サタドー岬
  三宅島の見所スポット[ 坪田エリアのジオスポット ] 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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村営バス「御子敷」バス停から徒歩5分

サタドー岬
〜溶岩の断崖と雄大な火山景観〜
サタドー岬は島の東側に突き出た岬で、高さ20〜30mに及ぶ断崖絶壁になっています。噴火時代は未詳ですが、
厚い溶岩流が海に流れ込み、波によって削られて、現在のような姿になったと考えられます。
溶岩流の断面を観察すると、上部のガサガサした層(クリンカー)の下に
柱状節理の発達した緻密な溶岩を見ることができます。

「サタドー」の語源はヒンディー語で「地獄」という説と、
見通しの良い岬なので「便りや知らせ」を意味する「沙汰」からきているという説があります。
十分気をつけて、三宅島でも一押しの雄大な火山景観を楽しんでください。

岬の突端の風力発電跡から北側を眺めると、
真っ青な海の向こうに昭和37(1962)年噴火の黒い三七山の高まりと溶岩流、
2000(平成12)年噴火の泥流が押し寄せた海岸、赤褐色のひょうたん山(昭和15[ 1940 ]年噴火)が見えます。
運が良ければ、波間にウミガメやイルカの姿を見ることができます。
[ GEO POINT ]柱状節理 Columnar joint

熱い溶岩が冷える時、体積の収縮によって形成される柱のような割れ目を「柱状節理」といいます。
一般に溶岩の上下面が早く冷却されるため、収縮割目ができるとともに、
その割れ目は中心に向かって垂直に進行していきます。柱状節理の形は六角形になることが多く、
ゆっくり冷えるとその間隔が大きくなります。サタドー岬の断崖にも大きな規則的な割れ目が発達しています。

岬の入口に立つ白亜のサタドー岬灯台

三宅島の灯台巡りで訪れる観光客も多い「サタドー岬」です。サタドー岬というとたいていの観光客はこの灯台を目指しますが、岬の先端はさらに進んだその先にあります。

ということで都212号線を「御子敷バス停」で海方向に折れて進み、まずは白亜の無人灯台「サタドー岬灯台」へと向かい、さらに灯台の脇から延びる小径を進んで岬の先端に向かいます。ちなみにバイクや車で進めるのはこの地点まで。






岬の台地を歩いて先端に向かいます

サタドー岬灯台を通り過ぎて海に向かう小径を進んでいくと、やがて小径は左右に分かれます。右手には「三池浜」が、左手には「ひょうたん山」と「新鼻新山」が遠望できますが、歩いているのは海に突き出た高さ20〜30mに及ぶ断崖絶壁の台地の上。

すぐ目前に広がる青い海と大海原の水平線に心ときめきますが、まずは小径を右に曲がって三池浜方向に進んでみます。






高さ数十メートルにも及ぶ湯岩の断崖絶壁が圧巻!

うひゃぁ・・・! 三池浜方向に歩いていくと、すぐに高さ数十メートルにもおよぶ断崖が出現! 切り立つ崖の断面がよく見えていますが、海面の青さに溶岩質の黒さが際立っています。上部は酸化で赤茶色をしていますが、これは過去の噴火で海に流出した溶岩が長い年月の経過で侵食された海蝕崖。

ここからは三池浜へと連なる湾とその先の三池港が見えていますが、噴火による溶岩流の規模の大きさが実感できて眺めが最高に素晴らしいです。でも風が強い日は断崖に立つのはちょっと怖いかもしれません。






三宅島からおよそ24キロの御蔵島も見えています

三池浜の先にある三池港を眺めてみると、その先に御蔵島の島影がおぼろげに見えていました。また、海に流れ込んだ溶岩は海中で複雑な岩場を形成しているのか、海面からは小さな岩礁が頭をのぞかせています。






驚くほど美しい断崖直下の青い海面

それにしてもなんて美しい海の色でしょう! 高さ20mの断崖から海面を眺めてみますが、断崖の溶岩由来の黒さに三宅島ブルーの青さが映えてとてもきれいです。打ち寄せるうねりが砕け、海面や海中が白く波立つ様子を眺めていると、見飽きるということがまったくありません。運が良ければウミガメやイルカが見られるらしいですよ。






高所恐怖症だと難しいサタドー岬での釣り

絶壁の断崖で釣りをしている人もいました。上物が釣れるポイントらしいですが、この高さなので魚をすくうタモが海面まで届きません。なので魚は落とし網という道具を使って引き上げるそうです。でも高所恐怖症な場合はちょっと難しかも・・・。






ぶるぶると足が竦んでしまうほどの高さ!

