阿古エリア 阿古エリアのジオスポット 1コシキ火口 2メガネ岩 3笠地 4七島展望台 5鉄砲場 6鉄砲沢 7今崎海岸 8薄木 溶岩流 9新澪池跡と新鼻新山 10 富賀浜 |
村営バス「二島」バス停から徒歩15分 |
今崎海岸 〜約360年前におきた溶岩の大流出事件〜 |
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1643(寛永20)年に起こった噴火は、 看板の背後正面に見えるコシキスコリア丘(スコリア丘 / 多数の小さな穴があいた、 堅い黒っぽい溶岩の破片が火口の周囲に堆積してできた円錐形の小火山体)を誕生させたものです。 噴出した溶岩は、海岸付近にひろがって「溶岩扇状地」を作りました。 溶岩流は、現在ある阿古の集落の平坦面と今崎海岸を形作ったと考えられます。 メガネ岩の溶岩もこの時に流出したものです。この付近は、約360年を経てなお、荒涼とした溶岩原となっています。 海岸付近は植生も貧弱で、一帯の自然条件の厳しさを示しています。 |
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[ GEO POINT ]溶岩扇状地 Lava fan 噴火の記録から、1643(寛永20)年噴火の様子を想像してみましょう。 「寛永20年2月12日、酉の刻(18時頃)大雨振り出し大地振動し、山中より神火(噴火)を発し、 阿古村在家一軒も残らず焼失す。夫(それ)より海の方へ十町(約1km)許続出す。 又西の方サビノ浜へかけ海の方へ十町許焼けたり。阿古村の古老男女みな富賀へ逃籠り、三日三夜の間食事もせず、 坪田村は風下にて焼石夥く(おびただしく)降り人家を埋めたれば、 人の出入成り難く、其上畑の作物も絶えたり。村内の人々は神着村へ逃去り一人も怪我なかりき。鳥類は皆死したり。 かくて三、七日の間(三週間)に鳴動止み神火も静まりたるを以て諸人安堵せり」 三宅島祥より この後、阿古住民は東山(現在の坪田の西のはずれ)に移村しています。 約360年前に、1983(昭和58)年噴火(阿古地区の約340戸を埋没させ.坪田地区に大量の降灰をもたらした)と 似たことがおきていることがわかります。 私達は、長い時を経て繰り返される噴火災害に対して、どう対処すべきでしょうか。 |
アクセスしやすく観光客にも人気の今崎海岸 |
今崎海岸は阿古集落の「メガネ岩」から 「夕景浜」まで1.5kmに渡って広がる溶岩扇状地の海岸です。 1643 (寛永20) 年の噴火で流出した溶岩流が現在の佐古集落の平坦面とこの海岸を作りだしました。阿古の「錆ヶ浜港」から海岸沿いに進んで「ふるさとの湯」を過ぎた先の「メガネ岩」から「夕景浜」までの荒々しい岩礁の海岸で、三宅島を海岸伝いに1周すれば必ず通ることになります。
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今崎海岸から錆ヶ浜港方向の眺め |
今崎海岸から左手の錆ヶ浜港を眺めるとこんな感じ。太平洋から打ち寄せる波が白波をたてる荒々しい磯の海岸風景が海岸線沿いに続いています。 |
大平洋から凄みのある波が打ち寄せる今崎海岸 |
ジオスポット案内板地点の正面の沖合を眺めてみます。涼荒とした「今崎溶岩」と呼ばれる溶岩の磯にざざーんと打ち寄せる波は荒々しく、磯に当たって波しぶきが舞い上がる様子はで眺めていても飽きがきません。海から吹き付ける風も強かったです。
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海に沈む夕陽や太平洋の星空も素晴らしい今崎海岸 |
案内板地点から左手を眺めると、海に大きくせり出した磯が見えていました。ここ、マグマ水蒸気爆発で形成された今崎海岸では海に沈む夕陽とともに、晴れた日の夜には星空観賞も楽しめるみたいですよ。阿古集落からも近いので、機会があればぜひ!
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海から吹き付ける強風で海岸には「波の花」も発生 |
おお、これは「波の花」じゃないですか! 冬の日本海などで強風で波が海岸に打ち付けられて泡立つこの現象、花が群がっているように見えるので波の花といいます。特定の条件下でないと発生しないのでなかなかお目にかかれませんが、そのようなレアな現象が三宅島の今崎海岸でも見られたなんて!
