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さらに下って今は無住の地となっている「湯野川開拓」部落跡を通り、かつては薬研方面への便利な山越えルートであった湯の川林道の雪に埋もれた入口も通り過ぎて、今日の目的地である湯野川に到着。やがて民家が淋しげにぽつりぽつりと現れてきますが、そのまま集落のメインストリートである県46を進んでいくと・・・。
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すぐに湯野川温泉に到着! 一応、温泉郷となっていますが、今は集落内の県道脇に2軒の温泉旅館があるだけのささやかな湯野川温泉ですが、投宿するのは20年来の定宿にしている「岡村旅館(画像左)」さんですよ。
ちなみに国鉄時代は「国鉄バス」が、JRになってからは「JRバス」の路線が湯野川温泉まで通っていましたが、JRバスは用者の減少によって1990(平成2)年に廃止。その後は代替路線として「川内交通バス」が路線バス「川内〜湯野川線」を運行していましたが、それも2023(令和5)年3月31日をもって廃止・・・。 また、2軒の旅館に隣接して日帰り温泉「湯野川温泉農々園(じょうじょうえん)」がありますが、建物の老朽化によって2020(令和2)年からず〜っと休業状態が続いているため、実際に温泉に入れるのは岡村旅館と寺島旅館さんだけですよ。 |
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玄関をガラリと開けて到着を告げると、さっそく出迎えてくれた女将さんに通された二階の角のいつもの部屋。岡村旅館に泊まるといつも通される部屋ですが、好きな時に寝っ転がれるよう布団がすでにスタンバイされているのが嬉しいぜぇ!
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窓の障子を開けて外を覗くと旅館と県道との間にある小さな駐車場。湯野川住民の車が2.3台駐車してあるだけでしたが、湯野川温泉って自家用車とかレンタカーでないと訪れるのがかなり困難な温泉だったりします。 昔は路線バスが川内から通っていましたが、路線バスは2023(令和5)年に廃止されており、現在はそれに代わる交通手段として、むつ市がデマンドバスではなくて、タクシー車両および役場の公用車両を使ったデマンド型乗合タクシー「むつ市コミュニティタクシー(川内湯野川線)」を細々と運行しています。 [ むつ市コミュニティタクシー(川内湯野川線) ]」 1便 / 笹子塚団地 11:20 → まちの駅かわうち 11:27 → 湯野川温泉 11:58 2便 / 笹子塚団地 14:40 → まちの駅かわうち 14:47 → 湯野川温泉 15:18 3便 / 笹子塚団地 11:20 → まちの駅かわうち 16:27 → 湯野川温泉 16:58 1便 / 湯野川温泉 6:30 → まちの駅かわうち 7:01 → 笹子塚団地 7:08[ ※1 ] 1便 / 湯野川温泉 9:00 → まちの駅かわうち 9:31 → 笹子塚団地 9:38[ ※2 ] 2便 / 湯野川温泉 12:00 → まちの駅かわうち 12:31 → 笹子塚団地 12:38 3便 / 湯野川温泉 15:20 → まちの駅かわうち 15:51 → 笹子塚団地 15:58 ※ 令和6年4月ダイヤ改正 ※1 / 月曜運行 ※2 / 火〜金曜運行 ※ 土曜、日曜、祝日、年末年始(12 / 29〜1 / 3)は運休 ※ 前日15時までに氏名、電話番号、利用日、利用人数、乗車停留所 降車停留所、利用する便を告げて予約 ※ 予約がない便は運休 ※ 運賃 / 200〜1000円(湯野川温泉〜まちの駅かわうち・笹子塚団地 1000円) |
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お、こいつは嬉しい心遣いです。客室には浴衣の他にどてらが用意されていましたが、寒い冬の季節は浴衣だけでは風邪ひいちゃいますからなぁ。
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客室が並ぶ岡村旅館の二階の廊下。前方の階段脇の左の角部屋が案内された部屋ですが、廊下には漫画本がぎっしり詰まった本棚が置かれています。
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こちらは一階の廊下。寒いので灯油ストーブが灯けられていましたが、一階には浴場と洗面所、トイレ、厨房などがあります。なお、浴場入口脇のソファの前には湯上りに飲み放題の冷たいお茶のポットが置かれています。
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温泉浴場の脱衣所です。いつの間にか床と壁の一部がきれいにリフォームされていましたが、女将さんいわく「なにぶん建物が古いので」とのことでした。
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お願い | ||
湯船に水を入れて一度ぬるくなりますとなかなか熱くなりません。 次の方がぬるいお湯にしか入れなくなるだけでなく 温泉の効能も弱まります。 なるべく水入れはお控えくださいますようご協力をお願い致します。 |
うむ、さすがに熱くて湯に浸かれない場合は仕方ないですが、それでも加水は必要最小限にしたいものですね。これ温泉の入浴作法です。
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というわけで昨年の冬に訪れて以来、一年ぶりとなる岡村旅館の温泉です。浴槽は5、6人が同時に入れるくらいの大きさで、かけ流し状態でなみなみと湛えられた源泉が縁からオーバーフローし続けているのがイイ感じ。日帰り入浴客で混むような温泉ではないので、静かにのんびりと24時間いつでも温泉を堪能できるのが最高!