いやー、それにしても高い! ゴツゴツとした断崖の端から海面を覗き込もうとしますが、これはちょっと勇気が必要。落ちたり飛び降りたら一発で逝けてしまいますが、だいたい福井県の東尋坊と同じくらいの高さかな。






自然の雄大さを実感できるサタドー岬からの眺め

サタドー岬は海に流出した溶岩が侵食されできた海食崖。繰り返し押し寄せる波が岩を砕いてここまで高い崖をつくったわけですが、それはわかっていても、時間のスケールが大き過ぎて実感できません。そんなサタドー岬の崖から直下の海面を覗き込むと怖いですが、遠く水平線を眺めると怖さも和らいで最高に清々しかったです。






サタドー岬の台地の上に延びる小径

岬の分かれ道を右手に進んで先端まで行ったら、小径を引き返して今度は左手に向かいます。サタドー岬の灯台が見えていますが、付近の眺めはこんな感じかな。草に隠れた溶岩の間を縫うように小径が延びていますが、ゴロゴロと大きな溶岩が草に隠れているので、思っていた以上に地面はゴツゴツでした。






サタドー岬の左方向に見えている新鼻新山とひょうたん山

おお、これは素晴らしいな! 小径が途切れてそれ以上進めなくなったサタドー岬の先端地点です。噴火で海に流出した溶岩が作り出した荒々しい磯がどこまでも続き、海に突き出た赤黒い新鼻深山と、その右手にひょうたん山が小さく見えています。

1962(昭和37)年の噴火以前は赤場暁湾が広がっていて、海岸線には見事なクロマツ林が茂っていたらしいですが、噴火で激変して今はその面影はまったくないです。






記念撮影するならやっぱりこの地点?

岬の先端で振り返ると、やっぱりサタドー岬灯台が見えています。灯台越しに小さく三池港と御蔵島の島影が確認できますが、ここは記念写真を撮るにはちょうどいい場所。アングル的に港と島影と灯台が一つに収まります。






遮るものなくどこまでも広がるサタドー岬の大海原

そしてたぶんここがサタドー岬の本当の先端地点。三宅島の東の果てで、眺めているのはサンフランシスコとロサンゼルスがあるはずの方向で、目の前には島影ひとつなく、茫洋とした水平線が果てしなく広がっています。でも岬を訪れる観光客もあまりここまではやってこないのか、周囲に人影はなくてとても静かな雰囲気でした。

そんな感じで誰もいなかった岬の先端ですが、さらに以上進めないものかと思っているると、なにやらお立ち台のような階段があったので近づいてみます。






岬の先端にあった展望台跡らしきお立ち台

なんだろうこれ? もしかして展望台の跡? サタドー岬の先端にあったコンクリートのお立ち台ですが、周囲は漆黒の溶岩がガラガラに堆積して足場がとても悪いです。なぜか階段もついているし、やっぱりこれは展望台跡くさいな。






座って海を眺められます

結局、お立ち台の正体はわからずじまいでしたが、海を眺めるにはちょうどいい場所でした。岬の先端はガラガラな巨大な溶岩で覆われていて転んだら危ないですが、ここならば腰を下ろしてゆっくりと海を眺めることができます。






凝固した巨大な溶岩を触って確かめることができます

岬の先端では溶岩がそのまま剥き出しになっています。遠くから眺めると黒く見えているだけですが、ここでは凝固して角ばった溶岩の巨大さがまざまざと! もちろん手で触れて溶岩質のザラついた独特な感触を確かめることもできます。






溶岩の黒さよりも酸化による赤っぽさが目立つ新鼻新山

う〜ん、これは凄い! 再び新鼻新山を眺めてみますが、新鼻新山は1983 (昭和58) 年の噴火で放出された噴出物が積もって一夜で形成された火砕丘。元は円錐形をしていましたが、海側の斜面が波に浸食されて断崖になっているのがよくわかりますね。






過去の噴火で溶岩流の通った斜面が見えています

岬の背後にそびえる雄山。噴火であの斜面に割目火口が開いて溶岩が噴出、ドロドロと流れ下って、ここで海に流れ込んだのか! そしてサタドー岬ができたわけですが、有史以前から幾度となく繰り返された噴火の様子が頭に浮かびます。






生々しく溶岩が堆積した岬の断崖付近

しかし、断崖付近は草も生えていなくて物凄い生々しさの溶岩です! 溶岩というとドロっとした液体っぽさを思い浮かべますが、凝固した溶岩はどれも鋭利に角ばったものばかり。実際に間近で眺めてみると、想像していたイメージとは全然違いました。

溶岩は冷えたり流動で強く押されると固まって収縮します。すると溶岩自身が歪みを解消しようと変形しますが、それ以上に押さえつける力がかかるため、パカっと割れてこのような形になってしまうとか? まあ、専門的なことはわかりませんが・・・。






まだ熱くて熱気を放っていそうにみえる溶岩

複雑な何とも言えない独特な形状をしたサタドー岬の溶岩。中は真っ赤でまだ熱気を持っていそうな生々しさがあります。ひとつ一つの塊も巨大で、人の背丈を超える大きさの溶岩がゴロゴロです! 台地の力というか、噴火の凄さを実感させられます。






火山景観と超絶風光明媚な景色が楽しめます

そして最後にもう一度眺めてみた御蔵島。何度見ても良い眺めですが、海に長く突き出た三池港の接岸バーズと比較すると島の大きさがわかりますね。最大で実に80mにも達する断崖に周囲を囲まれた険しい地形も確認できました。

そのような景色も眺められ、圧倒的な迫力の火山景観が広がるサタドー岬ですが、地獄を意味する「サタドー」という地名がついているのも納得できますよ。というわけで、サタドー岬を訪れたならば、灯台だけでなく岬の先端までぜひ!

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