沖原海岸
  三宅島の見所スポット[ 坪田エリアのジオスポット ] 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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  坪田エリア
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村営バス「大永井」から徒歩15分

沖原海岸
〜溶岩でできた岩石海岸と月の道〜
三宅島の海岸線は、黒く見えます。この沖原海岸も玄武岩の溶岩流でできた海岸です。山側から流れ下った溶岩が、
ここにきてたわみ、「溶岩しわ」となって、海岸線と平行な起伏のある形状を作っています。
この溶岩流の年代は不祥ですが2500年前より古い時代に、流れ出たものです。

また村道の山側には、低い崖が見られますが、台風時には波があがり、少しずつ削り取られています。
崖の地層を観察すると、最下部にガサガサしたスコリア層が見られます。大きな噴火で降り積もった溶岩の「しぶき」です。
この上にいくつかの黒土層が見え、何度かの休止期間を経て、火山灰が降り積もったことを示しています。
崖の上部には、よく観察すると、西暦886(仁和2)年の新島向山火山の噴火に伴う白い軽石層がみつかります。
またこの海岸に下る道路脇の表土から2mほど下の黒色土層から、
弥生時代中期の住居跡や土器片などがみつかっており、大里および大里東遺跡と呼ばれています。

この海岸は、自然観察にとっても絶好のポイントになっています。
波間を観察していると、ウミガメが顔を出していたり、数頭のイルカが移動しているのを見ることがあります。
磯の岩場では春や秋に、渡りの途中のシギやチドリなどの野鳥もよく観察されます。
また春から夏にかけては、海岸沿いにハマヒルガオやハマカンゾウなどの海岸植物が鮮やかに咲き、海岸を彩ります。
三宅島の東海岸は、黒潮の流れが回り込むため、海岸漂着物がたくさん打ち寄せられています。
[ GEO POINT ]月の道 Load to the Moon

左手の大きな崖からは、日の出とともに、あまり見ることのない「月の出」を見ることができます。
満月の月明かりが、波間に映え、まるで「月への道」が連なっているように見えます。

また月明かりのない夜、この沖原海岸では、人口光の影響を受けることなく、御蔵島の灯りとともに、
天の川のかかる満点の星空を堪能できるでしょう。

三宅島空港の滑走路脇に広がるのが沖原海岸

火山島で有史以前から幾度となく噴火を繰り返してきた三宅島なので、海岸のほとんどは溶岩流でできています。わざわざそこを目指さずとも島を一周していれば、途中で必ず目にしますが、このジオスポット「沖原海岸」もそのような海岸の一つ。

三池浜から坪田漁港に向かって海岸伝いの村道を進むと、右手に三宅島空港の滑走路を眺める場所の海岸が沖原海岸になっています。でも、都212号線(三宅一周道路)からは空港を挟んだ海岸寄りの場所なので、普通に島を一周していると通りがかりません。そのせいか、訪れる観光客の姿もなくてとても静かでした。






海岸沿いの崖の堆積物からも過去の噴火の周期がわかるみたい

海岸伝いに延びる村道に行き交う車や人の姿は全くなく、聞こえてくるのは波の音だけだった沖原海岸。海の青さと森の緑に溶岩の漆黒さがとても目立ちます。

なお、村道の右手には海岸線に沿って低い崖が続いていますが、露出した地層を観察すると、噴火の噴出物と黒土の層が幾重にも積み重なっていて、そのことから地層は何度かの噴火の休止期間を経て積み重なったことがわかるそうです。とは言っても、よほどの地学マニアじゃない限り、普通はそこまで気にしないかな。






沖原海岸の誰もいない静かな四阿

黒く焼けたような溶岩由来の磯が広がる海岸を気持ちよく進んでいくと、やがてジオスポット案内板がポツンと掲げられた見晴台っぽい東屋が現れました。海風が最高に清々しい小春日和でしたが、そこに海を眺める人の姿はなかったです。






視界を遮るものなくどこまでも広がってた前原海岸の磯

四阿から坪田漁港方向を眺めて見ると、どこまで黒々とした磯の景色が広がっているだけでした。断崖のない海岸はどこまでも視界が抜けて恐ろしく開放的な雰囲気ですが、海に突き出た岩礁に遮られて三池港の接岸バースも見えていなかったです。

ここ、周囲には民家も全くないので夜は真っ暗になりますが、その代わり満点の星空が楽しめます。さらに満月の夜には月明かりが海を照らす「月の道」が、日の出には「月の出」が眺められるそうなので、眺めてみたい方は夜訪れてみてください。






海岸からは御蔵島がよく見えています

沖原海岸は玄武岩質の溶岩が海へと流れ込んでできた海岸ですが、三宅島の溶岩は基本的に粘り気の弱い玄武岩質です。粘度が小さいので、噴火の時は溶岩が一気に流れ下りますが、その代わり厚く積もることはなくて裾野を広げて堆積するそうです。

海岸から見えている御蔵島を眺めるとよく分かりますが、粘り気の小さい玄武岩質火山の三宅島はお皿を伏せたような形。一方、粘度の高い安山岩質火山の御蔵島はお椀を伏せたように盛り上がった形をしていますね。






ガラガラとした黒い溶岩地帯がどこまでも続きます

坪田漁港方向の海岸の眺め。三池港方向と同じ黒い溶岩の磯の景色が続いていましたが、海にせりでた岩礁でやはり港は見えていませんでした。

ちなみに溶岩の色はマグマの性質と関係があるそうで、玄武岩のように粘り気が小さいと黒っぽくなるみたいです。では粘度の高い安山岩だと白くなるのかというとそうではなくて、灰色っぽくなります。ただし、色は岩石の種類を表すものではないので、一概にはそうも言えないのだそうですよ。参考までに・・・。






海岸を見渡すカフェレストラン

海岸に沿って進んでいくと白い建物がありました。通りがかった時は開店前で人の気配はなかったですが、ここは「GIZMO(ギズモ)」というカフェレストラン。

ジオスポットとは別に関係ないですが、芝生のテラスから海を眺めながらランチやディナーが楽しめて、ロケーション的には三宅島でもトップクラスかな。満月の夜に前原海岸で「月の道」を眺めるには最適な場所だと思います。
[ ランチ / 12:00〜16:00 ディナー / 18:00〜22:00 休み / 不定休 ]






前原カインアンん草地に咲いていたハマヒルガオ

前原海岸で見かけたハマヒルガオ。漂着物の多い海岸の草地で咲いているのを見かけましたが、海岸は自然観察の絶好ポイントになっているらしく、春から夏にかけては他にハマカンゾウなどの海岸植物が見られるそうです。

また春や秋にはシギやチドリなどの野鳥が、運が良ければ波間にイルカやウミガメの姿を眺めることもできるんだとか。

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