2022 北海道林道探索ツーリング 8月15日(日)晴れのち曇り 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
19日目[8]  上士幌町「糠平温泉 Nukabira Onsen→ 大樹町「晩成温泉 Bansei Onsen もどる  






ガソリン給油量 8.71L 給油回数3回 ガソリン代 1485円 総走行距離 242.0 km / ダート走行距離 20.8 km トップへもどる


大津の家並みのすぐ背後に広がる広大な砂浜。今は立派な大津漁港があるのでそのようなことはないですが、1976(昭和54)年に港ができる以前はこの砂浜から直接船を出して漁をしていたそうです。当時の苦労が偲ばれますが、具体的にはこの砂浜を馬を使って船を水際まで引っ張り、また、浜へと引き揚げていたんだよな。







大津の砂浜のすぐ背後に広がる海岸草原です。爽やかな海風に吹かれながら歩き回ってみますが、膝の高さほどの海浜植物の茂みの中で、ハマナスが鮮やかな赤い果実をそこかしこで実らせていました。







足元の砂地では、這いつくばるようにして生える植物が大量の赤い粒々を実らせていましたが、「これはなーに?」と蹲み込んで眺めてみると・・・?







ヘビイチゴだ! いわゆる野生のイチゴですが、これはたぶんナワシロイチゴ。十勝海岸では他にも多くの野苺が自生しているのが確認されていますが、しかし、スーパーで売られていうる苺とは違い、どれも甘くはなくて酸っぱいのが特徴。採る人もおらず放ったらかしで地面に大量に熟していました。







砂浜と大津幸町の家並みとに挟まれた海岸草原。海のすぐ背後にはこのようにびっしりとした家並みが密集して迫っています。







大津の海岸草原の草地で見かけたオニユリの花ですが、赤橙色をした花は鮮やかで綺麗ですが、ダラ〜っと両手を下げたように突っ立ったような姿はなんだかモンスターのようでちょっと不気味。花が咲く前の蕾も嘴みたいだし・・・。







大津幸町から寿町方向にかけて連なる家並みとその背後の海岸草原。どこまでも連なる家並みの様子からも、大津の港町が昔は漁で賑わった場所であることがわかりますね。浜と家並みとは高い防潮堤できっちり区切られていますが、海岸草原の中には湿地があるようで、前方には沼の水面が見えていています。







大津の海岸風景を眺めたら、次は海岸伝いに南西に移動して十勝海岸湖沼群の1つである「長節(ちょうぶし)湖」を訪れてみます。大津寿町から海岸沿いに長節湖へと至る道912に入り、海岸段丘の崖上に立つ「十勝大津灯台」の足元を通り抜けて波打ち際伝いに進み、長節湖への入口までやって来ました。

前方の右カーブのすぐ先に湖方向に進む別れ道があるのですが、その直前で道道標および「↑ 長節湖・原生花園 →広尾・湧洞沼」の道標が現れたので、WRを路肩に止めて停車。浜辺に降りてちょっと海を眺めてみたいと思います。







浜から右手、北東方向に眺めた海岸の風景です。海岸伝いに延びる道912との道筋と、どこまでも連なる砂浜が見えています。そしてここから前方1.62キロ先に位置する大津漁港が、その手前には十勝大津灯台があるのですが、景色が水平線に溶け込んでいて全く見えていなかったな〜。







どこまでも続く砂浜に観光客の姿はなかったですが、その代わり、強欲な釣り師が海に向かってこれでもかと地面に刺しまくった大量の釣り竿が見えていました。おそらくカレイとかサケ(アキアジ)を狙っているのでしょうが、しかし、いったい1人で何本の竿をおっ立ててれば気が済むのでしょうかねぇ。あはは・・・。







ざざーん。こちら浜辺の波打ち際の正面、東南方向に眺めた太平洋の水平線。超大雑把にみると、方向的には南米大陸のチリやアルゼンチンが位置する方角で、地理的にはこの先17000(!)キロに渡って海しかありません。

それを思うと人間一人のちっぽけさを思わずにいられませんが、しかし、押し寄せては引いていく海の色と、浜辺の砂の黒さとのコントラストがきれいだったです。







こちらは浜の左手、西南方向に眺めた景色です。ここから先2キロほどは長節湖と太平洋とを隔てる「長節浜」と呼ばれる砂州が続きますが、湖は全く見えておらず、強欲な釣り師の釣竿が乱立する砂浜がどこまでも続いているだけだったな。

ちなみに十勝海岸の北端(浦幌町)から南端(「広尾町」)までの砂浜の長さは本州の九十九里浜と大体同じ。ただし、十勝海岸は海岸沿いに村や町がほとんどないので、スケール感は九十九里浜よりも断然に大きく感じられると思います。







その後、道912から分かれてなおも海岸伝に進んでいくと、やがて道端に「長節湖」と記された看板が現れ、右手の内陸方向に長節湖の水面が見えてきます。







おお、これが十勝海岸湖沼群の1つ長節湖か! 驚くほど広々とした草原の中に広がる鏡のような湖面、美しい北方系を思わせる景色に感動させられますが、 そんな長節湖は面積およそ0.93平方kmで周囲は8.6km。海の一部が砂の堆積によって外海から切り離された最大水深2mのラグーン(海跡湖)であり、冬には氷結します。

