実離れした都市伝説には失笑するしかないです。 |
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地理院地図にもちゃんと記載されている精進湖民宿村。青木ヶ原樹海の中に切り開かれている状況がよくわかりますが、民宿村というのは通称。もちろんそこに民宿も多くありますが、精進湖湖畔の住民が災害を避けるための移転先なので、民宿があるだけではなくて普通の民家が大半を占めています。
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精進湖民宿村にある「民宿やまか荘」に到着しました。精進湖民宿村の中には民宿も多いのですが、コロナの影響で実際に営業しているのは僅からしいです。予約の段階で休業を告げられることも多かったですが、そのような状況下でも通年営業かつ、お一人様でも泊めてくれるのが民宿やまか荘なんだよな。
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玄関脇に置かれていた「空室あります」の宿泊案内ボード。青木ヶ原樹海に隣接した場所だけに、時として樹海での自殺志願者がふらりと訪れることもあるそうです。宿では長年の経験からそういう人物はすぐに分かるらしく、その場合は宿泊を断ることもあるんだって。自殺を思い止まらせたことも結構あるそうですよ。
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やまか荘の玄関を上がったところにあるロビーです。ロビーの奥、右手にはトイレと洗面所と風呂、左手には食堂があって、客室は階段を上がった2階にありますが、玄関のガラス戸を開けると奥から女将さんがすぐに出てきてくれました。
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玄関脇にはビニールパックに小分けされた大量の自家製「うめぼし」が! 宿でお土産用に200円で売っているみたいですが、その他にもなぜか福岡県の「八女茶」と「深むし茶」、それに富士山模様の「茶碗」が売られていました。
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2階の客室が並ぶ廊下。女将さんに案内されて階段を登ってすぐの部屋に入ります。建物は古くて年季が感じられましたが、隅々まできれいに掃除されているので全然気になりません。そして2階にも廊下の突き当たりに洗面所とトイレがありました。
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女将さんに案内された客室です。テレビの置かれた6、7畳ほどの小さな和室で、すでに布団が敷かれ、暖房用に石油ストーブとコタツが用意されていました。女将さんいわく、夜と朝はかなり冷え込むのだそうです。
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おお、ワンダフル! 荷物を置いたらさっそく窓を開けてみますが、なんと、部屋に居ながらにして富士山が見えているじゃないですか! この日は平日であり、宿泊客は当方だけなので、眺めの良い部屋に案内してくれたに違いありません!
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そしてコタツの上には「ミカン」に「煎餅」「チーズおかき」「栗あんどら焼き」などなど、これでもかと盛られたお茶菓子の数々が! 世の中にはお茶の一杯すら出さないケチな民宿も多いというのに、これはなんとも嬉しいおもてなしだぜぇ! この時点で民宿やまか荘が「当たり」的な宿である予感がしてきます。
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部屋で旅装を解いて一息入れたら夕食前にちょっと外を散歩してみます。やまか荘のある精進湖民宿村は先述したように、集団移転で樹海を縦400m、横幅150mほどの長方形に切り拓いてできた場所。そこには道路が縦横の網目状に張り巡らされていて、民宿村と呼ばれてはいますが、民宿と普通の民家が混在して立ち並んでいます。 民宿村は国道から樹海の中に100mほど入った所にあって、民家と民宿以外しかないので観光客が訪れることもなく、通りを歩く人の姿も見かけず本当に静かです。道端の紅葉がきれいだったので、散歩がてら一周してみようかとも思いましたが、そうすると歩く距離は1キロを超えるのでそれは止めておきました。 |
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精進湖民宿村の区画内に網目状に延びる道路と民家。遠方には富士山もきれいに見えています。これが「◯◯◯に行ってみた」系のユーチューバーが語る「謎の樹海集落」の正体であり、アホくさくて話になりませんが、興味本位で民宿に泊まりに来る者が少しは増えるという意味では、あの都市伝説も多少は役立つかも・・・。
