新鼻新山
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新鼻新山へは都道沿いのこの駐車場から
1983(昭和 58)年の噴火でたった一夜にして形成された「新鼻新山」へは、新澪池跡入口から三宅島一周道路(都212号線)を挟んだ海側にある路肩の駐車場からアクセスします。新鼻新山はジオスポットにも指定されているいかにも火山島「三宅島」らしい場所なので、できれば訪れておきたいところです。

三宅島を海岸伝いに一周していると必ず通りがかる人気のスポットですが、駐車場には案内板や道標は立っていないので、通り過ぎに注意してください。





駐車場からも新鼻新山の姿は見えています

「おお、これが新鼻新山ですか!」新鼻新山を訪れるべく駐車場に立つと、その場所から天を向いて海に突き出た新鼻新山の姿がすでに見えていました。

新鼻新山は1983 (昭和58) 年の噴火で、 火口から噴出された大量の岩石や火山灰が積もって一夜にして形成された火砕丘ですが、山とうほどの高さはないみたい。ちょっと小高い砂山のような感じでしょうか。新鼻新山への遊歩道は整備されていませんが、海岸伝いに歩いて近づくことができ、山頂にも登れるのでさっそく向かってみます。三宅島まではるばるやって来て、駐車場から眺めるだけではもったいないですよ。





このガードケーブルの切れ目が海岸への入口

駐車場から錆ヶ浜方向に都道の路肩を歩いていくと、やがてガードケーブルの切れ目に海岸へと向かう小径がありました。ここが新鼻新山への入口ですが、「危険」と記された看板が立つだけで、案内板の類はなにも立っていません。





オオバヤシャブシ林の中に海岸への小径が続きます

都道から小径をたどってまず海岸に向かいますが、途中はこんな感じかな。噴火後の裸地にいち早く侵入して生えるオオバヤシャブシの明るい低木林が広がる中をゆっくりと歩いて進みます。林の中は風もなくて陽射しがポカポカでした。





一面スコリアで埋め尽くされた広大な海岸線の先に新鼻新山が見えています

するとどうでしょう! オオバヤシャブシの林を抜けると一気に視界が開けて一面ザクザクなスコリアで埋め尽くされた新鼻の海岸が! まるで月面を思わせる光景に背筋に電気が走るような衝撃を受けて立ち尽くしてしまいました。

前方には海に突き出た断崖状の新鼻新山が小さく見えており、山頂に立つべくここから海岸線伝いに歩いていきますが、地面はザクザクとめり込むようなスコリアまみれの砂地です。訪れるのならば、身軽なスニーカーなどの運動靴がいいと思います。いや〜、それにしても新鼻海岸って思っていた以上の凄さだな!





高さ10mにもおよぶスコリア層のズルズルな急斜面が続く新鼻海岸

新鼻新山に向かって歩きがてら、海岸の波打ち際が気になったので近づいてみますが、そここは荒波立つ岩礁の波打ち際へと落ち込む断崖じみた急斜面になっていました。高さは 10mくらいあるでしょうか。 しかもただの斜面ではなくて、 スコリアでズルズルになったアリ地獄の壁を思わせる状態です。海岸線に堆積したスコリア層が波に侵蝕されている様子と、数メートルにもおよぶスコリア層の厚さがはっきりと分かります。

ちなみにここ、見た目的には簡単に降りていけそうに見えるかもしれませんが、スコリアに足をすくわれて滑り落ちてしまう可能性が大きくて危ないです。都道からの入口に「危険」の看板があったのはこのためですね。でも「波打ち際まで降りてやろう」などと冒険心を起こさなければ別に危険はないので安心して下さい。





「新鼻」を真横に眺めながら海岸伝いに歩いて進みます

おお、間近で眺めると凄まじいほどの迫力だぜぇ! 新鼻新山に向かって海岸線伝いに歩いていくと、新鼻の真横を通ります。陸地伝いに突き出ているのが新鼻で、そのすぐ沖に「新鼻ハナレ」もバッチリ見えていました。

海岸までやって来なくても、 三宅島一周道路(都210号線)から眺められる遠望ポイントはいくつもありますが、やはり遠くから眺めるのとでは、その迫力感が桁違いです。いや〜、それにしても岩礁にブチ当たる波しぶきが強烈すぎ!





