椎取神社
  三宅島の見所スポット 林道探索の書 〜今日もどこかで林道ざんまい〜 
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雄山を望む付近に人家のない寂しい場所にある椎取神社

都212(三宅一周道路)号線を神着から三池港に向かって進むと、「赤場暁」の手前にあるのが「椎取神社」です。椎取神社は2000(平成12)年の噴火で発生した大量の泥流によって埋没した社殿と鳥居が泥流の凄まじさを物語り、三宅島の火山噴火の生々しい痕跡を巡る「ジオスポット椎取神社」にもなっている有名なスポットです。

現在、新たな社殿と鳥居が立て直されていますが、神社そのものよりも埋没した社殿と鳥居でよく知られ、それ目当てで訪れる観光客も多いです。ちなみに鳥居の前は砂利敷きの広場があって、そこが駐車場になっています。






三宅一周道路(都212号線)からの入口

三宅島を一周する途中で椎取神社を訪れてみましたが、生憎と空は今にも雨粒が落ちてきそうな鉛色。「雨さえ降らなければいいや」と神社に続く砂利道へと入りますが、さすがに雨の確実な天気だったので観光客の姿は全くなかったんだっけ・・・。






神社に祀られている神様についての説明板

椎取神社
この神社には、佐伎多麻比v命(さきたまひめのみこと)の第8子志理太宣命(しりたきのみこと)が祀られていて、
別名志理太宣神社とよぶ式内社である。

神社にむかって左側の溶岩原は、昭和15(1940)年7月の噴火で埋没するまでは
自然が創りあげた島内唯一の自然の良港があった。

事代主命(ことしろぬしのみこと)が三宅島に渡られた時、上陸の第一歩はこの地とされている。
「三宅記」によれば、
「三女おば神に浦あり、”シトリ”と名付くなり、これに斎(すま)いまいらすべし。」
「また三女おば、嶋の飛ノ丑寅(北東)の方に置きまいらせ、一番なこ、二番かね、三番やす、四番てい、
五番したい、六番くらひ、七番たかすけ、八番ひんすけとぞ申しまいらしける。
かの王子達生みまいらせ給うところは、嶋の丑寅の方”かまつけ”と申す所にて生みまいらせ給う。
七柱と申すところで育てまいらす。」と記されている。

そのことから、この地は事代主命と第4妃佐伎多麻比v命の愛の巣とも伝えられている。
三宅島における神話発祥の地でもある。

平成12(2000)年6月の火山活動に伴い発生した泥流によりこの地域一帯が埋没した。
三宅村
早い話、事代主命と佐伎多麻比v命との間には順に「なこ」「かね」「やす」「てい」「したい」「くらひ」「たかすけ」「ひんすけ」8人の王子がいて、椎取神社には5番目の志理太宣命(したい / 説明板では誤って8番目と記載)が祭神として祀られているということですね。なので別名「志理太宣神社」と呼ばれるそうです。






こちらは神社の位置する場所と噴火についての説明板

三宅島椎取神社の樹叢と溶岩流
伊豆諸島はシイノキを中心とする、典型的な照葉樹林帯となっています。
その中で三宅島の植物は、本州と共通種が多いですが、亜熱帯的あるいは暖温帯的な要素も多くみられます。

三宅島はまた火山活動が活発な島で、昭和以降、大きな噴火は4回を数えています。
椎取神社の境域は、有史以前の溶岩流と昭和期の溶岩流を含み、
神社の近くには古い溶岩流の産状をよく観察することができます。

古い溶岩流にはスダジイ・タブを中心とする照葉樹が繁茂し、
新期溶岩流にはオオバヤシャブシ・クロマツなどの幼樹が定着しはじめています。
東京都教育委員会
椎取神社が鎮座する場所は過去に何度も噴火に見舞われています。なので神社の由来と共に噴火についての説明板もありました。それによれば現在、火山噴火の痕跡である溶岩原の上にはスダジイやタブの森ができ、オオバヤシャブシやクロマツの幼樹が育っているらしいです。神社を取り巻く藪や森がそれですね。






雨が降り出して寂しい雰囲気が漂う神社の鳥居

説明板を眺めてから拝殿前の朱色の鳥居をくぐりますが、タイミング悪くついにポツポツと雨が降ってきちゃいました。あ〜あ、ついてないや。






シト降る雨で雨煙る椎取神社の拝殿

鳥居のすぐ先の拝殿です。降り出した雨はすぐにシトシト降りになってしまい、とても参拝どころじゃなくなってきます。なんだかすぐ本降りになりそうな予感・・・。






快晴に恵まれれば神社と雄山の様子がこの通り!