ちなみにこの長節湖はネットでは必ずと言ってよいほど「周囲5キロ」と紹介されていますが、それは根室市にある同名の長節湖と取り違えた誤り。ここ豊頃町の長節湖とは別であり、誰かが間違えた情報が伝言ゲームでそのまま紹介されているだけですが、こちらの長節湖はもっと大きくて周囲は8.6km。というわけで、ネットでは根室市の長節湖と取り違えて紹介されていることがあるので注意してくださいね。

また、十勝海岸湖沼群と呼ばれる長節湖、湧洞沼、生花苗沼、ホロカヤントーに共通しますが、水域は幅の狭い砂礫質の砂州で閉塞されて海とは繋がっていません。しかし、稀に砂州が切れて海と繋がり、暴浪時には海水が沼へと流れ込むそうです。







右手に長節湖を眺めながら進んでいくと、やがて「長節湖キャンプ場」とその管理施設を兼ねたレストハウス「いんかるし〜長節」が現れて、そこで道は行き止まりになりました。付近に人の姿はほとんどなくて、広大な駐車場に観光客の車が数台止められているだけでしたが、せっかくなので付近を散策してみることにします。







レストハウスのすぐ横に広がる長節湖の静かなたたずまい。「長節」という地名はアイヌ語の「チ+オ+プシ+イ」で、日本語で「我ら+そこで+破る+もの」となり、つまり、「外海とを隔てる砂州が破れるところ(湖)」という意味らしいです。

そんな長節湖ですが、周囲に人家は全くなくて針広混交林の森が広がっているだけで、レストハウスのある湖畔からは対岸の森がよく見えていました。







ひっそりと静まり返ってさざ波一つ立っていない静かな湖面ですが、湖面の真ん中には一艘のボートが浮かんでいるのを見かけましたが、あれはたぶんシジミ採り。長節湖には天然のヤマトシジミが生息していますが、長節湖のシジミには漁業権が設定されていないので誰でも採ることが可能なんですね。

そういうわけで、ネットで長節湖に関する口コミやブログを眺めると、これも必ずと言ってよいほど第一声「天然シジミ採りました!」との誇らしげな文言が書き込まれています。また、長節湖産の天然シジミを採って通販する業者もいるので、どうしても食べてみたい方は900gで「10000円」とお高いですが、通販でどうぞ。







湖畔には所々に水際まで降りる踏み跡ができていました。しかし、釣りをする人はいないし、遊泳は禁止されているおり、これはシジミ採りのためのものですね。







お、いたいた! シジミ採り三種の神器「胴長」「発泡スチロール箱」、そして「ジョレン」を使ってのおっさん二人組によるシジミ採りですなぁ。無料のシジミは人を狂わせるのか、こちらを振り向く顔が本気(マジ)のドヤ顔でした。







いいなぁ! こちらは水際まで車で乗り付けてテントを設営、水着姿で湖水浴とシジミ採りに興じるファミリー連れ。子供は無邪気に浮き輪でぷかぷかと浮かんでいますが、そのすぐ傍ではオバちゃんが本気(マジ)モードでシジミ採りに夢中!







一応このようになっていますが、「おれらシジミ目的だから」ってことで関係ないんだろうなぁ。でも小さいお子さんからは目を離さないようにお願いしますよ〜。







レストハウスの広い駐車スペースの端で道は途絶え、エンジン付きではそれ以上は進めなくなっていました。ただし、長節湖と外海とを隔てる砂州が遥か先の湧洞沼方向に向かって延びていて、徒歩でなら長節湖の南端まで行けるみたい。







というわけで、海岸草原が広がる砂州上のワダチダートを湖の南端目指して歩いて進みます。ここ、オフバイクであれば問題なく進める状況でしたが、さすがにそこまでの無法はできかねました。そしてワダチダートはそのままずっと続いているように見えていますが、実際には300mほどで途切れてしまいます。







長節湖の南端地点までやって来ました。砂州の上を覆う海岸草原とそこに刻まれたワダチダートはすぐ先で途切れており、ここからだと先細りした湖面がすぐ前方で海と繋がっているようにも見えています。それを確認すべくさらに進んでみると・・・?







あれ、やっぱり長節湖は外海と繋がっていませんでした。このように長節湖は通常時は砂州によって外海と隔てられていますが、「長節川」や「長節小沢川」などの流入河川の増水による湖水上昇によって、そしてこの地点において砂州を超える水の流れで年に数回決壊し、湖水の2/3以上が外海に流出するんだよな。

ちなみにこの状態ならば、そして徒歩でなら砂州を渡ってその先に進んで行けますが、ゆめゆめエンジン付きで進んでやろうだなんて思わないように。だって、砂州を渡ったところで、この先にはひたすら砂浜が続くだけで「道」は無いのでね・・・。

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