歩きにくいスコリアと強風の新鼻海岸

それにしてもここは広いな。近そうに見えていてちょっと離れている新鼻新山。靴がめり込むようで歩きにくいスコリアまみれの台地をてくてくと歩いていきますが、くわえて遮る物なく海から吹き付ける風もまた強かったなぁ・・・。

どれほど風が強いかは、スコリアまみれの地面に波打つような風紋が形成されていることで分かると思います。快晴時でこれなので、荒れた天気の日にここを歩いたら、体重の軽い方は吹き飛ばされちゃうかもしれませんよ〜。





スコリアの中から頭を出している無数の火山弾のかけら

やや、これは火山弾? 新鼻新山へと向かう海岸はスコリアまみれですが、所々に拳大もしくはそれ以上の大きさの岩石が転がっていました。噴火の水蒸気爆発で吹き飛ばされた火山弾や火山岩塊が埋もれていたスコリアの中から姿を現したのでしょうか?

ニュースなどの火山の噴火中継では火山弾が空中に放出されて落下するシーンがよく見られますが、 場合によっては初速度が秒速100mを越えることもあるそうです。たぶんこれは飛来して落下したものが細かく砕けたかけらですが、 1983 (昭和58) 年の噴火で飛来した火山岩塊がどれほどの大きさだったかは、「噴火災害保存箇所」を訪れるとその実物を実際に触れて眺めることができます。





海岸伝いに歩いていくと海に侵蝕された新鼻新山の姿がはっきりと!

うわ、これは凄い! 歩きにくいスコリアの砂山を歩いていくと、次第に新鼻新山がすぐそばに迫ってきます。それと同時に遠くからでは分からなかった新鼻新山の全容があらわになってきました。真横から眺めると赤黒い地層剥き出しの状態で過激に切り立つ断崖になっていたんですね。

新鼻新という名称からてっきり円錐形をした山なのかと思いきや、ここは実際には海に突き出た岬の断崖といった場所でした。真横から眺めると、赤黒い地層剥き出しの状態で過激に切り立つ断崖になっていたんですね。その後、海に侵蝕され続けて現在の形にまで削られてしまったのだと思います。

海に向かって突き出す登り斜面となっているところに山の面影がありますが、接近していくにつれて、なによりもまず垂直に切り立つ目も眩む高さの断崖に圧倒されてしまいます。侵蝕が進んで円錐形の山としての形はほとんど残っていませんが、でもそのおかげで珍しく貴重な火砕丘の断面を眺めることができるんだよな〜。





振り返ればやはりそこに雄山が!

左手に広がる荒々しい海岸風景に目を奪われますが、右手には雄山がまるで何事もなかったかのように静かにそびえ立っています。三宅島のシンボルはやっぱり雄山であり、島の中心にそびえる雄山はどこからでも見えているからなぁ。





海に突き出たダイナミックな眺めは噴火由来のもの

間近に眺めた新鼻新山の断面です。見上げるような驚くほどの高さの断崖になっているのですが、周囲にはその巨大さを比較できるようなものがありません。やはりここは実際に自分の目で眺めてみないとスケールの大きさは伝わらないだろうな〜。

鮮やかな赤茶と黒色の地層が幾重にも重なった縞模様がよく見てとれますが、これは地学の勉強になりますなぁ。坪田地区にある三七山も噴火で大量の噴石が積み重なって形成された同じ噴石丘ですが、そちらは少し前の1962(昭和37)年にできたものです。





紺碧の海に断崖の赤黒さが映えてとてもきれいです

ダイナミックな断崖で火山活動の凄まじさを実感させられる新鼻新山ですが、太平洋の荒波が絶え間なくぶち当たる迫力の光景を眺められるのは、歩いて接近したこの場所からだけ。ビューアングル的にも素晴らしく、新鼻新山の断崖越しには沖に浮かぶ三本嶽も見えていますね。おかげで良い写真が撮れました。





あまり近付き過ぎるとスコリアの雪崩に巻き込まれてしまいそう

すぐ目の前に迫った新鼻新山へと歩いて行きますが、振り返ると相変わらずズルズルなスコリア層の急斜面! ぱっと見すると降っていけそうですが、場所によっては垂直に切り立っているので、ここを降りてみようと試みるのはやっぱり危ないかも。

雪山の斜面でこのようになっていたら雪崩が怖くてとても近寄れませんが、ここはそれと同じ状況かな。ただし積もっているのは雪ではなくて、途方もなく大量すぎるザクザクなスコリアですけど・・・。

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