2025 冬景色の海を眺めて適当に東北旅 〜津軽沿岸・津軽海峡・陸奥湾沿岸〜 2月2日(日) 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
4日目  外ヶ浜町→ むつ市岡村旅館 tairadate furofushi onsen もどる  






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平舘灯台の正面、東の方向には平舘海峡の対岸に下北半島がよく見えています。位置的には脇野沢から佐井村の「仏ヶ浦(画像左方向)」へと断崖絶壁が連なる海岸で、ちょうどその辺りは本州北限のニホンザルが生息している場所ですね。







雪化粧を纏った下北半島の山々をバックに、平舘海峡を函館目指して航行中の津軽海峡フェリー「ブルールミナス」。青森〜函館間はフェリー会社2社が合わせて1日14往復しているため、平舘海峡を行き交う客船の航行量って意外と多いんだぜぇ。







やや、あれはっ!? ここで再び平舘灯台から南東に九艘泊方向を眺めてみると、陸地の先端地点のすぐ沖に小さく「鯛島」見えていましたが、鯛島は牛ノ首岬の沖合800mに浮かぶ無人島。しかし、ここで注目したいのは、この距離から鯛島が見えていることではなくて、もっと珍しい現象なのですが、それってなんだか分かります?







というわけで鯛島をよく見てみると、なんと、鯛島が海面上にぷかぷかっと空中浮揚しているじゃないですか! しかし、これは目の錯覚ではなくて、秋から冬の冷え込みが強まった日に見られる「下位蜃気楼」と呼ばれる蜃気楼。島が海に浮いているように見えることから別名「浮島現象」とも呼ばれます。

ちなみに蜃気楼とは、密度の異なる大気によって光が大きく屈折することによって虚像が見える現象で、秋から冬の冷え込みが強まった日には陸奥湾でも発生しますが、まさかここでその蜃気楼を目撃しちゃうとは! なお、念のため言っておきますが、色調補正以外の画像加工なんて一切していませんぜ。







なお、位置関係を文章で説明してもピンとこないと思うので、分かりやすくマップで示すとこんな感じ。現在地は津軽半島の平舘灯台で、そこから平舘海峡を挟んで矢印方向に下北半島の北海岬方向を眺めています。ちなみに蜃気楼が現れていたのは牛ノ首岬の沖に浮かぶ鯛島で、平舘灯台からの距離はおよそ15.5km。







ちなみにこれが鯛島。形が鯛に似ていることが名称の由来ですが、鯛ではなくて巨大なクジラさんが潮を吹き上げているように見えますなぁ。そんな鯛島はむつ市「脇野沢」から県175で九艘泊に向から途中で間近に眺めることができますが、吹き上げられた潮に見えているのは「陸奥弁天島灯台」で、別名「弁天島」。







逆に対岸の下北半島九艘泊側から平舘灯台を眺めるとこんな感じ。海岸のすぐ背後には津軽半島最高峰の「丸屋形岳(718m)」を始めとして、「袴腰岳(707m)」や「鳴川岳(658m)」などが美しく雪化粧をした姿がダイナミックに見えています。







平舘灯台を後にしたら旧松前街道沿いにしばらく進んでから右折し、そのまま国道を横切って海岸からやや内陸の外ヶ浜町「平舘根根岸湯の沢」にある平舘不老不死温泉に向かいます。海岸付近は積雪量もさほど出なかったような気がしますが、ちょっと海岸から離れると途端に積雪量が増えました。







午後5時ちょっと過ぎ、平舘不老不死温泉に到着しましたが、実は平舘不老不死温泉にはまだ学生だっ頃に友人とドライブ旅行で泊まったことがあります。

ただし、以前の平舘不老不死温泉は「一人客お断り」だったので、その後は東北林道ツーリングでも泊まる機会が全くなく、また当時はお婆ちゃん一人で切り盛りしていたと思いますが、2023(令和5)年に宿の経営者が変わったことで一人客も受け入れるようになったため、超久しぶりで再訪してみたという次第。

学生の頃に泊まった平舘不老不死温泉は湯も食事も文句なしだったこともあり、まさに世代交代した平舘不老不死温泉への期待に溢れる瞬間です!