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上空から精進湖民宿村を見下ろすとこんな感じ。青木ヶ原樹海のまっただ中にり開かれた場所であることがよく分かりますね。画像右下の四角く開けた場所は精進小学校の校庭ですが、小学校そのものはすでに廃校されています。
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近所を適当に散歩したら宿に戻ったら風呂に入ります。「民宿」なので期待していませんでしたが、嬉しいことにタオルと浴衣が客室にちゃんと用意されていました。
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風呂は階段を下りた1階にあります。温泉ではないので24時間入れるわけではありませんが、到着後、女将さんがすぐに沸かして用意をしてくれたんだよな。
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民宿やまか荘のヒノキ風呂。古臭くて汚い風呂だったらどうしよう・・・と思っていたのですが、浴室は掃除が行き届いたきれいな状態で、ちゃんとシャンプーとビオレのボディーソープ、石鹸が備え付けられています。
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ふぅー、沸かしたての熱い湯が身体に染み入るぜぇ・・・。浴槽に張られた湯は普通の水道水とはちょっと違ったなめらかな湯の感触が気持ち良かったですが、ひょっとして水道は沢水を水源としているのかもしれません。でも湯は火傷しそうに熱く、浴槽に浸かるまでしばらく水でうめる必要があったけどな。
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風呂でさっぱりしたら、コタツでぬくぬくしながら夕食までの時間をまったりと過ごします。夕方5時を過ぎて外はもう真っ暗。気温も下がってきたようですが、でも石油ストーブをつけるほどではないので、コタツがありがたいです。
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ロビーの本棚には夕食までの暇つぶしにちょうどいいムック本がありました。その名もずばり、「富士山の秘密がわかる本」だって! いかにもコンビニで売っていそうなムック本らしく、うさんくささといい、安っぽい都市伝説が盛り沢山の内容でしたが、雑誌ムーの増刊本らしいです。しかし、オカルトマニアのバイブル的存在である「ムー」って今もまだあるのかな〜? |
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コタツでまったりと富士山の秘密がわかる本のページをめくっていると、やがて女将さんの「夕食ができましたよ〜」の呼び声で1階の食堂に向かいます。しかし、メシが美味ければ旅は最高の思い出となり、メシが駄目ならばそれだけで最低のものとなってしまうので、まさに緊張する瞬間。果たして民宿やまか荘の夕食は・・・?
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うわぉ、これは凄い! 心のこもった手作り料理が所狭しとテーブルに並んでいるじゃないですか! 1泊2食7000円でこの品数の豊富さは予想外であり、全部残さず食べきれるかどうか不安になってしまうほどのボリュームです! というわけでこの日の民宿やまか荘の夕食メニューは以下の通り。 ワカサギのフライ、豚肉の鉄板焼き、カレイの煮付、刺身、ダイコンと手羽先の煮物、茶碗蒸し、ゴマ豆腐、ポテトサラダ、うどん、おしんこ、白いごはん、果物 |
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お疲れさまーっす! 今日は別に疲れてはいませんが、まずはお約束でアサヒ大瓶を注文。セルフ乾杯でグビグビっとよく冷えたやつを喉に流し込んでやります。
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晩酌用の酒は精進湖のある富士河口湖町の地酒「金印甲斐の開運カップ」。女将さん手作りの料理を食べつつチビチビと呑みますが、しかし、夕食は品数が多くて、全部食べ終わる頃にはお腹パンパンで苦しくなっちゃいましたとさ。
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ホロ酔い気分で夕食を終えたら客室に戻って布団でゴロゴロして過ごします。枕元にあるのは夕食時に出されたブドウとカキのデザート。食後は超絶お腹一杯に陥ってすぐに食べることができず、寝しなに食べようと部屋に持ち帰ったんだよな〜。 その後はもう一度だけ風呂に入ってからテレビを眺めて過ごしましたが、眠くなったところで明日の青木ヶ原の紅葉林道探索に備えて就寝。おやすみにゃさい・・・。 |
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