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コポコポコポ・・・。温泉はいうまでもなく、宿の建物のすぐ脇にある源泉からの極上新鮮な湯の掛け流し。結晶化した温泉成分がガチガチに付着した塩ビのパイプから、アルカリ性単純温泉の熱い湯が常に注がれ続けています。 ちなみに湯野川温泉には源泉は2つあって、そのうちの1つは岡村旅館と寺島旅館に、残りのもう1つの源泉は「共同専用温泉」および、「農々園」に利用されていますが、観光客が入浴できるのは旅館の温泉のみ。共同専用温泉は地元住民専用だし、農々園はもうずっと先の見えない休業状態が続いているし。 |
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そういうわけで浴槽の湯は結構熱いです。したがって少しだけ加水する必要がありますが、それでも常に水を注ぎ続けなければ入っていられないほど熱くはないので、熱さに身体が慣れたタイミングで水を止めればOK。 ちなみに源泉温度は52.5℃。55L / 分で湧き出した源泉は各旅館の浴槽に注がれる時点で42℃に下がっていますが、湯野川温泉では以前、その温泉熱を利用したガラスハウスで山菜の栽培事業が行われたこともあったらしいですよ。 |
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ふぅ〜、整うぜぇ・・・。観光シーズンでもなんでもない真冬の2月に入浴目的の観光客がいるはずもなく、誰もいない静まり返った浴場で独り湯に浸っていると、まるで時の流れが止まったみたい。
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部屋にはスティックタイプのコーヒーが用意されているので、夕食まで熱いコーヒーで寛ぎます。お茶請けには八戸や岩手県北で良く食べられている南部せんべいにチョコレートがかかった「チョコQ助」が! 東北以外の地域ではほとんど知られていませんが、チョコQ助って、南部せんべいの塩味とチョコレートの絶妙な組み合わせでかなり人気のお菓子なんだよな〜。 |
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部屋には灯油ストーブが置かれていました。むつ市の2月の平均気温は-1℃くらいですが、川内川、湯野川を遡った標高100mの山奥に位置する湯野川温泉の真冬の夜は氷点下を軽く超え、むつ市内と比較しても夜は冷え込みが厳しいです。 夜中にふと目が覚めた時、タイマーでストーブは消えており、おかげで部屋の中が凍りつくほど寒くなっていたんだっけなぁ。 |
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夕食は廊下を挟んだ向かいの小部屋でいただきます。部屋で寛いでいると、一階の厨房から階段を登り下りして料理を運ぶ女将さんの足音が忙しなくなってきて、やがて「夕食ができました〜」との呼び声がかかりました。 さっそく暖かいどてらを羽織って小部屋に移動しますが、おお、いつもながらに質、量ともに言うことなしの素晴らしい料理の数々が並んでいるな! というわけで岡村旅館のこの日の献立は以下の通り。 お刺身三種盛り(マグロ・サーモン・クロソイ)・バイ貝と野菜と厚揚げの煮物 白身魚の西京焼きオレンジ添え・干し鱈ときゅうりの酢の物 ホタテとキノコとオクラのホイル焼き・酢ダコ(ミズダコ) キムチ鍋チックな鱈の寄せ鍋・さもだし(ナラタケ?)・おしんこ・白いごはん |
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それではお疲れ様〜っす! まずは食前酒としてキンキンに冷えたアサヒを1本頼み、ぐびぐびっと喉に流し込んで食欲増進を図ってやります。
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おお、鮮度抜群でぷるんぷるんな刺身の見目麗しいことよ! この日の刺身は「海峡サーモン」と「マグロ」に「クロソイ」でしたが、どれも下北半島名産ですね。おかげで地酒が進んで仕方なかったです。