平舘不老不死温泉の玄関を入ったところにあるロビーです。到着を告げると懐かしい宿のお婆ちゃん・・・ではなくて、元は平舘不老不死温泉の常連客で、現在は宿の経営を引き継いでいる女将さんが出迎えてくれました。

女将さんはかなり温泉愛のある話好きな方で、客室に案内されるまでに立ち話で色々と20分ほど話し込んでしまいましたが、宿の経営を引き継いだ経緯としては、常連客として通ううちに前女将さんから持ちかけられたとのこと。宿の経営は未経験でしたが、湯を無くしたくないとの思いもあって事業継承したそうです。







しかし、宿に到着後に困った事態が判明。宿で宿泊人数を間違えていたらしく、用意されていた布団は2人ぶん・・・。結局、2人分用意された布団は1人分片付けることで予定通り泊まれることになったけどさ。

あー、それから客室にテレビはありますが、アンテナの不具合なのかテレビは全てのチャンネルが受信できず、なにも映らなかったのが最悪だった! そりゃあ、女将さんは「テレビが映らないので夜は静かに過ごせてぐっすり眠れます」って言うけどさ・・・。というわけで到着早々よろしくないフラグが立ってしまった瞬間です。







ちなみにこれはネット予約の返信メール。当初は宿に直接電話をかけて、「1人」だとはっきりと告げた上で予約したい旨を伝えたのですが、改めて「ネットから予約してくれ」と言われたたため、指示通りネット予約したその返信です。

なお、この自動返信メールでは宿泊人数が2人になっていますが、これは予約フォームに宿泊人数をプルダウンで入力するさいに1人が選択できず、2人からしか選択できなく設定されていたので仕方なく2人を選んだため。宿のネット予約って、1人泊OKの宿なのに、設定ミスで1人が選択できないことがたまにあります。

電話をかけたさいに「1人」だと告げてあるし、通信欄でもくどいほど1人を強調しておいたので、よもや2人と勘違いしないだろうと思っていたのですが、しかし、宿では宿泊当日まで通信欄の確認はしていなかった模様。その結果、電話で告げた「1人」は忘れ去られ、まさに危惧した通りの展開になったというわけ。







客室からの眺め。積雪は1mを超えていたと思いますが、外は一面の深い雪! 林の先に僅かに海が見えていますが、平舘不老不死温泉は「湯ノ沢川」沿いに海岸から600mほど内陸に入った場所にあるので、基本的には海は見えていません。







それにしてもテレビのある宿でテレビが観られないというのはかなり致命的。早急に問題解決するかしないかは宿次第ですが、今のところは放置が続いているみたいです。そういえば女将さんが施設の老朽化が著しくて、やたらお金がかかるとボヤいていたのが気になるなぁ・・・。

仕方ないので温泉にでも入りますが、脱衣所はこれでもかと熱帯魚の水槽が大量に置かれまくったフロントの左手にあります。昔、平舘不老不死温泉を訪れた時はなかった熱帯魚の水槽は現女将さんの趣味だと思いますが、所狭しと熱帯魚の水槽が大量に置かれた状態は、ちょっと異様にみえてしまうかも・・・ね。







脱衣所に掲げられていた温泉分析書。ここ平舘の不老不死温泉は深浦町の「黄金崎不老不死温泉」と間違えられやすく、ネットでも平気で黄金崎不老不死温泉として紹介されていることもザラですが、黄金崎不老不死温泉とは全く関係のない開湯300年の歴史がある「湯の沢温泉郷」の温泉なんだよな。

元々は「鶴の湯」と「蟹の湯」に分かれていたのを、中国の始皇帝が不老長寿の薬を求めて日本に派遣したさいに徐福が平舘にも訪れたという「徐福伝説」に因み、まとめて「不老不死温泉」と呼ぶようになったとのこと。

ちなみに宿は、以前は湯の沢川の河原に湧く源泉の上流にありましたが、火事で焼失したため、1980(昭和55)年頃に現在の場所に移転したそうです。また、湯の沢温泉郷には温泉公衆浴場「湯の沢温泉」もありましたが、そちらは2010(平成22)年に「湯の沢温泉ちゃぽらっと(入浴料400円)」としてリニューアルオープンされています。







うむ、なるほど。天然温泉には間違い無いけど加温しているわけね。このように泉温は40度弱と温いですが、保温効果が高くて湯上がりは汗が引かずに体の芯から温まることから、以前は「熱の湯」とも呼ばれていたそうです。

なお、温泉を加温するには重油が必要ですが、現女将さんいわく、宿を2023(令和5)年6月に事業継承した僅か3ヶ月の9月に、業者からいきなり「輸送コストの関係で今月いっぱいで重油の配送が取りやめになる」と宣告され、宿を継いだばかりなのに廃業の危機に見舞われてしまったのだそうです。







脱衣場から浴場を眺めるとこんな感じ。そういえば宿の玄関に日帰り入浴は受け付けていない旨の張り紙が掲げられていたような気がしますが、近くに湯の沢温泉ちゃぽらっとがあるので、近所の入浴客はみんなそちらに行くのだと思います。

ちなみに加温用の重油については、その後、代わりに配送してくれる業者が見つかって事なきを得たとのこと。しかし、そのような重要情報って温泉宿を事業継承する前に分かっていたりしなかったのかな〜? それとも地域への根回しというか、コミュニケーション不足で教えてもらっていなかったとか?! もろん推測だけどさ。







そしてこれが不老不死温泉の湯船です。かつて学生の頃に訪れた時の記憶が懐かしく蘇ってきましたが、湯船については昔も今も変わりないみたいだな!