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溶岩が海に流れ込んで形成された溶岩台地の今崎海岸 |
海に突き出た今崎の岩礁の岬と打ち寄せる太平洋の白波。樹木が1本も生えない荒涼とした景色が広がりますが、 1643 (寛永20) 年の噴火で流れ出た溶岩が海に流れ込んだ場所がここなんだって! 荒々しい岩礁が当時の状況を物語ります。
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三宅島を形どった磯場案内板 |
溶岩が海へと流れ込んで作り出された今崎海岸の荒々しい海岸には磯ごとに名称が付けられていました。持参した地理院地図には「今崎」とだけしか記載されておらず、はっきり言って見た目でここを判別するのはかなり難しいのですが、海岸で見かけた三宅島を形どった「磯場案内板」によると現在地は「高鼻」というらしいです。 そこから右手の錆ヶ浜港に向かって「平鼻」「中鼻」「オヨギド」「メガネ岩」「デンペイ」「割間根」「割間」と続き、左手の夕景浜に向かっては「ハツリ鼻」「タイサブロウ」「崩鼻」という興味深い名称の岩礁が続くようです。 |
沖に浮かぶ三本嶽の磯場案内板も立っています |
海岸伝いの岩礁だけではなくて、沖に浮かぶ三本嶽の磯場案内板もありました。「マカド根」「カサゴ根」「平根」「エビ根」「ノコギリ根」「子安島」「青根」「間の根」「大根」「大蔵根」の名称とそれぞれの位置関係が記されていますが、海釣りが盛んな三宅島らしい案内板ですね。
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採ってはいけないものもあることを忘れずに! |
しかし、その一方で三宅島漁協協同組合によるこのような立札も・・・。 イセエビ、トコブシ、サザエ、アワビ、クボガイ、バテイラ、テングサ、トサカノリ、イワノリ、ハバノリの採取禁止とありますが、なんでもかんでもタダだと思って採ったり持って帰るとそれは密漁になるので注意ですよ! 密漁のパトロールも行われています。
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太平洋の荒波が打ち寄せる「高鼻」と「ワシ鼻」 |
海に向かって断崖で切り立つダイナミックな溶岩層と打ち寄せる荒波が目を惹きつけますが、これは「高鼻(手前)」と「ワシ鼻(前方突き出た部分)」でしょうか? 眺め的にはどれも似ているので案内板を眺めても分かりにくいです。
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とても突端まで近づけない海に突き出た「平鼻」の岩礁 |
これはたぶん平鼻。ぶ厚く高さのある溶岩層がそのまま海に突き出て岬のようになっていますが、荒々し過ぎてとても歩いて先端までは近づけないな〜。無理に進んで海に落ちたら一大事、眺めるだけにしておきましょう。
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今崎海岸の背後には広大過ぎる溶岩原が! |
今崎海岸の背後には雄山から海に向かって流出した溶岩が作りだした広大な溶岩原が広がっていました。噴火の前には森があったともいいますが、溶岩が全てを焼き払い、埋め尽くしてから約360年が経過した現在も木が1本も生えていませんね。 荒々しく荒涼とした景観が当時の噴火の規模を物語ります。
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今にも動き出しそうなぶ厚い溶岩層 |
まるでその瞬間に時間が停止して、ドロドロと海へと向かって流れる溶岩の流れがその場で留まっているよう見える所もありました。溶岩の厚さは数メートルもの落ち込む断崖となり、噴火で噴出された溶岩量の凄まじさを思い知らされてしまいます。
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今現在も焼けただれてジクジクと高温を発しているかのような溶岩原 |
うわ、これは凄い! 遠くから眺めるだけでも凄さが実感できる今崎海岸の溶岩原ですが、近づいてみるとさらに凄みが増してきます。溶けた溶岩をベチャっと地面に叩き付けたかのようなグニャグニャな形状で固まっているのが生々しくて、まるで今も高温を発しているみたい。波打ち際はこのような状況なので歩いて近づくのは危ないです。
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こういう場所は火山島の三宅島ならでは! |
柵は設けられておらず、海に向かって進める所まで進んでみますが、しかしあまりにもダイナミック過ぎるな〜。画像だと実感しにくい広大な今崎海岸の溶岩原ですが、こうしてWRの大きさと比較するとその広さが分かると思います。
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見るだけでなく手で触れて溶岩の凄まじさを実感しておきましょう |
うお、これが噴火で海に流れ込んだ溶岩ですか! 見上げるほどの高さに堆積して見上げる高さの崖となった溶岩層を間近に眺め触れてみますが、本気を出した台地の凄まじい力の前では人間などケシ粒以下の存在だということを実感! 圧倒されて言葉も出ませんでしたが、溶岩が所々で赤くなっているのは酸化したためかな。
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広大な溶岩原の向こうには阿古集落が見えています |
海岸付近を埋め尽くす背後の溶岩原の先には現在の阿古の集落が見えていますが、噴火で流れ下る溶岩流に襲われたら、それこそ逃げるだけで精一杯でしょう。そのような状況が三宅島では何度も過去に繰り返されてきたのだなぁ・・・。
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夕景浜に近づくと目の前に迫ってくる大鼻の岬 |
海岸伝いに今崎海岸の溶岩原と岩礁を眺めながら夕景浜へと向かって進んでいくと、海岸の端には大鼻の岬が次第に大きく迫ってきます。今は道が整備されていますが、昔は簡単には海岸へと近づけなかっただろうになぁ。さらに大鼻の先に視線を向ければ、その遥か先には海に突き出すようにして伊豆岬も見えています。
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今崎海岸の溶岩原にどこまでも続く整備された道 |
夕景浜へと向かって今崎海岸に沿って続く道。噴火後数百年を経て今なお、当時の溶岩流の凄まじさを見せつける溶岩原を突っ切って延びていますが、その荒々しさとは裏腹に、舗装路が整備されているので誰でも簡単に訪れることができるというわけ。
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いかにも火山の島らしく地面からブクブクと温泉が! |
海岸沿いに進むと夕景浜の手前で三宅島一周道路に突き当たりますが、そこに1983(昭和58)年の噴火で溶岩流に埋もれた阿古中学校跡があります。火山体験遊歩道が設けられているので今崎海岸とセットで訪れることを強くおすすめします。噴火で流出した膨大な量の溶岩流の凄まじさと、溶岩流に飲み込まれてしまった建物の生々しさ。三宅島火山の噴火の凄さを自分の目で見て実感できることでしょう。 なお、ここで道路の脇で温泉が噴出しているのを目撃しましたが、それはふるさとの湯へと源泉を送る導水管が破裂していたみたいです。噴火活動を予兆させる現象などではなくて、単に導水管が破裂していただけのことですが、それでも地面からブクブクと吹き出し続ける温泉を眺めると、「三宅島はやっぱり火山の島なんだなぁ」と思ってしまう突発的な出来事でした。火山といえばやっぱり温泉なのでね。 |
ジオスポット[ 薄木 溶岩流 ]へ |