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うわぉ、テーブルに所狭しと並べられた料理の数々! これですよ、これ! さすが陸奥湾の平舘海峡に面した平舘不老不死温泉だけのことはあり、海の幸満載でボリューム感が半端なかったですが、献立は以下の通り。 刺身(マグロ・タコ・サーモン・イカ・トコブシ・ボタンエビ・クジラ) ニシン切込・フキと油揚げの煮物 タラ鍋・おでん(タイコン・竹輪・タマゴ・コンニャク・さつま揚げ) 茶碗蒸し・イカの煮つけ・貝焼き味噌・魚のカマ焼き・麻婆豆腐・白いごはん タラコの和物(?)・海藻の酢の物(?) |
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所狭しと並べられた料理の中でまず最初に目に留まったは、なんといっても豪勢な刺身の盛り合わせ! マグロ、タコ、サーモン、イカ、トコブシ、ボタンエビが皿からこぼれんばかりに盛られていますが、ん?! ちょっと待てよ・・・?!
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うげぇ。通常ならば鮮度抜群で光り輝いているはずの刺身が、なんと、輝きを失って黒みを帯びているじゃないですか! 世間一般的にはこの状態を「鮮度が悪い」と言いますが、食べる気が瞬時に失せてしまったぜぇ・・・。 そういえば、女将さんが食材の高騰や仕入れ先に苦労しているとボヤいていましたが、仕入れ先が前女将さんからうまく引き継がれていない可能性もあるな。もしかしてどこか遠方で仕入れたやつを買い置きで冷凍保存しているとか? とにかく一目で分かる刺身のドス黒さはヤベェです。 |
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お刺身と一緒に正体不明の食材。なにやら馬肉のようなドス黒い生肉におろしニンニクがたっぷり乗せられていますが、これはたぶん「鯨の赤肉」の刺身。 青森県で「鯨」といえば捕鯨基地があった八戸が有名ですが、しかし、日本の商業捕鯨は1988(昭和63)年から停止されてしまいます。その後、日本が国際捕鯨委員会を脱退したことで2019(令和元年)年から商業捕鯨が再開され、現在、鯨は青森県では八戸港と大畑港で水揚げされており、それが夕食に供されたわけですなぁ。 ちなみに鯨肉はクセがあるので、市販の鯨缶では砂糖や醤油、生姜などで濃く味付けをした大和煮にされており、八戸では味噌で煮込む「くじら汁」などで食べられてきましたが、刺身で食べる場合は正しい解凍と肉の熟成がとても重要。 また鯨肉は足が早くて腐りやすいため、解凍後は急速に風味が落ちて時間が経過するほど肉はさらに黒ずんでいきます。なので鯨肉の刺身はとにかく新鮮さが命。新鮮ならば刺身はもちろん、握りやユッケにしても美味しいのですが、解凍を失敗したり鮮度が落ちると、とても食べられた代物ではなくなっちゃいます。 というわけでやけにドス黒い肉の色に不安を覚えたものの、鯨の赤肉の刺身とは珍しいので意を決してほおばってみたところ、案の定、悪しき予感が的中! 次の瞬間、妙にドロっとした嫌な感じの風味と食感が口の中いっぱいに・・・。おえぇ〜。 |
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なにゆえ津軽の温泉宿で麻婆豆腐? どうやら宿の調理担当は以前調理員をしていた元常連客の男性が担っているらしく、その方の得意料理が麻婆豆腐だとかで、夕食時に出される麻婆豆腐が宿の密かな名物になっているとかいないとか。う〜ん、でも麻婆豆腐はやっぱり横浜中華街で食べたいなぁ・・・。
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津軽とはあまり関係なさそうなおでん。「海辺の温泉宿でおでんを出されてもなぁ」と思ってしまいましたが、これって青森の郷土料理「しょうが味噌おでん」ですね。しょうが味噌おでんは生姜入りの味噌だれで食べるのが特徴。戦後の闇市の屋台で青函連絡船の乗船客相手に出され始めたのがそのルーツ。 そんなしょうが味噌おでんは女将さん推しの郷土料理らしいですが、郷土料理ならば津軽には「けの汁」や、「毛豆」と呼ばれる津軽産の枝豆を使った「茄子のずんだ和え」とか「豆漬け」などがあるので、そっちの方を食いたかったぜぇ・・・。 |
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おお、これは「貝焼き味噌」だな! 青森県では津軽地方および下北地方に伝わる郷土料理で、青森県の宿では高確率で出されますね。家庭や宿ごとに味が微妙に異なりますが、ホタテと溶き卵を使った貝焼き味噌は、嫌いな人を探す方が難しいほど万人受けする一品。これについては焼き立ての熱々でマジ旨かった!