おお、源泉投入口付近に配された石には白く結晶化した温泉成分がびっしりと! いかにも湯の効能というか、入浴効果が高そうですが、源泉名は「根岸温泉」。

泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉(低張性アルカリ性高温泉)で、源泉温度は48.9℃ですが、源泉から宿までの2kmを送られる途中で温度が37℃くらいに低下するため加温しているんですね。お湯は無色透明、無味、無臭。







あちち・・・っ! さすがにドボンと飛び込めるほど湯は温くなかったぜぇ。まずは冷たい水を注いで温度を少し下げてやる必要がありました。







ふぅ〜、全身の隅々にまで染み込む久しぶりの不老不死温泉の湯が最高! ちなみに現女将さんの事業継承の具体的なきっかけは、この湯に惚れ込み、常連客として住まいのある八戸から足繁く通い、前女将さんと「温泉宿を廃業してほしくない」と話しているうちに「温泉宿をやらないか」と持ちかけられたこと。

そして旅館の土地と建物を買い取り、同じく常連客だった男性(調理担当)と共に営業を開始したそうですが、普通は温泉愛だけで宿の事業継承はできないもの。その点、現女将さんの行動力には脱帽ですが、それと同時に廃業を考えていたという前女将さんにとっても、うまく逃げ切ったというか、願ったり叶ったりですなぁ!







風呂上がりで熱く火照った身体を冷却するべく、宿のサンダルでちょっくら散歩。外は徐々に薄暗くなって電柱の街灯に火が灯り、気温も急激に低下していきますが、肌を刺すような冷気が風呂上がりには気持ち良かったです。







おや、宿の敷地の隅っこに小さな小屋がありました。中には祠があって、祠の中に地蔵菩薩像が祀られていましたが、地蔵信仰が盛んな津軽ならではの光景ですね。







その後、本格的に身体が冷えきらないうちに建物内に戻りましたが、ロビーの傍には暖房用の灯油のポリタンクが大量に置かれていました。寒い冬の東北の宿ではお馴染みの光景ですが、冬は暖房費も馬鹿にならないらしいです。女将さんとそんな立ち話していると、次の瞬間いきなり事前告知なしの寝耳に水な事態が判明!

すなわち一人客も泊めるけど、その日の宿泊客が一人の場合は、その一人のために通常通りの館内照明や暖房などの経費がかかるため、宿泊料金にプラス1000円の負担をお願いしているとのことでした。

よくあるお一人様割増料金というやつですが、しかし、宿のウェブサイトおよび予約受付の確認返信メールにも割増料金の記載はなくて、なんだかボッタクられた感じは否めません。というわけでここからは辛口批評でいきますが、料金体系は後出しジャンケンではなくて、予約時にちゃんと分かるようにしておかなくっちゃ!







その後、部屋でダラダラしていると夕食の用意ができたとの内線があり、さっそく夕食会場の広間に向かいますが、今回は奮発して料理の品数が通常よりも多いプランを頼んでいたこともあってとても楽しみ!

宿に到着後、宿泊業未経験者による温泉宿の事業継承の難しさが立て続けに露呈していきますが、これまでの経験上、食事さえ満足できればその他のことはたいてい我慢できるし、旅の成否は食事の良し悪しで決まると言っても過言ではありません。なので宿の謳い文句「津軽の海の幸を独り占め」にかなり期待しています!







あー、それから夕食が用意されていたのは広間入口のテレビの前。ぽちっとテレビをつけますが、しかし、ちょっと待てよ・・・?!

客室のテレビはなにも受信しないのに大広間のテレビはなぜ普通に映る? 当初はやむを得ぬアンテナ不具合とかで館内全てのテレビが受信できないのだと思っていたのが、実はそうではなかったことが判明しちゃいました。

おそらく客室のテレビが受信しない原因は、B-CASカードに組み込まれたICチップの故障だと思われましたが、まさか経費節減でカードの交換費用2310円を惜しんでいるとか?! 館内に全部で何台のテレビがあるのかは知らないけどさ。

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