樹叢と溶岩流と砂防施設
  三宅島の見所スポット 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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  神着エリア
  神着エリアの見所スポット
     1 火の山峠
     2 御笏神社
     3 三宅島役所
     4 篤姫ゆかりの蘇鉄
     5 ビャクシン
     6 椎取神社
     7 岡太楼本舗
     8 三宅島酒造
     9 ラーメンとんとん
     10 正大ストア
     11 湯ノ浜漁港
     12 下根崎
     13 大崎
     14 樹叢と溶岩流と砂防施設
     15 浅沼稲次郎生家
     16 王葬
     17 子安宮
     18 三の宮
     19 ナダード
     20 釜の尻
     21 焼場
     22 三宅島内燃力発電所

三宅一周道路の歩道脇に説明板が設置されています

三宅島を一周する都212号線(三宅一周道路)の途中、神着と三池港との間に鎮座する椎取神社のすぐそばにあるのが「樹叢と溶岩流と砂防施設」。都道を走っていると、橋のたもとのなにもない場所の舗装の脇に案内板がぽつんと立っています。付近には椎取神社以外にはなにもなく、「なんのこっちゃ?」と立ち寄ってみました。






溶岩流と泥流、砂防施設、森の関係が記された説明板

三宅島椎取神社の樹叢と溶岩流と砂防施設
三宅島は、火山活動の激しい島であり、
昭和に入ってからでも大きな噴火活動は15(1940)年、37(1962)年、58(1983)年と3回を数える。
椎取神社の境域は、有史以前の溶岩流から昭和期の溶岩流までを含み、
神社の近くには古い溶岩流の産状がよく観測される。

古い溶岩流にはスダジイ・クロマツなどの幼樹が定着しはじめていたが、
平成12年7月8日からの降灰で積もった火山灰が
降雨により泥流となって、都道及び樹木林に大きな被害を与えた。

災害時の島民避難路を確保するために、
泥流を安全に誘導する施設を東京都指定天然記念物溶岩流に構築した。

平成18(2006)年3月31日
東京都三宅支庁
なるほど! 説明板をよく読まないとなんのことだかよく分かりませんが、ここでは有史以前から現在まで度重なる噴火による溶岩流の痕跡と、その跡に茂った樹叢(じゅそう)が東京都指定の天然記念物に指定されているらしいです。具体的には椎取神社の境域を含む、都道沿いに広がる鬱蒼とした森がそれなんですね。

そして降灰によって発生する泥流を安全に誘導するため、天然記念物に指定された溶岩流跡に砂防施設が構築されたというわけ。






椎取神社を含む付近一帯の森が東京都指定天然記念物に指定されています

説明板を読んでこの場所がどういう所なのかが分かったところで、あらためて周囲の森を眺めてみます。ここは有史以前から幾度となく噴火に見舞われて溶岩が流れた場所。説明板には記されていませんが、泥流に埋もれた椎取神社の社と鳥居が当時を物語る平成12(2000)年の噴火でも被害を受けています。

その場所に現在、このように緑の森が定着し始めていますが、注目すべきは「樹叢」という言葉が示すように、神社の境域を含む森の樹木は植生されたものではないということ。つまり噴火後に自然に生えた樹木が密生してできた森(樹叢)なんですね。






火山ガスで立ち枯れた幹が噴火当時を物語ります

説明板には「樹叢と溶岩流」と記されていますが、過去の噴火でこの地を襲った溶岩流の痕跡は森の樹木に覆われて見えません。しかし、火山ガスによって立ち枯れた木々が噴火当時を物語り、それが遠い昔の出来事ではなかったことが分かります。

通りすがりにチラっと眺めただけでは鬱蒼とした森にしか見えません。でも、過去にこの場所に起こったことを知った上で眺めてみると、森の景色も異なって見えてくると思います。椎取神社とは目と耳の先の距離なので、セットで立ち寄っておきましょう。

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