新澪池跡と新鼻新山
  三宅島の見所スポット[ 阿古エリアのジオスポット ] 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
 [9]新澪池跡と新鼻新山 / The Site of the Shinmioike and Nippana Shinzan   もどる  

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村営バス「新澪池」バス停から徒歩1分

新澪池跡と新鼻新山
〜新澪池の消失とスコリア丘の形成〜
海岸に見える黒い高まりが新鼻新山と呼ばれている、1983(昭和58)年噴火の最後に噴火した火口が作った
火砕丘(かさいきゅう / 火口から噴出された岩石や火山灰が積もってできた丘)です。
海岸が削られて、火山の断面がよく観察できます。
[ GEO POINT ]マグマ水蒸気爆発 Phreatomagmatic eruption
旧新澪池の西側に開いた火口群(前方左側の凹地)は、
まもなく新澪池と連なり、高温のマグマと多量の水が接触して、激しい「マグマ水蒸気爆発」を引き起こしました。

新澪池は一瞬にして干上がり、
周囲の深い森は吹き飛ばされた岩塊とスコリア(軽石)の放出で壊滅的な打撃を受けました。
そのとき放出された岩塊は、この付近を広く覆い、
現在でも都道沿いや、道際の壁に積み上げてある石として確認できます。

新澪池跡まではバス停から1分もかかりません

三宅島を一周する村営バス「新澪池バス停」のすぐ脇にあるのがジオスポット「新澪池跡と新鼻新山」です。そのうちの新澪池跡はバス停の立つ都212号線沿いにあって、 駐車スペースと公衆トイレが整備されており、誰でも気軽に訪れることができます。





湖畔跡への階段には説明板が立っています

1983(昭和58)年の噴火で干上がってしまったという新澪池跡入口の階段。階段を登ればすぐそこがかつての湖畔で、池の説明板と、噴火で水が干上がる以前の新澪池の写真が掲げられています。どのような状態で干上がっているのかとても興味津々ですが、まずはその案内板を読んでおきましょう。





新澪池の誕生と消滅を説明しています

新澪池跡 Shinmyoike-ato
新澪池は、宝暦13年7月9日(1763年)の噴火により形成された火口湖で、
湖水には0.5%の塩分が含まれており、学問的にも貴重な湖だといわれ、鯉、ワカサギ等が生息していた。
また、湖水の色が一日に七色にも変化すると伝えられていた湖で、
昭和58(1983)年の噴火直前には、青、茶、褐色、黄褐色に変わる湖水の色を実際に自分の目で見た人も少なくない。

当時、この池の水が変化するのは島に異変が起こる前兆であるという噂が流れては島民の不安をかりたてていたが、
安政2年(1855年)に島民の動揺をしずめ、その安泰を祈念して遷宮されたのが新澪池神社である。

約80mにも及ぶ眼下の湖面は思わず立ちすくむほどの絶景であり、
神秘につつまれた名勝の地であったが、昭和58(1983)年10月3日に起きた水蒸気爆発により、
その風景は一瞬にして消え去ってしまったのである。

三宅村
なるほどね〜。1763(宝暦13)年の噴火の深い火口に水が湧いて形成されたのが新澪池ですが、昭和58(1983)年に発生した噴火の水蒸気爆発で水が干上がって消滅してしまったそうです。湖水の色が一日に七色に変化したことから「神秘の湖」とも呼ばれていましたが、湖水の色が変化するのは異変の予兆だとの噂が、江戸時代の昔からしばしば流れて島民を不安がらせていたといいます。





噴火で失われてしまったかつての美しい新澪池

美しく水をたたえていた消滅以前の新澪池。僅かに塩分を含み、ワカサギとコイが生息していた新澪池の平均水深は25.32mで最大深度は35.9mもありました。池の周囲はほとんどが垂直な崖になっていたため、水深は徐々に深くなるのではなくて、湖岸でいきなり深さが25mに達していた地点もあったそうです。ちなみに塩分濃度は水深10m地点を境として上部は薄く、深い場所ほど濃かったらしいですよ。





水が干上がったことで新澪池の水深の深さがよく分かります

そしてこれが現在の新澪池・・・というか新澪池の跡です。まるでクレーターのようにそこだけぽっかりと断崖に囲まれて落ち込んでいる様子がよく見えましたが、以前は満々と水がたたえられていた場所だなんてちょっと信じられません。ちなみに火山の噴火によって陥没してできた円形の窪地に水が溜まった地形を「マール」といいますが、新澪池は学術的には「新澪マール」と呼ばれていたそうです。





池の水を干上がらせた溶岩流の跡

新澪池を消滅させた犯人は噴火によって池に流れ込んだ溶岩。高温のマグマが池の水と接触して水蒸気爆発が発生、池の水を瞬時に干上がらせてしまったんですね。噴火で生まれた新澪池が噴火で消滅してしまうとはなんとも皮肉ですが、背後の斜面に目を向けると新澪池に流れ込んだ黒々とした溶岩流が今もなおくっきりと!





新居鼻新山へのアプローチは海側の駐車スペースから

新澪池跡を眺めたら道路を渡って海側の駐車スペースに移動、次は新鼻新山を目指します。1983(昭和58)年の噴火でできた火砕丘が新鼻新山で、駐車スペースから阿古方面に少し進むと入口が現れます。同じジオスポットでも景観が新澪池跡よりも格段に素晴らしいので、できる限り訪れてておくことをおすすめします。





遊歩道は整備されておらず案内板もない入口

駐車スペースから阿古方向に少し歩くと路肩のガードケーブルの途切れた地点が現れますが、そこが新鼻新山への入口です。その入口はこのように目立たず案内板も立っていないので、注意していないと見過ごしてしまいます。ちなみに新鼻新山へは遊歩道は整備されておらず、都道からの入口には「危険」の看板が立っています。





そばまで近づかなくても都道からも新鼻新山は見えています

おお、あれが新鼻新山ですか! 新澪池跡とともにジオスポットに指定されている新鼻新山ですが、都道からも海に突き出た岬のような姿が見えています。ざっと眺めるだけならばここからでも十分ですが、噴火の噴石や火山灰でできた新居鼻新山のスケールを体感するにはやはりそばまで近づく必要があるでしょう。

ただし、新鼻新山に近づくには足場の悪いザクザクなスコリアまみれ小径を進まなければいけないので、少なくとも革靴やハイヒールなどは止めておいた方が無難。さらに新鼻新山の上はかなりの強風が吹きまくっているので、ヒラヒラとめくれてしまうスカートはもちろん、荒れた天候の時も近づくのはよしておいた方がいいと思いますよ。





真横から眺めると赤と黒の地層が海の青さに映えてとてもきれいな新鼻新山

おお、これは凄い! 都道から延びる小径を黒い砂に足を取られつつたどっていくと、やがて目の前に現れる新鼻新山です。正確には噴火で吹き飛ばされた溶岩や岩塊、火山灰などが落下して堆積した火砕丘と呼ばれる地形で、これがたった一夜にして出現したそうで、突然の新鼻新山の出現に島民もかなり驚いたそうです。

その後、太平洋の荒波で海側はすっかり浸食されて断面があらわになっていますが、マグマに含まれた鉄分が赤く酸化した鮮やかな地層の縞模様がよく見えています。紺碧の海の青さに映える赤と黒コントラストがとてもきれい! ここは新鼻新「山」と呼ばれていますが、山というほどの高さはなくて、眺めた印象はやはり「丘」ですね。

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