三宅島内燃力発電所
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 [22]三宅島内燃力発電所 / Miyakejima Internai Combustion Power Station   もどる  

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     22 三宅島内燃力発電所

三宅島の全ての消費電力はこの発電所が一手に担います

三宅島の電力発電を一手に担う「三宅島内燃緑発電所(大久保浜発電所)」です。認可出力5000kWで発電ユニットは2000kW×1、1000kW×3。移動用発電機500kW×1で最大出力は合計5500kW。県214号線沿いの大久保浜に面した大久保集落の外れに位置し、都212号線(三宅一周道路)沿いのジオスポット「赤じゃり公園」から海を目前に控えた全景を眼下に眺めることができます。

なお、島内に風力発電の風車が2基設置されて発電の実証実験が行われたこともありましたが、実用には至らなかったようで、発電風車はその後撤去されています。






離島という立地条件から三宅島では内燃力発電所が選ばれています

都2112号線沿いのジオスポット「赤じゃり公園」から眺めた大久保浜の浜辺に設置された三宅島内燃緑発電所。伊豆諸島の各町村で消費される電力は、御蔵島村の水力発電所と八丈町の地熱発電所を除いて全て火力発電所で発電されています。発電のための燃料は本州から船舶によって化石燃料(重油)が輸送されています。

ちなみに内燃力発電所とは重油を燃料としてディーゼンルエンジンを動かし、接続された発電機を回して発電する発電所のこと。設置に広い場所を必要とせず運転と停止が容易で、電力需要の変化に対応しやすいことがメリットで、土地が狭くて設置場所が限られる三宅島をはじめとした離島での発電に適しているというわけ。

三宅島に初めて発電所が設置されたのは1929(昭和4)年7月のこと。発電所は「三宅島電気(株)」が経営し、出力は僅か60kWのディーゼル発電機が1台あるだけで送電時間も日没から日の出まででした。その後、買収、統合などで発電所の経営は三宅島電気から三宅島各村組合、関東配電(株)、東京電力(株)と移り、ディーゼル発電機の増設によって発電出力も僅かづつ増えていきましたが、24時間フル稼働で昼夜送電されるようになったのは1958(昭和33)年12月でした。その後もディーゼル発電機の増設と新設、撤去を繰り返して現在に至っています。






人の姿もなくてひっそりと静かな三宅島の発電所

大久保集落の外れにある三宅島内燃力発電所。対テロ警備で物々しい原発とは違ってほとんど無人状態の静かさ。「そうと知らなければなにかの工場?」と思ってしまうほどのささやかさでで、初めて眺めた時は発電所だって気がつかなかったなぁ。

発電所からは電柱によって電線が引かれて島内の家庭や病院、事業所などに電気が供給されますが、電気は貯蔵が困難であるため、闇雲に発電するのではなくて需要量を予測して発電所の稼働率を調整することで需要と供給のバランスをとっているそうです。






電気は本州から独立した電力系統で島内全域へと送電

すぐそこに発電燃料用の重油タンクが見える発電所の正面入口です。さすがに乗り越え不可な鉄柵門で閉じられていますが、潮風を受けて門はサビサビ状態。まあ、島の人間で発電所内に忍び込んで破壊工作をたくらむ人間なんて、まずいないに決まっており、警備の厳重さというものはほとんど感じられなかったです。

ちなみに発電された電気は都212号線(三宅一周道路)沿いに張り巡らされた基幹幹線によって、本州の送電網からは独立した電力系統で島内全域に送電されています。つまり、送電線は島外には繋がっておらず、三宅島の電気は全て島内で発電され、島内でのみ消費されているわけですね。

そういうわけなので電気は需要と供給のバランスが重要となり、無駄を避けるため三宅島内燃力発電所では稼働率を常に調整しています。






2000(平成12)年の噴火では全島避難で送電も停止

鉄柵門の隙間から新設内を眺めてみても、警備員はおろか職員の姿はどこにも見られなかった三宅島内燃力発電所。たまにメンテの業者が立ち入るくらいなのでしょう。

ところで、島民の全島避難が実施された2000(平成12)年の噴火では発電所の施設に被害はなかったものの、電柱や電線に大きな被害を受けたらしいです。全島避難後の9月26日には発電所職員の一時避難と同時に送電が停止され、その後は神津島から船で往復しながら発電機の点検補修、配電設備の点検、仮復旧作業が進められています。そして苦労の末、2003(平成15)年に島内各戸への送電準備がようやく完了しています。

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