その後、あっという間に本降りとなってしまったので、三宅島滞在中の快晴時に再訪しましたが、快晴時の椎取神社のこの眺めはどうしたことでしょう! やっぱり神社は暗い雰囲気よりも明るい雰囲気の方がいいですね。雨直前時にはガスってよく見えていなかった背後の雄山の様子もはっきりと見えています。

背後のスダジイやタブの森には立ち枯れたシイの白骨のような幹が林立していますが、これは噴火で発生した火山ガスによるもの。現在、森は復活しつつありますが、噴火以前は今よりも大樹が鬱蒼と茂った原生林だったそうです。






地元では通称「しとり様」と呼ばれる椎取神社

曇りの時とは打って変わった雰囲気で明るい日差しに包まれた拝殿。さっそく手を合わせますが、拝殿の壁に「本殿はこの奥に鎮座されています。是非参拝ください」の貼り紙を発見! 確かに一瞬気がつかなかったですが、神社の本殿はここから80mほど拝殿裏手の森を進んだ先にあるようで、観光客の中にはここで参拝しただけで本殿に気が付かずに帰ってしまう方もいるみたいだな。

なお、椎取神社は説明板や観光パンフレットなどでは「しいとり」と紹介されており、東京都神社名鑑では「しいとり」、三島大明神縁起には「したい」と記されていますが、本来の社号は「しとり」というのだそうです。






拝殿の裏手の森に続く静かな小径

貼り紙に従って本殿を目指します。拝殿の右側から裏手に回り込むと、照葉樹の折の奥へと続く小径が確かにありました。小径はちょうど拝殿の陰になっているので鳥居の立つ地点からは見えていなかたんですね。






やがて見えてくる岩壁と小さな祠

参拝者の気配もなくてシンと静まり返った森の中をしばらく進むと、木陰の先に立ち塞がるような溶岩の岩壁が見えてきますが、そこが椎取神社の本殿でしょうか? よく眺めてみると、なにやら小さな祠がそこにあるみたいです。






溶岩流の岩壁の下には本殿の祠が2つ

岩壁付近は椎取神社の「御神域」とされており、近づいてみると小さな2つの祠がちょこんと置かれていました。拝殿の建物と比べてささやか過ぎるので、「ここが?」と思ってしまいましたが、どうやらこれが神社の本殿みたいだな。

訪れた時には誰もいませんでしたが、御笏神社の例大祭の翌日の10月11日にはこの場所で椎取神社の例大祭が行われるそうです。






なにかを祀ってたくさんの御幣が!

祠の右手にはたくさんの御幣が地面に挿してあるのを発見しました。この場所に社殿の祠はありませんが、その代わり石片のようなものが無数に立てかけられています。う〜ん、ここにはなにかが祀られているようでした。






これは噴火後に建てられた新しい鳥居と拝殿

拝殿から本殿へと参拝して鳥居前の駐車場に戻ってくると、レンタカーとおぼしき車が止められていて観光客の姿がありました。神社はざっと眺めるに留めて、左手にある泥流に埋まった鳥居と本殿方向に歩いていきましたが、目的は神社そのものよりも、やはり噴火の泥流で埋没した神社の鳥居と本殿だったみたい。

もちろん、本殿を参拝した後でジオスポットに指定されている泥流に埋没した鳥居と本殿を眺めるべくその場所に向かいましたが、ここを訪れたならば、森の中にある椎取神社の本殿まで含めて見学しておきましょう。

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