伊ヶ谷港
  三宅島の見所スポット 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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  伊ヶ谷エリア
  伊ヶ谷エリアの見所スポット
     1伊ヶ谷港
     2大船戸大橋
     3為朝の袂石
     4井上正鐵の腰掛石
     5生島新五郎の墓
     6処刑場跡
     7大林寺
     8竹内式部の墓
     9不受不施派僧の墓

東海汽船の橘丸がごく稀に接岸することもある伊ヶ谷港

三宅島の北西部に位置する伊ヶ谷集落にある「伊ヶ谷港」です。三宅島に寄港する東海汽船は阿古の「錆ヶ浜港」優先的に使用され、錆ヶ浜港の波が高い場合には通常は「三池港」が使用されますが、その三池港も使用できない場合に限ってくごく稀に東海汽船の着岸港として使用されます。

気象条件によっては東海汽船の橘丸が寄港することもある伊ヶ谷港。島嶼では1島2港が基本なので、通常は地元漁船の拠点「伊ヶ谷漁港」として使用されていますが、三宅島の場合は噴火災害時の島外への避難港として、大型船などが接岸できるようバースが整備されたているんですね。

したがって普段の伊ヶ谷港はこのようにひっそりとして、訪れてみても岸壁から竿を垂れる釣り人の姿くらいしかありません。






橘丸の寄港に備えて乗船タラップが置かれています

伊ヶ谷港は元和9(1623)年頃に御用船の入港地として大船戸湾に整備されました。当時は人もあまり住んでいない場所でしたが、全天候型の良港ということでわざわざこの地に構築されたのですが、享保8(1723)年に神着に島の行政機関が移ると伊ヶ谷港は使用されなくなってしまいます。それまでは陣屋も置かれ、江戸から三宅島にやってきた多くの人々が伊ヶ谷港に到着して島に上陸していたといいます。

しかし、それも今は遠い昔の話。今は三宅島の海の玄関口の座はすっかり錆ヶ浜港に奪われてしまい、静かな一漁港の趣が漂います。それでも東海汽船の青いコンテナと乗船タラップが置かれているのは、稀に橘丸が寄港することもあるからでしょう。






稀に大型客船が寄港する場合をのぞいて常に静まり返っている桟橋

沖へと突き出た伊ヶ谷港の広い桟橋には数人の釣り師の姿があっただけで、堤防に描かれた「ようこそ三宅島へ」のイラストも寂しく、他には誰もいない状態。大型客船が寄港するとき以外は大抵こんな感じなのでしょう。

ちなみに平成28(2016)年の伊ヶ谷港への東海汽船橘丸の就航率は2月が39.3%、8月が22.6%、11月が26.7%です。つまり冬ほど伊ヶ谷港への寄港率が高いみたいだな。





桟橋は広いので先端までバイクで乗り入れることができます

海に突き出た桟橋の突端から太平洋を眺めてみますが、風も強くて天気が悪いので海はちょっと荒れていました。左手には海に突き出た「大鼻」の岬が見えていますが、岩礁に押し寄せた波が砕けて激しく白波波立っています。

伊ヶ谷港の桟橋はとても広くてWRで自由に走り回ることができますが、海が荒れた時には岸壁では海からの風に煽られた波しぶきが雨のようにザンブと降り注いでくるので注意してください。これ以上近づくとWRが海水を被ってしまいます。






荒天時にはザンブと波しぶきが降り注いでくる桟橋

WRを波しぶきの被らない位置に止めて岸壁まで歩いて近づきますが、コンクリートの桟橋は激しい雨が叩きつけたかのように海水でびしょびしょ! 波はさほど高くないようにも見えますが、風に乗った飛沫が頭上から降り注ぐんだよな〜。

大船戸湾の中に位置して天然の良港といわれる伊ヶ谷港ですが、それでも天気の悪い日には海もそれなりに荒れるみたい。港内の海面は激しく波立っていました。

緊急時の島外避難の拠点として整備された伊ヶ谷港は、海面から7.5mの岸壁の整備によって大型定期船の接岸も可能になりましたが、それでもまだ荒天時の静穏度が不足しており、依然として港の波浪条件は厳しいそうですよ。






ひっそりと静まり返った伊ヶ谷漁港の船溜り

一方、こちらは大型客船の接岸バースに隣接している伊ヶ谷漁港の漁船の船溜まり。登録された漁船の数は11隻で水揚量は1トン。

現在はこのように漁港も整備されていますが、三宅島の漁業については昔は港湾に恵まれなかったことから、伊豆諸島の他の島に比べて出足は遅く、島に初めて発動機船が導入されたのは明治41(1908)で、漁業組合が設立されたのもその年だったそうです。






漁港のかつての賑わいも今は古老の語り草

ひっそりとして静かだな〜。湾内にまどろむように係留された小さな漁船たち。その後の度重なる噴火や景気の悪化で、今はかつての賑わいぶりを見ることはできませんが、昔は三宅島の漁業が最も盛況した時もあったそうです。

当時の港の賑わう状況は「大久保浜のトビウオ」「伊ヶ谷村のムロアジ」「阿古村のカツオ」といわれ、伊ヶ谷港は特にムロアジの水揚げで有名な場所だったみたい。






漁港区画内にはダイビングスポットもあります

漁港の船溜りの脇にはダイビングスポットが設けられていました。漁港内の区画なので外波が来なくて絶好の場所らしいです。また、ダイビングだけはなくて、あの桟橋からは飛び込みもできるので、夏に海の家もオープンして賑わうそうですよ。






ダイビングスポットとしても人気な伊ヶ谷港

おお、いるわいるわ。春先だというのにダイビングエリアの岸壁にはダイビング客を満載した業者のバンがずらりと並び、黒いウェットスーツの人だかりが! その場で着替えて即飛び込む算段なのでしょう。

ダイビングは三宅島の重要な観光産業の一つなので歓迎すべきですが、しかし、桟橋を占拠、埋め尽くすおびただしい数のバンとウェットスーツ軍団! ダイビングを嗜まむ者にはちと近寄りがたい独特な雰囲気がありますなぁ・・・。

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