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というわけで今宵の地酒は青森県「おいらせ町」で1889(明治22)年創業の桃川「近松お燗瓶(税込み264円)」をチョイス。直接湯煎でお燗ができる小瓶タイプで東北地方のスーパーで普通に売られている安い普通醸造酒ですなぁ。
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味がじゅわ〜っと染み込んだ煮物です。具材は厚揚げに大根、ニンジン、インゲン、シイタケにさつま揚げですが、注目すべきは殻ごと煮込んだ「モスソガイ」。 モスソガイはいわゆるバイガイの仲間。関東ではあまり馴染みがありませんが、青森県では市場でよく見かけ、特に陸奥湾産のものは高価なのだそうです。そんなモスソガイの旬は晩秋から冬にかけてで、煮物として煮つけたり、おでんの種にしたり、また、正月には煮染めに入れられたりするそうですよ。 |
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そんなモスソガイは楊枝でくるくるっと身をほじくり出していただきますが、殻から出てきた身はグロいというか、かなりヤバい形状をしています。 しかし、キモい見た目に反して味だけは絶品であったモスソガイ。貝ならではのコリコリとした食感が楽しめる軟体部分はもちろんですが、特に旨味が凝縮されているのはワタの部分で、口に含むとホロ苦な濃厚な旨味が口中に広がって非常に美味! これも日本酒が進んで仕方ない逸品だったぜぇ! |
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白身魚の西京焼きです。魚の種類は失念しましたが、香ばしい香りとコクの西京焼きは酒の肴によし、白いごはんのおかずによしとまさに最強。魚の旨味と西京味噌の風味が相まって、これがあれば白いごはんが無限にイケちゃいますなぁ!
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おお、こいつは「干し鱈」を使った酢の物じゃないですか! 九艘泊で見かけてぜひ食べたいと思っていた干し鱈ですが、まさか当日の夕食で出されるなんて、なんというタイミングの良さでしょう! キュウリの水分と鱈から滲み出た旨味が絶妙な出汁となって、さっぱりとしてマジ美味かったです。
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陸奥湾名産のホタテとキノコ、オクラのアルミホイル焼きですね。旨味と甘味が凝縮されたホタテとキノコの旨味の相乗効果でえも言われぬ旨さ! 陸奥湾に面した下北半島を訪れてホタテを食べないなんてあり得ませんが、しかし、近年、陸奥湾ではホタテの記録的な不漁が続いて大変なことになっているみたいです。 具体的には海水温の上昇による不漁に加えて、養殖中のホタテの稚貝がマダイに食べられてしまう食害が深刻になっているとのこと。そのため今年(2025[ 令和7 ])のホタテの水揚げ量は4割も減り、入札価格は去年の2倍にまで高騰しています。 宿でもホタテの仕入れ価格高騰で苦慮していると思いますが、もっともっとホタテを食べたいということで・・・。 |
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じゃじゃ〜ん、密かに別ルートで入手しておいたホタテです! しかも、肉厚でぷるんぷるん貝柱の刺身。しっかりとした弾力のある食感で噛み締めるたびに味わい深い濃厚な風味と旨味が口内で爆発! なお、ホタテの貝柱の刺身は醤油+ワサビでいただきますが、醤油をつけ過ぎるとホタテの味が分からなくなるので、醤油はちょっとだけつけるのがポイントっす。 |
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そして気になるお値段ですが、なんとこれで260円! 実は旧川内町エリアで唯一のスーパー「マエダストア」で481円が半額セールで売られていたのを見かけたのを買っておいたんだよな。ただし、ラベルをようく眺めると、産地は陸奥湾ではなくて北海道。でもまあ、それは見なかったということで・・・。
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