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そして気がつくと、いつの間にか広間入口の襖が開けっ放しになっているのを発見。廊下から冷気が流れ込んで寒いし、厨房からこちらが丸見えなので襖を閉めたところ、女将さんから「そこは開けておいてください!」との苦言が・・・。 この日は当方以外に釣り目的の3人連れの泊まり客がいたようで、その配膳で女将さんが厨房と広間を行き来するさいに、両手が塞がっているので襖が閉じていると手間なので我慢してくれとのことでした。女将さんデビュー僅か2年目で配膳作業にテンテコ舞いなのは分かるんだけど、思わず憮然。なんだかなぁ・・・。 |
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ちぇ、と思いながらも、開けっ放しの廊下から入ってくる冷気の寒さを我慢して食事を続けますが、目の前に所狭しと並べられた料理を眺めても遅々として箸は進まず、この日はやたら日本酒ばかりが進んで仕方なかったぜぇ・・・。
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だってほれ、くすんだ色合いといい、新鮮さが失われてドロっとしたこの感じは絶対にヤベェです。これを眺めた瞬間、全ての食欲を喪失。刺身は当然ですが、その他のおかずもほとんど残して日本酒に逃げちゃいました。
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地酒は旅の1日目に盛岡の駅ナカで密かに購入しておいた岩手の「堀の井すずらんカップ」と「あさ開 純米多辛口 水神」。もはや食欲は完全に失われてしまい、おでんや麻婆豆腐、その他の料理にも手をつける気がほとんど起きず、おかげでガブガブと地酒ばかりがやたら進んで仕方なかったぜぇ。
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ぐつぐつぐつ・・・。そういえば「タラ鍋」もいい具合に煮えていたのですが、ほとんど手付かずの状態で残しちゃいました。さすがに申し訳なかったので「鍋は明日の朝食べます」と伝えたところ、鍋があるので出す必要なしと思われたのか、朝食では津軽十三湖名物「しじみ汁」が当方にだけ出されなかったのが悲しかったなぁ。
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お、珍しい日本酒があるな! 料理も食べずに黙々と茶碗酒をやっていると、調理担当の男性が1本の酒瓶を出してくれましたが、見慣れぬ青い一升瓶は、青森県むつ市を中心にGS経営をする「タムラ石油」が、グループ会社「設備技研イワキ」が栽培した米を使って造った「純米吟醸 太宰 JAPANESE SAKE DAZAI」。 2019(令和元年)年に太宰治生誕110周年を記念してプライベートブランドで仕込まれた限定酒で、お値段は720ml / 2500円、1800ml / 4000円。PBの日本酒なのでネットで検索してもヒットせず、もはや通販も難しいですが、なに、呑めってか? |
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コップに並々と注がれた琥珀色をした太宰。結局、コップで3杯くらい呑んじゃいましたが、さすがに「宿の奢り酒」であるはずもなく、チェックアウト時にビール1本と合わせて酒代3600円を取られちゃいましたが、まあいいか! というわけで平舘不老不死温泉での夕食は、ほとんど食べることなく酒呑みで終了。特に刺身の鮮度の悪さなど、かつての不老不死温泉で出された夕食の素晴らしさを知る者にとっては非常に残念な展開であり、あらためて宿泊業未経験者が温泉宿を事業継承することの現実的な難しさを実感させられました。 おかげですっかり悪酔いしてしまい、この後の出来事は記憶が飛んでしまったので、今日はここでお休みなさいです。あはは・・・。 |
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